加盟店も含めて、経営者にとって最も大切なことは、
「最終的に手元にどれだけの利益が残るのか」ということです。
この経営成績を示す資料が、いわゆる損益計算書(PL)と呼ばれるものです。
業態によって損益計算書の形は多少異なるかもしれませんが、売上、粗利、営業利益などの大まかな道筋はどれも同じです。
加盟店としては、経営成績を示す損益計算書を正しく理解し、経営成績を改善するために取り組むべき事項を明らかにして、日々行動に移していく姿勢が必要です。
また、加盟店をサポートするフランチャイズ本部、SVも、経営成績の結果を踏まえて、的確な指導をしていくことが求められます。
しかしながら、加盟店もフランチャイズ本部、SVも、この“経営成績の検証”がおろそかになっているケースが散見されるのが実情です。
これでは、加盟店の経営改善が進まないことは明らかです。
そこで、今回は加盟店の経営成績の検証と加盟店指導について触れていきます。
なお、スーパーバイザーの役割や育成方法について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
一般的な会計とフランチャイズパッケージとしての会計
日々の事業運営で発生する取引を記録して、損益計算書や貸借対照表などの「経営資料」を作成するプロセスは、どの企業、業種業態であっても原則同じです。
しかし、フランチャイズシステムは、店舗運営で生み出された利益を加盟店とフランチャイズ本部で分け合うため、フランチャイズ本部、加盟店ともに利益構造が一般企業とは異なるものになります。
この互いの利益構造をしっかりと理解して、加盟店とSVが「経営資料」を検証しなければなりません。
ところが、加盟店もSVも、この毎月の「経営資料」の検証をおろそかにしているケースが多いのです。
なかには、加盟店、SVともに、経営資料の構造を正確に理解できていないこともあります。
ここは大きな問題です。
一般会計とフランチャイズ会計の違いは税理士にとっても理解しがたい点があります。
したがって、加盟店は正しい納税の観点からも、本来は税理士に構造を説明できるほどの理解度があるべきなのです。
以上を踏まえると、最初の段階で、加盟店、SVともに「経営資料」についての十分な指導・教育を行うことはもちろんのこと、定期的に理解度を点検する仕組みを整えておくことが求められるでしょう。
SVが指導すべき経営資料をベースにした“計画・実行・評価・改善”
毎月発行される損益計算書や貸借対照表は、加盟店の経営成績です。
これらの経営資料をベースに“計画・実行・評価・改善”を繰り返すものです。
この検証をスルーしていては経営とはいえません。
- 計画:年間と月別の売上・経費・利益予算
- 実行:日々のオペレーションと売上向上策
- 評価:月次データ(経営資料)からの検証
- 改善:計画(予算)と実績の差異検証と仮説
正確に自店の経営数値を把握して、確実に次の対策に繋げていくことが経営の基本です。
・予算と実績との差異はなぜ発生したのか、
・予算を達成するためにどうアクションを起こすべきなのか、
仮説を立てて実行に移さなければなりません。
裏を返せば、SVは、加盟店が計画・実行・評価・改善サイクルを回していくのを、全面的にサポートしなければなりません。
仮に加盟店がこの一連のサイクルを回すことができていないのであれば、SVの役割を果たしているとはいえないでしょう。
なお、SVがまわしていくべき加盟店の計画・実行・評価・改善サイクルについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
加盟店が抱える本質的な課題を明らかにする
フランチャイズ本部の考える予算と各店の実績に乖離がある場合、そこには必ず理由がありますが、その理由が一つとも限りません。
様々な要因が絡み合って実績となっていますので、そこを丁寧に検証して、次の仮説を立てるのがSVの仕事です。
外的要因・内的要因・突発的な要因・慢性的な要因など、それぞれで次に打つべき対策が異なってきます。
コロナ禍における売上・利益の低迷は外的・突発的な要因と言えますが、
この騒動前から慢性的に売上が低迷していた店舗、
売上は順調でも経費コントロールに課題を抱えていた店舗
などもあったと思います。
それらの原因を同一視することなく、確実に切り分けて検証し、対策を講じていく必要があるでしょう。
今回のような突発的な要因による業績低迷時には、これまで業績好調の陰に隠れていた慢性的な課題が表面化するものです。
慢性的な課題を抱えていた店舗は、今の自粛ムードの時間を活用して、経済活動が本格化したときにスターダッシュを切れるよう準備を進めておくべきです。
加盟店にそのような取り組みをさせられるかどうかが、SVの技量の差となって表れてくるでしょう。
なお、SVが役割を果たすために理解しておくべきことについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
まとめ
経営資料は眺めているだけでは何も活かされません。
税理士や会計士だけが見るものでもありません。
加盟者(オーナー・店長)と経営指導にあたるSVは、経営資料を積極的に活用しなければなりません。
加盟者も独立した経営者である以上、大手・中小、上場・非上場の分け隔ては全く不要です。
経営者としての自覚を持って、経営資料を自分の目で確かめられるよう、フランチャイズ本部としても加盟店を指導していくべきでしょう。
SVが担当企業の経営資料を確認しながら指導を行っていけば、その中からフランチャイズ本部にとって必要な着眼点が見えてくることもあるでしょう。
フランチャイズ本部としては、
・加盟店の経営資料の把握
・加盟店、SVに対する経営資料についての十分な指導・教育
の2点を積極的に行っていくことが大切です。
なお、SVの育成方法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
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