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のれん分けにおける加盟金やロイヤルティの考え方

「のれん分けでは社員からロイヤリティをとるものなのでしょうか…?」

これは、先日弊社に相談にこられた美容院経営者からの質問です。

のれん分けは、「会社へ貢献してくれた従業員への恩返し」という側面もありますが、本部がこれまで時間と労力、コストをかけて開発してきたブランドやノウハウを提供するのですから、最低限の対価を得ることは当然のことといえます。
「従業員に経営者意識を芽生えさせる」という意味でも、本部が提供するサービスに対して適正な対価を得るべきでしょう。

しかしながら、その対価である加盟金やロイヤルティの決め方に決まったルールはありません。
そのため、のれん分け制度を導入する際に、「独立者が支払う対価をいくらに設定するか」という点がしばしば問題となります。
これは一般的なFCシステムも同様です。

加盟金やロイヤルティをいくらに設定するかという問題は、本部と独立者双方の利益にかかわる問題であり、お互い納得できる水準に設定することが望まれます。
のれん分けやFCシステムの成否を左右するポイントといえるでしょう。

そこで、今回は当社が実際にコンサルティングをする際の加盟金やロイヤルティの考え方をご紹介します。

 

のれん分けにおける対価の種類

本部が独立者にのれん分けを行うことの見返りとして独立者が本部に支払う対価は、大きく分けて以下の2種類に分類することができます。

①イニシャルフィー

のれん分けを実施する際に、独立者が本部に対して支払う初期費用です。
具体的な名目としては、加盟金、研修費、開業コンサルティング料などがあげられます。

独立時に一度だけ支払うものですから、のれん分けを行う際に本部が独立者に提供する“一時的なサービス”に対する対価となります。
マニュアル提供、開業前研修、開業サポートなどが該当します。

のれん分けを実施する際に本部が独立者に対して提供するサービスの種類や内容から費目と金額を検討します。

②ランニングフィー

のれん分けを実施後、独立者が本部に対して継続的に支払うこととなる費用です 。
具体的な名目としては、ロイヤリティ、ブランド使用料、共通販促費用などがあげられます。

継続的に支払うものですから、独立後に本部が独立者に対して継続的に提供するサービスに対しての対価となります。
本部による継続的な経営・運営サポート、継続的なブランド使用許諾などが該当します

また、のれん分けでは本部から独立者に対して食材等を販売するケースがありますが、その取引から本部が得る利益も、実質的にはランニングフィーの一種と捉えられます。

 

対価の性質を踏まえた金額設定の重要性

このようにのれん分けには性格の異なる2種類の対価が存在するのですが、どちらにも共通していえることは、いずれの対価も「本部が加盟者へ提供するサービスに対しての対価である」ということです。

ですから、独立者から徴収する対価は、本部が欲しい金額を基準に決めるのではなく(もちろん、そういった観点もあることは否定しませんが)、あくまで独立者に対して提供するサービスの内容を基準に決定しなければなりません。

サービスの提供がないのに対価だけを徴収することは、一般的な商売を考えてみれば成り立たないことは明白ですし、金額の算定根拠がいい加減なケースも同様です。
しっかりとした根拠がないのにもかかわらず、あまりにも高額な対価を設定することは、後々大きなトラブルに発展するリスクをはらみますので注意が必要です。

また、のれん分けの場合には、これまで会社に貢献してくれた従業員への恩返しという側面がありますから、通常のFCシステムと比べて加盟金やロイヤルティを優遇することが一般的です。

 

加盟金やロイヤルティを検討する4つの視点

それでは、加盟金やロイヤルティはどのように決めるべきでしょうか。

先にも述べた通り、決められた手法はありませんが、加盟金やロイヤルティの性質を考えると、最低限、以下の4つの視点から検討することが望ましいものといえます。

①対価としての妥当性

すでに説明したように、独立者から徴収する加盟金やロイヤルティは、本部が独立者に提供するサービスへの対価となります。

のれん分け制度の導入を検討する本部の多くが、のれん分け後にロイヤルティを徴収することを検討していると思いますが、独立者から継続的に金銭を徴収するためには、本部としても独立者に対して継続的なサービスを提供(例えば月1回の経営指導など)していくことが求められます。

そして、「提供するサービスの価値=独立者が支払う金額」の公式が成り立つことが原理原則となります。

②独立者の収益性

のれん分けで成功する最大のポイントは“独立者の店舗が繁盛すること”です。

本部の利益を追求し、加盟金やロイヤルティを高く設定した結果、独立者の経営が上手くいかないのでは本末転倒です。

独立者が加盟金やロイヤルティを支払ったとしても、一定の収益を確保することができるようにしなければなりません。
少なくとも、独立前後で独立者の創出する成果が同じ水準である場合には、独立者の取り分が多少増えるよう制度設計することが望ましいでしょう。

また、独立者の投資回収期間(のれん分けをする際に投資した金額を何年で回収できるのか)にも配慮する必要があります。
弊社の経験則で申し上げれば、投資回収期間は3年以内に抑えている本部が多いようです。

③本部の収益性

のれん分け制度を導入すると、独立者に対する経営指導やマニュアルの整備など、本部にも従来には必要のなかったコスト負担が一定程度生じることとなります。

独立者の店舗が収益を生み出すことはとても大切ですが、それを優先しすぎるあまり本部が儲からなければチェーンの発展は望めません。
「これまで頑張ってくれた社員だから、優遇してあげよう」などと考えて、加盟金やロイヤルティをあまりにも低く設定するような行為は、めぐりめぐって本部と独立者双方の首を絞めることになりかねないことを心得ておくべきでしょう。

最低でも、本部の機能を果たすために必要となるコストは、加盟金やロイヤルティからまかなえなければなりません。
のれん分け後に新たに発生するコストを加盟金やロイヤルティでまかなうことができるかどうかも検証しておく必要があります。

④同業他社とのバランス

近年、のれん分け制度を導入している企業は増加しています。
当然、独立希望者もそれらの情報収集を行っているはずです。
また、独立者からみれば一般的なフランチャイズも選択肢の一つといえるでしょう。

比較対象が存在するわけですから、設定した加盟金やロイヤルティが同業他社と比較してあまりにも高額な場合は、独立希望者のモチベーション低下につながることはもちろんのこと、最悪の場合は本部を見限って他社に移籍してしまうようなことも考えられます。

ですから、前述の3つの視点に加え、他社の水準も意識して決定することが必要です。

感覚としては、ロイヤルティは飲食業で売上の4~7%、サービス業で7~10%程度、加盟金は50万円前後で設定している本部が多いように思います。

 

加盟金やロイヤルティ設定の実務

前項の4つの視点からバランスよく検討することによって、本部、独立者双方から見て、納得性のある金額に落ち着かせることができます。

なお、弊社がコンサルティングを行う際には、以下の流れで加盟金やロイヤルティの金額の検討を進めていきます。

  • ① 対象店舗(新店の場合はモデル店舗)の償却前営業利益率の半分を基準とし、業界水準等と比較してロイヤルティを仮設定。
  • ② 業界水準等と比較して加盟金を仮設定。
  • ③ ①で仮設定したロイヤルティ控除後の期待店舗償却前営業利益で、初期投資(②で仮設定した加盟金含む)回収期間を算定。
  • ④ 初期投資回収期間が3年以内となるようにロイヤルティ、加盟金を調整。

言葉にすると難しくみえてしまいますが、考え方をマスターすれば、わりと簡単に適正な加盟金やロイヤルティを設定することができるようになります。
是非、チャレンジをしてみていただければと思います。

 

ロイヤルティは定額か定率か

ロイヤルティ検討するにあたって、ロイヤルティを固定額にするか、対売上比率にするかという問題があります。
固定額というのは、「1か月あたり●万円」といった設定方法、対売上比率というのは、「1ヵ月の売上×●%」といった設定方法を意味します。

それぞれ良し悪しがありますので、メリット・デメリットを正しく理解し、自社にとって最適な選択をすることが大切です。

なお、一般的な固定額・対売上比率のメリット・デメリットは以下の通りです。

固定額のメリット・デメリット

本部にとってのメリット

独立者の売上管理やロイヤルティ算定などの手間がない
独立者の収益状況に関わらず安定収入が得られる

独立者にとってのメリット

独立者が頑張って売上を伸ばせば伸ばすほど、加速度的に収入が増える

本部にとってのデメリット

独立者店舗の売上が上がってもロイヤルティは増えないため、のれん分けによる独立者のモチベーションアップが収入に結びつかない

独立者にとってのデメリット

売上不振の場合に経営が苦しくなりやすい

対売上比率のメリット・デメリット

本部にとってのメリット

独立者店舗の売上が上がればロイヤルティも増えるため、のれん分けによる元従業員のモチベーションアップが収入に直結する

独立者にとってのメリット

売上不振の場合にロイヤルティ負担も減少するため、固定額方式と比較して売上減に強い

本部にとってのデメリット

独立者の売上を正確に把握することに限界がある
独立者の売上管理やロイヤルティ算定などの手間がかかる

独立者にとってのデメリット

頑張って売上を伸ばせば伸ばすほどロイヤルティ負担も増加する

 

ロイヤルティのあるべき姿

本部と独立者の公平性を考えれば、ロイヤルティは”対売上比率”が望ましいものといえます。

これは、独立店舗の売上が上がれば本部・独立者共に利益が増え、逆に独立店舗の売上が下がれば本部・独立者共に利益が減る関係、すなわち本部、独立者双方の利害が一致する関係となるからです。
この関係があるからこそ、本部には独立者の売上が増えるよう積極的にサポートする意欲がうまれることになります。

独立者の売上を正確に把握できるかどうか(独立者が売上をごまかさないか)、という点を懸念して、固定額方式を希望する経営者も多くいらっしゃいます。

しかしながら、その懸念は前提が誤っています。
のれん分け制度で成功するためには、完全に信頼できない人にのれん分けをしてはいけないのです。

固定額方式を選択するその他の理由でいえば、本部の必要な利益を確保したい、本部がロイヤルティを計算する手間を省きたい、等があげられます。

しかしながら、これらはいずれも本部視点が強く、独立者との関係に亀裂を生む可能性があります。

以上から、ロイヤルティの設定は、基本的には対売上比率方式として、やむを得ない事情がある場合に限り、一部固定額方式を導入するなどの対応をするとよいでしょう。

 

まとめ

以上が、当社が実際にコンサルティングをする際の加盟金やロイヤルティの考え方となります。

ロイヤルティや加盟金は一度設定してしまうと、後から金額を動かすこと、特に値上げすることは困難を極めます。

本部加盟者双方にとって最も重要な金銭のお話となりますので、妥協することなく、ご紹介した多面的視点からバランスよく検討し、本部、独立者双方にとって最適な水準を模索するべきでしょう。

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