のれん分け制度とは
のれん分け制度とは、自社で働く社員に対して、自社ブランドやノウハウを使用して、お店を経営することを認める制度です。「社員独立支援制度」や「社内FC制度」などと呼ばれることもあります。
日本では、古くから飲食店などで、長年働いてくれた奉公人や家人の働きに対する恩返しとして、同じのれん=家紋や屋号を使ってお店を出すことを認める“のれん分け”という取り組みが行われてきました。
この文化は現代にも引き継がれており、従業員の独立志向が旺盛な飲食店や美容院、整体院などにおいて、フランチャイズシステムを活用した発展形で取り入れられています。
なお、のれん分け制度について詳しく知りたい方は、弊社YouTubeチャンネルをご覧ください。
いま、のれん分け制度の導入が求められている理由
のれん分け制度は、店舗ビジネスにおいて“会社の発展”と“従業員の自己実現”を両立させるための仕組みとして、近年、注目が高まり続けています。
以下の理由から、今後は、店舗ビジネスを営む企業に不可欠な仕組みになるでしょう。
①社員モチベーションアップの観点
店舗ビジネスの現状ヒトを通じてサービスを提供する店舗ビジネスは、社員一人が生み出せる売上・利益が他業種と比べて少ない現実があります。 例えば、美容や整体等のサービス業では、スタッフ一人当たりの売上が月80万円あれば大したもので、100万円売り上げるようなスタッフは極めて稀な部類に入るでしょう。 社員一人が生み出す売上・利益が少ないということは、社員の昇給や出世の道も、他の業種と比べると自ずと限界が生じることになります。 |
のれん分け制度を導入すると…のれん分け制度を導入すれば、店舗ビジネスが抱える昇給や出世の限界問題を解決することができます。 具体的に説明すると、のれん分け制度により独立した人材は経営者となり、自ら働いた分の給料に加えて、店舗が生み出した利益を得ることができるようになります。 また、独立後は経営者となりますから、中小企業とはいえ、役職は最高位のポジションとなります。 「のれん分けによる独立」という選択肢が企業に備わっているとしたら、働き手はどのように感じるでしょう。人にもよるでしょうが、のれん分け制度に夢を感じる人材も少なくないのではないでしょうか。 |
②環境変化への対応力向上の観点
店舗ビジネスの現状現代は「将来の予測が困難」な時代といわれています。 例えば、新型コロナ問題は世の中にかつてない影響を与えましたが、一都市で発生した感染症が、またたくまに全世界に広がり、このような騒動に発展したことを考えると、この問題の本質は、「情報化や国際化、技術革新がもたらす急激な環境変化リスク」といえるでしょう。 情報化や国際化が進む現代は、これまでにない環境変化が起きるのが当然の時代となりました。この時代を生き残るためには、環境変化の影響を受けにくい事業モデルを構築することが不可欠です。 この点から考えると、投資が先行して資金負担が重く、かつ本部が全収益責任を負わなければならない直営店だけでの展開では、環境変化への対応にも限界があるのです。 |
のれん分け制度を導入すると…のれん分け制度を導入することで、本部は環境変化に強い経営体質を構築することができます。その理由は以下の3点です。 1.本部の固定費を圧縮できること 2.利益率の高い安定収益が得られること 3.独立者の仕事への姿勢が大きく変わること 急激な環境変化によって苦境に立たされた時、自分の人生がかかっている経営者であれば事業存続のために死に物狂いで対応します。危機的事態発生時は、平時以上に仕事の姿勢に差がつくのです。 |
のれん分け制度がうまくいかない要因
可能性にあふれているのれん分け制度ですが、安易な考えで導入をした結果、トラブルに発展してしまっている事例が多いことも事実です。その背景にはのれん分けやフランチャイズシステムについての基本的な知識が不足していることがあげられます。
のれん分け制度は、正しい知識を持って構築すれば本部の事業発展と独立者の自己実現を両立できる素晴らしい仕組みです。正しい知識を基に、自社に適した制度を作り上げることが成功への近道です。
失敗例1 「のれん分けすればするだけ本部が赤字に」
のれん分け後、本部は独立者にサービス(例えば、経営指導、新入社員の研修、メニュー開発、経理代行等)を提供し、独立者はその対価としてロイヤリティ等を支払います。
プロが関わらない契約に多いトラブルが、この両者のバランスが崩れてしまうことです。
この例では、独立者が支払うロイヤリティと比べて本部の提供サービスが過大(1店舗あたり数万円しかもらっていないのに、経営面の指導や新入社員に対する研修などを本部で実施)であったことから、独立者が店舗を出せば出すほど、本部の赤字が膨らむ仕組みとなっていました。
失敗例2 ノウハウや顧客基盤を盗まれた
のれん分けの際、本部は独立者に対して保有するノウハウ(既存店舗を売ったり貸したりする場合は顧客基盤も)を提供します。のれん分け契約終了後、ノウハウや顧客基盤の流出が起きないよう、契約終了後のノウハウや顧客基盤の取り扱いを契約書に明記します。また、契約終了後、一定期間は独立者が同種の事業をやることを契約書で禁止(競業避止)します。
しかし、本事例では、そのような定めを一切行っていなかったため、のれん分け契約終了後に、看板を変えて別のラーメン屋(実態は同じ)をやりはじめることを防止することができませんでした。本部にとってはノウハウや顧客基盤が盗まれた状態となり、大きな打撃となりました。
失敗例3 独立者が本部方針に従わずブランドイメージが悪化
基本的にのれん分けは、独立者も同じ屋号を使用します。その際に本部のブランドイメージを維持するためにも、これまで通りの安定的な利益を出すためにも、ビジネスモデルの特徴(商品、販売方法、サービス提供方法、プロモーション方法等)を独立者にも徹底的に守らせることが重要です。したがって、のれん分け制度を設計する際には、ビジネスモデルの洗い出しから行い、抽出した重要事項はルール化して徹底することを契約書にも盛り込みます。
この例では、そのようなことをせず、金銭面のことについての契約しかなされていなかったため、独立者が本部の言うことを無視して自分のやりたいようにやりはじめたとしても、それを本部が強制的に差し止めることができませんでした。結果、同じブランド内で提供商品やサービスにばらつきが生じ、本部ブランドイメージの低下につながってしまいました。
のれん分け制度構築サポートの流れ
当社では、「本部の事業発展と独立者の自己実現を両立すること」を基本理念として、のれん分け制度構築を以下のステップでサポートしていきます。
第1回 ~現状把握と制度設計方針決定~・のれん分け制度導入目的、目標の明確化 ・業態コンセプト・ビジネスモデルの整理 成果物コンセプトシート |
第2回 ~独立者の収支モデル設定~・独立者収支シミュレーション ・のれん分け(独立)形態の検討 成果物収支シミュレーションシート |
第3回 ~本部・独立者双方の権利と義務の明確化~・のれん分けパッケージ(経営指導の頻度や内容、研修の期間や内容、会議の頻度や内容、商材提供のあり方等)の検討 成果物のれん分け制度設計シート |
第4回 ~のれん分け契約内容の確定と理解~・のれん分け契約書の内容解説 ・のれん分け契約書のブラッシュアップ 成果物のれん分け契約書一式 |
第5回 ~のれん分けを行う際の業務手順・ルールの設計~・独立対象者要件の検討 ・独立フローの検討 |
第6回 ~独立者輩出に向けた戦略・戦術の策定~・のれん分け制度説明書の作成 ・のれん分け制度説明会の設計 成果物のれん分け制度説明書 |
コンサルティングの特徴
弊社ののれん分け制度構築コンサルティングプログラムには、以下のような2つの特徴があります。
のれん分け制度運用に不可欠なツールを一式納品
コンサルティングの過程で、のれん分け契約書類一式、収支シミュレーションツール、従業員向けのれん分け制度説明用資料など、のれん分け制度運用に必要なツールを弊社主導で作成します。
コンサルティング完了後は、自社でのれん分け制度を運用可能な体制が整います。
代表 高木による完全個別サポート
全てのクライアント企業に対して、代表高木が主担当としてご支援にあたります。
そのため、ご支援できるお客様の数は、月に20社までと限定させていただいております。
お問い合わせ・ご相談
弊社サービスにご興味を感じられた方は、ぜひ一度、個別相談にお申し込みください。
初回相談は無料にて対応しております。
遠方の場合は、オンラインにて対応させていただきます。
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また、弊社ではのれん分け制度のつくり方を解説するセミナーを開催しています。
「まずはのれん分け制度について学びたい」というかたは、ぜひ一度、当社主催セミナーへご参加ください。
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