フランチャイズ本部のS Vはオペレーション、フランチャイズ契約、お客様対応、加盟者の経営管理等、やるべき業務が多岐に渡ります。
ブランド力を高めることも重要な仕事です。
SVの業務は、経営コンサルティング業務とも言えます。
しかし、経営コンサルティングは無資格でも名乗ることができます。
このようなコンサルティング業務を担う点は重要ではありますが、根本に必要なスキルは「売る力」です。
「売る力」が無ければ何も始まりません。
フランチャイズビジネスは、お客様へ提供する商品・サービスが売れてこそ成り立つビジネスです。
オペレーション・契約・経理財務等の知識があってもフランチャイズ本部やS Vは信用されませんし、加盟者もついてきません。
フランチャイザー、フランチャイジーの双方が利益を上げ、安定した決算書を作り上げるには、やはり「売上」がなければ意味がないのです。
なお、フランチャイズ本部構築の進め方や成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
「売上」「売る力」とは何なのか
売る力とは、端的に言えば営業です。
S Vは、営業マンとしての機能を果たす必要があります。
本部は、提供する商品・サービスが世の中に役に立つ、消費者需要を喚起できると思うからこそ、そのビジネスを始めたはずです。
しかしながら、どんなにに素晴らしいビジネスモデルであったとしても、お客様に知って頂けなければ売上は上がりません。
ですから、お客様に本部ビジネスの価値を知らせていくことは、本部の重要な責務といえます。
SVは、それを実現するために、営業マンの機能を果たす必要があるのです。
そのためにも、S Vは、販促やマーケティングを実践で培っていかなければなりません。
営業マンとしての実践的なスキルがなければ、経営コンサルティングもできないからです。
「売る力」とは徹底力です。
「しつこさ」と表現する人もいます。
特にブランド力の無いフランチャイザーにとっては、出店した地域に根差した販促活動と営業が欠かせません。
「しつこく」「何度も繰り返し」徹底して営業活動をし続ける「根気と体力」が必要なのです。
売れないから諦めるのではなく、S Vが加盟者と一緒になって「仮説・実践・検証」の繰り返しを徹底し続けことが重要なのです。
なお、SVの育成について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
SVに求められる「仮説・実践・検証」サイクル
ブランド力があり、誰もが知っている大手コンビニチェーンの店舗開店における出来事を紹介します。
ある地域への出店を機に、クーポンチラシを撒き、地域住民のお宅へ訪問し、開店の挨拶やお知らせも十分しました。
コンビニチェーンの開店時は、多額の費用をかけて販促活動をします。
しかし3ヶ月経ったある日、店頭で清掃をしていた際、あるお客様から「そのお店で煙草は売っているの?」と聞かれたのです。
コンビニの9割程の店舗では煙草を取り扱っています。
何故そんなことを聞くのかと問いかけると、そのお客様は、地元に大手コンビニが開店したことを知らなかったのです。
店前は主要な生活道路ではあったが、そのお客様は普段の通勤時に利用しておらず、休日に通りかかっただけでした。
そのお客様のご自宅はコンビニ店舗から半径100mも離れていない場所です。
これには驚きました。
そのお客様の日常では、向いている方向が出店した場所とは違ったのです。
これは売上が予測を下回っていた一つの要因でした。
下記にロケーションを整理します。
- 出店した立地は、住宅地から最寄りの駅へ徒歩で向かう導線にあり、認知効果は良かった。
- お客様のご自宅は店舗の裏数十メートルにお住まいだが、店前は通らず駅を利用していた。
- そのお客様のご自宅にもチラシやダイレクトメールを配布していた。
- 駅前でもティッシュや「コーヒー50円引き券」を配布して販促活動をしていた。
これだけのことをやっていても、地域のお客様に響いていなかったのです。
開店したことを知らなかったのです。
何度も言いますがブランド力のある大手コンビニチェーンの出店の話しです。
この出来事を放置せず、S Vと加盟店が一緒になって仮説を立て直して対策に乗り出しました。
(仮説)
- 実施した販促活動は間違いではないが、単発実施ではマスマーケットにはヒットしない
- 継続して販促し続けなければ忘れられると思え
- お客様が向いている方向を意識することが大事
- お客様は何も知らないと思え
- ブランド力の大きさで物事を測るな。見慣れているからこそ景色になってしまうもの
- 来店される動機は其々のお客様によって異なる
仮説をもとに実施する対策を練りました。
(実践)(検証)
- 販促活動の継続 ポスティング、自宅訪問営業
- 売り込み商品は季節性、お客様の来店動機に合わせて変化させる
- 地域イベント、夏祭りへの仮説出店
- 地域のシニア施設への出張販売
- 幼稚園・保育園でのハロウィン企画のお菓子協賛
- 行政と交渉し、分別ゴミ袋の取り扱い販売
- 加盟オーナーの地域自治会参加、役員就任
- 定期的な地域での清掃活動
この加盟者は、今では売上も安定し、ナショナルブランド活用しながら、地域に根差した店舗として活躍されています。この「仮説・実践・検証」を繰り返し、集客力を高め、売上を上げる営業力こそ、S Vにまず求められる要素です。
これらのノウハウを社内で横展開し、スピードを上げて他店でも実践する仕組みが、フランチャイザー(フランチャイズ本部)には必要と言えるでしょう。
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