日本国内のフランチャイズシステムで最も成功したといわれているのがコンビニですが、その成功の本質は、変化への対応力です。
過去には、国内での展開は4万店が限界などと言われたこともありましたが、環境変化に対応し続けることで、5万店を超えた今でもなお、拡大をし続けています。
おにぎり、レジ横カウンターフーズ、デザート、公共料金、A T M、チケットサービス、コンビニコーヒー、煙草の増税・タスポの導入、キャッシュレス決済等、全て時代の変化、お客様の思考の変化に対応しようとしたことから生まれてきました。その度に集客力を高め、日販を上げてきているのです。
環境変化が急速に進む現代において、コンビニ本部が実践する「変化への対応」は企業の存続・発展に不可欠です。
コンビニでは、約3,000アイテムが、1年で7割以上が入れ替わっているとも言われますが、他業態の店舗ビジネスにおいても、これほどの変化に対応し「仮説・検証」の繰り返しができているのか、自問自答してみる必要があるでしょう。
お客様は直ぐに飽きてしまいます。
どの業種・業態の商売であっても、提供する商品やメニューを変革し続けていくことができるはずです。
なお、フランチャイズ本部構築の進め方や成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
コンビニ本部に学ぶ「仮説・実践・検証」サイクル
お客様が「欲しい物を」「欲しい時に」「欲しい量だけ」品揃えをする。コンビニは、毎日この難題と向き合っています。100%合致することなど至難の技ですが、100%に近づけるために「仮説と検証」を毎日繰り返しているのです。
品切れすれば「チャンスロス」、沢山余れば「廃棄ロス」。この厳しい戦いは終わることがありません。
しかしこの毎日の思考が、日々変化するお客様の嗜好により近づく唯一の方法です。
これこそS Vの最も重要な指導スキルです。
「チャンスロス」と「廃棄ロス」の狭間で、S V・加盟者がもがき続けながら「仮説・実践・検証」を繰り返しているのです。
このことは、コンビニ以外の小売業や飲食業・サービス業にも求められることです。
小売業でいう“品揃え”が、飲食業・サービス業で言えば「メニュー」に当たるかと思います。
小売業態以外の店舗ビジネスにおいても、自店で取り扱う“メニュー”が本当に今のお客様に合っているのか、毎日「仮説・実践・検証」を続けていかなければなりません。
「仮説・実践・検証」を繰り返し、悩み抜いた経験の数こそが競争力の源泉となるのです。
顧客の購買動機や利用シーンを捉えることの重要性
品揃えやメニューで大切なことは、「仮説・実践・検証」を繰り返す中で顧客の購買動機や利用シーンを捉え、それに合った提案を行うことです。コンビニにおける品揃え事例をご紹介します。
おでん 中華まん
寒いから売れるのではなく、寒く感じ始めるから売れ始めます。
1年で最も寒いのは1月から2月ですが、“おでん”や“中華まん”が最も売れるのは10月〜11月です。
購買動機は気温ではなく体感です。
しかも地域によって出汁の味が異なります。
アイスクリーム
セブンイレブンの強さは、実はアイスクリームの品揃えでは無いかと思います。
これも体感によって売れる商品が大きく異なります。ガリガリ君に代表される氷菓系、ハーゲンダッツが筆頭の乳脂肪分成分の高いバニラ系。
夏には氷菓系が人気ですが、ハーゲンダッツが最も売れるのは年末年始です。
各社P Bの高級商品も増えてきました。“冬アイス”なんていうキャッチコピーも生まれました。
休暇日数が長く、日頃より懐も厚く、暖房が効いて乾燥した自宅。
且つ、人が集うタイミング。高級アイスが売れて当然です。
シーンに合わせて品揃えを常に変えています。
高級アイスは冬に最も売れるのです。
これらのように、顧客の購買動機や利用シーンを的確に捉え、それに合ったメニュー提案ができているでしょうか。
小売業に限らず、飲食・マッサージ・美容院・自学教室等でも同様です。
個人のお客様へ提供するサービス業であれば、そのお客様にカスタマイズされたサービスメニューの提供が鍵を握るはずです。
飲食業やサービス業では、コンビニやスーパーのような幅広い顧客を対象とするビジネスモデルよりも、より顧客の購買動機や利用シーンを的確に捉えたメニュー提案が求められる時代になっています。
「仮説・実践・検証」を繰り返す中で、顧客の購買動機や利用シーンを捉えることの重要性がより高まっているのです。
価格競争を避けるからこそ見えてくること
上記の品揃え工夫を繰り返すことで、コンビニは価格競争に巻き込まれません。
確かに、メーカーや大手小売業の企業努力によって、従来よりも安価に販売されるようになっています。
しかし、これは「価格競争」ではなく「適正価格」です。
飲食業や各種サービス業においても同じことが言えます。
お客様が納得する味やサービス、付加価値を提供できていれば、「適正価格」での商売が可能となるでしょう。
“ドンキ・ホーテ”は驚安・劇安と謳っていますが、決して安売り合戦をしている訳ではありません。
品揃えの幅、意外な品揃え、インバウンド需要への徹底的な対応力が同社の強みであり、過去に一世風靡した「ディスカウントストア」とは一線を画しているからこそ、業績が伸び続けているのです。
快進撃を続ける“コメダ珈琲”も然りです。
決して低価格とは言えませんが、お客様の心に刺さる品揃えと提供する場所の雰囲気が、高付加価値を生んでいます。
「仮説・実践・検証」を繰り返す中で、顧客の購買動機や利用シーンを捉え、それに合ったメニュー提案をすることができれば、競合企業との価格競争を回避し、適正価格での商売が可能となるのです。
環境変化が急速に進む現代において、既存の商品・サービスを提供しているだけでは、その企業は間違いなく衰退していくことになります。
フランチャイザー(本部)は、チェーンの競争力を維持・強化するためにも、実践によって「仮説・実践・検証」を繰り返し、次の商品・サービスを生み出し続けていかななければなりません。
このことこそ、現代のフランチャイザーの重要な役割と言えます。
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