ネットラジオ『多店舗化・フランチャイズ化を考える店舗ビジネス研究所』は、弊社代表の高木と社労士の田村陽太が、飲食店、整体院、美容院等の様々な店舗ビジネスの「多店舗展開」を加速させるために重要な事を対談形式でお話しするラジオ番組です。
第59回 『焼肉店を3店舗経営しています。すかいらーくが2022年末までに約2000店舗に配膳ロボットを導入するとききました。今後、中小企業でもロボット活用を進めていくべきでしょうか。』というテーマで店舗ビジネス専門コンサルタントの髙木悠が熱く語ります。
【ハイライト】
・飲食店でロボットが活用される現状について
・飲食店でロボットを活用するメリットとは?
・中小企業はロボット活用すべきなのか?
・ロボット活用は中小企業が大手と戦えるチャンス
・人間がロボットに負けない所は何か?
・コロナ禍における飲食店の戦略について
多店舗化・フランチャイズ化を考える店舗ビジネス研究所。この番組は株式会社常進パートナーズの提供でお送りいたします。
店舗ビジネス専門コンサルタントの高木悠が最速・最短で年商30億、店舗数30超を実現する実証されたノウハウをコンセプトにのれん分け制度構築、FC本部立ち上げ、立て直し、人事評価制度の整備など飲食店、整体院、美容院などの様々なビジネスの多店舗展開を加速させるために重要なことを対談形式で分かりやすくお話しする番組です。
田村:こんにちは。パーソナリティーの田村陽太です。配信第59回目となりました。本番組のメインパーソナリティーをご紹介します。店舗ビジネス専門コンサルタントの高木悠さんです。よろしくお願いします。
高木:よろしくお願いいたします。
田村:高木さん、今日も頑張っていきましょう。
高木:はい。お願いいたします。
田村:本日のテーマはこちらとなっております。「焼肉店を3店舗経営しています。すかいらーくが2022年の夏までに約2000店舗に配膳ロボットを導入すると聞きました。今後、中小企業でもロボット活用を進めていくべきでしょうか?」ということなのですが、そういうニュースがあるんですか今?
高木:このニュースはありましたよね。これ、驚きのペースですよね。
田村:すごいですね、これ。2000店舗ってやばいですね。
高木:1年ちょっとでそれだけ導入するわけですからね。
田村:ロボットが活躍する時代が出てくるのでしょうか?
高木:結構前からロボットって飲食店でも活用され始めていて、私のお客さんでも、もう4、5年前ですかね。ラーメン店なのですけど、チャーハンロボットみたいのがチャーハンを作っていましたよ。
田村:チャーハンロボットってどういう形なんですか?
高木:いや何かフライパンに機械がついていて、フライパンが勝手に動いてるような感じですよね。
田村:ああ!ロボットがフライパンを回している訳じゃなくて、フライパンが自動的に回っている感じですね。
高木:そうそう。そういうロボット。
田村:へえ、すごい。それでは結構ロボットを活用して、人じゃなくてロボットに任せて、人件費削減みたいなそういう思いでやっているっていうことですか?
高木:そういう側面もあるでしょうし、人がなかなか確保できない特にラーメン屋とかって、人材がなかなか来ないので、そういうときに生産性向上とかの意味合いで、人がいなくても店舗運営をできるような仕組み化のためにロボットを活用してるんじゃないですかね。
田村:なるほど。結構ロボットとか買ったら高いんじゃないですか、これって?高そうなイメージです。
高木:ソコソコしますよね。初期投資としてはその後人件費が発生しないので、それを投資回収していくような考え方ですね。
田村:長期的に10年20年でペイしてくるようにという考えってことですか。
高木:そんなには時間かからないんじゃないですかね。例えば、飲食店の人件費って一般的には売り上げの2割から3割とか言うわけじゃないですか。だからすごい金額になるわけですから、これがどれぐらい削減できるかによるのでしょうけど、10%でも20%でも削減できるなら相当な金額ですよね。
田村:そうですよね。店舗ビジネスってやっぱり人件費があって成り立つビジネスですもんね。なるほど。結構このすかいらーくといえば大企業で、2000店舗に配膳ロボットを導入するっていう話なのですけど、中小企業でもロボット活用を進めていくべきなのでしょうかと話があるんですけど、この辺はどうですか。
高木:これ、なかなか難しい問題だと思うんですよね。前提として、コロナの影響もありますし、人手不足の問題っていうのは、今後どんどん進んでいくっていうのはもう間違いないと思うので、大手企業はどんどんこのロボット活用って進めていくと思うんですよね。つまり、大手企業っていうのは基本的に生産性を高めて、それでサービスの単価を下げて、もしくはコストパフォーマンスを上げて競争しているわけじゃないですか。
田村:はい。
高木:すかいらーくはわかりやすいですよね。ソコソコの品質のものをすごく低価格で提供するのが得意な会社じゃないですか。こういうロボットを導入して生産性を上げるっていうのは、ものすごく相性いいわけですよね。
田村:はい。
高木:これは多分大手企業はだからどんどん進めていくと思うのですよ。問題は中小企業がどうするかっていう話じゃないですか。前提として、ロボットを導入して生産性が上がって、かつ、今までの中小企業が提供しているサービスの品質を下げないものであれば導入していった方がいいと思うんですよ。
田村:はい。
高木:例えばロボットとちょっと違うかもしれないんですけど、シフト表を自動で作ってくれるようなソフトウェアが最近生まれたりするわけじゃないですか。こういうのはそういうシステムを使ったって、別に中小企業が提供するサービスの品質に何の影響もないじゃないですか。
田村:バックヤードの仕事ですもんね。
高木:そう。それで生産性が上がる。やっぱりこういうのはどんどん使ってもいいと思うのですよね。問題はこの配膳ロボットみたいな類のものを導入してしまうと、何が起きるかっていうと、働いた人がいなくなるわけですから、スタッフがお客さんと接触する頻度は多分相当減りますよね。
田村:そうですね。
高木:そうなっちゃうじゃないですか。中小企業って基本的に、サービスの単価や価格で勝負していないと思うんですよ。それよりは例えば飲食店で言ったら、従業員さんの感じの良い接客とか結構凝った料理とかで差別化しているケースが多いと思うんですよね。
田村:はい。
高木:仮にそういう接客とか一生懸命頑張って差別化していた会社が、もしくはそうすべきだというような中小企業が配膳ロボットを導入しちゃったら大変なことになりますよね。
田村:そうですね。
高木:大手企業には勝負できないし、でも大手企業に対する差別化要素だったそういうサービスの質も中途半端になっちゃうわけじゃないですか。
田村:確かにそうですね。
高木:だから、ロボットって活用していくべきだとは思うのですけど、どこに入れるかっていうのはよく考えなきゃいけないと思うのですよ。
田村:なるほど。中小企業の魅力が弱ってしまうところにロボット置いてしまうと、中小企業の売りがなくなっちゃいますもんね。
高木:そうそう。こういう問題って実はもうよく起きていて、私なんかが数年前からよく見るのは、結構小さい飲食店が業者の営業に乗せられたのかわかんないですけど、ある時からタッチパネル式のオーダーエントリーシステム、ああいうのが入ってるケースってたまに見ないですか。
田村:ありますね。焼肉屋とかでも結構ありますよ。
高木:そうそう。大手企業はああいうのを入れて、省力化して生産性を上げて、価格を下げていく形でいいと思うのですよね。だけど、例えば個人の飲食店とかでも入れてるところがあるんですよね。
田村:はい。
高木:でも個人の飲食店で何が魅力かって言ったら、多少価格が高くても、店主のキャラクターとかなわけじゃないですか。従業員さんの接客とかそういったところに魅力があって、お店に行ったりするケースが多いと思うんですよ。
田村;ありますね。
高木:そこにそんな、しかも結構高いタッチパネルシステムなんか入れちゃって、お客さんとの接点を減らしていたら大手と違いがなくなっちゃいますよね。
田村:確かになくなっちゃいますね。
高木:なのに価格が高いわけですよ。大手企業に価格で勝てないじゃないですか。このパターンは最悪なのですよね。
田村:なるほど。確かによく考えるとそういうところが起きているってことですね。やっぱりロボットを入れれば生産性向上とか、人件費削減して「ヤッター!!」みたいな感じに思いますけど、中小企業が元々の強みだったところっていうのが同時に消えている可能性があるってことですね。
高木:そうそう。逆に言うと、このロボットを活用する傾向がどんどん進んでいくっていうのは、中小企業にとってはチャンスと捉えられる面もあると思うんですよ。
田村:なるほど。それはどういうことですか。
高木:例えばすかいらーくみたいな超大手企業がどんどんロボット導入していって、接客のスタッフを削減していくわけじゃないですか。大手企業っていうのはだからそれで価格を下げるわけですよね。
田村:はい。
高木:そうすると機械的なサービスにはなっていくじゃないですか。ということは、人を通じて接客サービスを提供している中小企業っていうのは、大手に対する明確な差別化がそこでもう勝手にできていくわけですよ。
田村:はい。
高木:それが多少効率悪くても、それを求める人はいるでしょうし、価格が高い根拠にもなりますよね。人使っているのだから。
田村:確かに。そこはチャンスと捉えられますよね。
高木:だからそこの大手企業の方針、先ほどのすかいらーくの例で言ったらもう完全に効率を上げて価格を下げるという話なわけですね。ソコソコの商品を、価格を下げて提供するっていう方針なわけですよ。
田村:はい。
高木:大手企業っていうのは基本的にそういう方向性に行きますから、そことの違いを打ち出しやすくなると思うんですよね。
田村:なるほど。ちょっと1個質問したいんですけど、僕とかも結構飲食店に行くんですけど、学生さんとかフリーターの方とか主婦の方とか、アルバイトが接客に来るじゃないですか。接客態度がなってないみたいな人多いじゃないですか。どちらかというと僕個人的には、配膳ロボットの方がストレスなく飯が食えるかなと思うんですけど、そういう恐れはないですか。
高木:だからケースバイケースなんだと思うんですよ。田村さんが食事に行くときに、ロボットでもいいやっていう時も結構あると思うんですけど、ロボットじゃ駄目なシーンっていうのもあると思うんですよ。
田村:なるほど。
高木:そう。だからそこはどっちでやってるんだって話で、中小企業って基本的にロボットで代替できるニーズを対象にしたら、もう価格じゃ勝てないんですから、これは逆にロボット入れたって大手企業に価格じゃ勝てないじゃないですか。
田村:そうですね。
高木:だからそもそもすかいらーくと同じロボットを入れたって、ロボット導入の単価さえ違うと思うんですよ。2000台相手は買うんだから。だからもうそっちで勝負しちゃ駄目で、だからそこと差別化するのだったら、もう変な接客をしているスタッフがいるのだったらそこの教育に情熱を注ぎなさいっていうことですよね。
田村:なるほど。ちょっと脱線するかもしれないですけど、高木さんにお聞きしたいのが、さっき人間はロボットに代替できないことをするべきだっていうところがあったと思うんですけど、高木さんが考える、「自分はロボットに負けないぞ」っていう、代替できないとろってどこですか?高木さんがロボットに勝てるっていうか、人間だからこそできるってところっていうのはどこがありますか。
高木:ロボットって基本的に言われたことを言われた通りにするわけじゃないですか。逆に言うと、言われたことしかできないわけですよね。人間のやっぱりいいところっていうのは当然言われたことを言われた通りにもできるんですけど、お客様の状況に応じて臨機応変な対応ができる所なわけじゃないですか。
田村:はい。
高木:ここに決定的な違いがあると思うのですよ。そこをどうするかじゃないですか。
田村:そうですね。そこを教育していって、そういうところをちゃんと接客できるような従業員さんを増やしていくとかが大事かもしれないですね。
高木:そうそう。例えば居酒屋とかで働いていると、「ビールが残り3割になったら、追加の注文を聞いて来い」みたいなのがあるわけじゃないですか。
田村:ありますよ。
高木:これは言われた通りに、やるだけだから多分機械でもできようになるると思うんですよ。だけど、例えば、もうビール3割は切っているんだけど、なんかすごいお客さん同士で込み入った話をしてそうだみたいな空気は、これ人間にしか今のところ感じ取れないですよね。
田村:そうですね。
高木:この時はやめた方がよさそうだっていう判断とかをするっていう観点で言うと、人間は有利じゃないですか。そういったところをちゃんと教育していったら、相当な違いができますよね。
田村:確かにそうですね。ロボットを導入する際に、それを契機に人間の教育であるとか、従業員の接客態度を良くするとか、そういうのが大事になってくるのかもしれないですね。
高木:そう。だから何で差別化するかっていうのをちゃんと決めた上で、そこに影響しない範囲でロボットとか導入して、生産性を上げていくっていうのが基本的な考え方だと思いますけどね。
田村:わかりました。ありがとうございます。結構時間が近づいてきたのですけども、最後にもう1個だけ質問していいですか。さっきタッチパネルとかを導入する飲食店が増えてきたっていう話もあるじゃないですか。で、今コロナじゃないですか。どちらかというと、人との接客とかでも距離をとってとか、接触を減らすっていう流れもあるじゃないですか。
高木:はい。
田村:そういう流れと、接客でやっぱり自分たちの売りを強めていきたいっていうお店の兼ね合いもあると思うんですけど、両立するための何か工夫とかについて、最後教えていただきたいと思います。
高木:今コロナの問題があって、できるだけ接触しない方にした方がいいっていうのは、間違いなくありますよね。当然接客をして例えば会計をするとかっていう行為にはリスクがあるじゃないですか。
田村:ありますね。
高木:これはだからもう避けようがないと思うのですよ。どっちが正解なんていうのも私が今ここで「こっちが正解です」なんて言える類の問題でもないじゃないですか。大切なものっていうのは、両方ともメリットもあればデメリットもあると思うんですよね。
田村:なるほど。
高木:レジを導入したらコロナの非接触化っていう観点もあるし、最近だとレジがお客さん側に向いていてお金入れたらおつりが返ってくるみたいなレジもあるじゃないですか。
田村:ありますね。
高木:あれを入れたらいいですよね。接触も全くしないし。その代わり人と人との関わりっていうのは薄れるじゃないですか。逆に従来通りのレジで、つり銭を直接やりとりとかしていると、今度はコロナの問題が出るリスクがあります。つまり両方ともメリットデメリットあるわけですよね。
田村:はい。
高木:その中で、コロナって今の視点ですけど3年後5年後どうなるかわかんないですけど普通に考えたら沈静化していくわけじゃないですか。中長期的な観点で考えたときに、どっちが自社の経営力向上、もしくは他社との差別化に繋がりそうかっていうところをご自身の頭でよく考えて、決められたらいいんじゃないですかね。
田村:なるほど。そこら辺はメリットを自分たちで考えながら選んでいくっていうところが大事になってきますね。
高木:そうですね。メリットデメリットをちゃんと吟味して、自分たちはこっちに行くんだっていうのも、これは選択じゃないですか。なんとなく決めるのではなくて、そういう考え方をしていただくといいんじゃないですかね。
田村:わかりました。ありがとうございます。本日は中小企業でも、ロボット活用を進めていくべきかどうかっていうお話をさせてもらいました。ありがとうございました。
高木:ありがとうございました。
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