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フランチャイズ本部の人材に求められる資質・スキルと教育方法

「フランチャイズ展開を進めるにあたり、どのような人材が必要になるのでしょうか」

これは、過去に弊社のフランチャイズ本部構築セミナーにご参加いただいた居酒屋チェーンを営む経営者から頂いた質問です。

フランチャイズ展開を進めていくうえで避けては通れない問題が「フランチャイズ本部を運営する人材の確保・育成」です。

「フランチャイズシステムはトラブルが多い」といったようなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

このようなイメージの中には、フランチャイズシステムに対する偏見があることも事実ですが、直営展開と比較すれば、考え方の異なる経営者が複数関与するフランチャイズの方が、トラブルが多いことは間違いありません。
このようなトラブルを予防するためには、本部スタッフがフランチャイズシステムについての基本的な知識を習得しておくことが大切です。

しかしながら、フランチャイズシステムは専門的かつ複雑なシステムですから、基本的な知識を身に着けることはそう簡単なことではありません。

また、フランチャイズシステムでは、本部スタッフが相手にするのは経営者となります。
基本的にはスタッフよりも年上で、人生経験豊富な経営者を相手とするわけですから、本部スタッフにも早々の知識や資質が求められることになります。

加えて、経営者はクセの強い人であることがほとんどです。
合理性を重視する人もいれば、人間性を重視する人もいるなど、その特徴も千差万別となります。

このような経営者と対等にわたりあっていくためには、本部スタッフには多岐にわたる資質やスキルが求められることになりますが、このような人材は極めて希少な人材です。

フランチャイズ展開の初期段階であれば、経営者が中心となって本部運営を行うことができますが、展開が進んでくるとそういうわけもいきません。
特に、フランチャイズ展開がうまく進みだし、店舗展開のスピードが加速度的に増してくると、経営者が本部運営の細かい点まで目を行き届かせることは不可能となります。

スタッフに業務を任せていかなければ、店舗展開の速度が低下し、フランチャイズ展開の最大のメリットであるスピード展開を実現することができません。

したがって、フランチャイズ展開を進めるにあたっては、展開が加速する前にスピード出店に対応できるだけの人材を確保・育成しておくことが求められます。
基本的には、社内で育成できる教育体制を整備するべきでしょう。

なお、フランチャイズ本部のスタッフを育成するための考え方について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

【フランチャイズ本部構築決定版】第7回:フランチャイズ本部のSVやスタッフを育成する

フランチャイズ本部のスタッフに期待される資質・スキル

それでは、フランチャイズ本部のスタッフはどのような資質やスキルを身に着ければよいのでしょうか。

細かく洗い出せば様々な要素があげられますが、特に重要な点としては以下をおさえておくべきでしょう。
本部スタッフがこれらの資質やスキルを習得できるよう学びの機会を提供していくことがフランチャイズ本部の務めといえます。

①フランチャイズ知識

フランチャイズ本部で働く人材ですから、フランチャイズの仕組みについて理解していることが前提です。

フランチャイズの仕組みや、フランチャイズ展開するメリット、デメリットなどはもちろんのこと、フランチャイズに関する法律などにも精通しておく必要があります。

なお、フランチャイズに関する法律について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

>フランチャイズを規制する法律①中小小売商業振興法

フランチャイズ本部構築時に知っておきたい法律①中小小売商業振興法


>フランチャイズを規制する法律②独占禁止法

フランチャイズ本部構築時に知っておきたい法律②独占禁止法(フランチャイズガイドライン)

一見当たり前のように感じられることですが、フランチャイズシステムは非常に複雑であることから、表面上はわかったような気がしても、その本質まで理解することは並大抵のことではありません。
本部としては、その点を踏まえて本部従業員に対する教育を行っていく必要があります。

日本フランチャイズチェーン協会が開催している外部勉強会等に参加させるのも一つの有効な手段といえるでしょう。

②経営知識

フランチャイズ本部の人材が相手にするのは、店舗を利用する一般消費者に加えて、その店舗を経営する加盟店のオーナーとなります。

加盟店オーナーは独立した経営者であり、基本的には本部スタッフよりも年齢が上で、経験も豊富です。
本部スタッフは、そのような経営者とやりとりをすることになるのですから、当然最低限の経営知識を身に着けておく必要があります。

加盟者から見れば、経営の基本的な知識さえ持ち合わせていないような人とは話しをしても意味が無いと感じてしまうのは当然のことでしょう。
特に、加盟者に対して経営指導を行うスーパーバイザー(経営指導員)には必須事項といえます。

一方、対応する本部スタッフには経営経験がありません。
ですから、フランチャイズ本部としては、本部人材に対して経営の基本的な知識を学ぶ場を提供することが必要です。

③本部理念・方針の理解

フランチャイズシステムは本部と加盟者の共同事業です。
仮に、本部と加盟者が理念や方針を共有できていなければ、その関係は「儲かるかどうか」だけになってしまいます。

このような金銭だけの関係性になってしまうとトラブルに陥る確率は飛躍的に高まりますから、フランチャイズ本部としては、加盟者と理念・方針を共有し、同じ方向に向かって事業展開していく努力が求められます。

なお、フランチャイズ加盟店とのトラブルを防止るためのポイントについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

フランチャイズ本部と加盟者の契約に関するトラブルを回避する

本部の理念や方針は、本部経営者から発信されることになりますが、それを日々加盟者に伝えていくのは本部スタッフとなります。

規模が大きくなればなるほど、本部経営者から加盟店オーナーに対して直接理念や方針を伝えられる機会は減少していきます。
ですから、加盟者と理念や方針を共有するためには、それを伝える本部従業員が加盟者に伝えられるレベルで理念や方針を理解し、実践する必要があります。

④コミュニケーション能力

前述の通り、本部スタッフから見れば、加盟者は自分より年齢が上で、人生経験も豊富であることが一般的です。

そのため、どんなに人材教育に力を入れたとしても、経験では加盟者を超えることはできません。
そのような状況下でも加盟者と信頼関係を築き上げるのが本部スタッフの役割であり、それを実現するためには高いコミュニケーション能力が求められます。

本部としては、本部スタッフの基礎的なコミュニケーション能力に依存することなく、そのコミュニケーション能力を引き出すような教育研修を実施すべきでしょう。
例えば、加盟者との面談を想定したロールプレイングを定期的に実施し、あるべきコミュニケーションのあり方について意見交換を行う、等の方策が考えられます。

なお、本部スタッフがみにつけるべき加盟者との対話力について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

加盟者から選ばれるフランチャイズ本部となるために必要な“SVの対話力”

⑤チェーンの発展に対する使命感

前述の通り、フランチャイズシステムは複雑かつ運営難易度の高い仕組みです。
いかに展開している店舗のビジネスモデルが優れていたとしても、本部運営の肝となる人材の質が低ければ、チェーン展開には限界が生じます。

すなわち、チェーンの品質を決めるのは本部人材の能力や姿勢ともいえます。
その意味では、自分の働き次第でチェーンの将来が決まるという使命感が何よりも大切なことといえるでしょう。

スタッフが自らの存在価値や使命を正しく理解・認識できるよう、日々のコミュニケーションの中で繰り返し伝えていくことが求められます。

 

まとめ

以上、フランチャイズ本部の人材に求められる資質やスキルをご紹介しました。

フランチャイズシステムの顧客が中小企業の経営者となる以上、本部で働く人材には、通常の会社員には求められない資質やスキルが多く求められます。
ここで、加盟店経営者と信頼関係を築くことが出来なかったとしたら、そのチェーンが発展していくことなど考えられません。

とはいえ、加盟店経営者と対等にわたりあえる人材を外部から確保することは容易なことではありませんし、仮にできたとしても、相応のコストがかかるでしょう。
また、いつでも確保できるという保証もありません。

フランチャイズ本部としては、その点を十分に認識した上で、本部スタッフが必要な能力と資質を身に着けられるよう、人材育成についての明確な計画を持ち、積極的に学びの機会を提供していくことが求められるのです。

 

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