フランチャイズ本部がフランチャイズ展開する理由は、直営店出店より少ない投資で、短期間のうちに店舗数を拡大することが可能なため、その結果市場シェアを確保できるからです。
フランチャイズシステムとは、基本的にフランチャイズ本部と加盟者が、リスクも利益も分け合うビジネスモデルと言えるでしょう。
そのため、これから加盟を検討する加盟候補者は、本部の提供する「利益の出るビジネスモデル」と「チェーンとしての信用力」を見ています。
しかし、ビジネスモデルも信用力も確立された大手CVS本部であっても、個人の新規加盟者はあまり増えていないのが実情です。
今回は、大手CVS本部に個人の新規加盟者が増えない原因がどこにあるのかを探り、そこから、個人加盟を主としたフランチャイズ本部が新規加盟者を増やすために取り組むべきことを考えてみたいと思います。
なお、フランチャイズ本部構築の進め方や成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
転職市場は拡大のトレンド
withコロナ時代が始まり、ニューノーマルに対応した働き方やライフスタイルを考え始めた労働者が増えているようです。
終身雇用を前提とした日本型雇用制度の改革が大企業を中心に検討されはじめ、早期退職者・希望退職者も出始めています。
そのトレンドもあり転職市場は活況です。
コロナ禍で求人数は減っているようですが、閉店・休業をする飲食業やサービス業も増えており、好むと好まざると転職希望者は今後も増えるでしょう。
その中にはサラリーマンではなく、独立を希望する方もおり、転職者の母数が増えているということは、特に個人を加盟ターゲットとしているフランチャイズ本部にとって、新規加盟者を増やすチャンスと言えます。
しかしこれから独立を希望する方々は、残りの人生のライフスタイルをどう構築するかを真剣に考えています。
従って、将来のライフスタイルまでイメージできなければ、興味は持っても、加盟する決断はしないでしょう。
大手CVS本部はどうやって加盟者を増やしているのか
現状では、大手CVS本部でも新規加盟者はなかなか集まりません。
しかしそのような状況でも、加盟者を増やす手段はあります。
代表的なものは、既存店の店舗スタッフを加盟者へ育てるケース、いわゆる“のれん分け”と呼ばれる手法です。
長年、店舗に勤務している経験者なので、オペレーションはもちろん、本部の考え方も理解しています。
さらに気心のしれた本部社員のバックアップもあることから、第三者加盟と比較して加盟への心理的なハードルが低くなります。
大手CVS本部では、店長育成プログラムを整備し、レベルに応じた認定方式や加盟金免除等の特典も用意することで、本部社員の独立を後押ししています。
1ブランドチェーンで数十万人という店舗スタッフを抱えていることもあり、有力な個人の新規加盟者予備軍と考えてのことでしょう。
なお、のれん分け制度つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
その他にも、大手CVS本部がフランチャイズ店を増やす手段には以下のようなものがあります。
・単店経営の個人加盟者を複数店加盟オーナーへ育成する
・中規模・大規模法人のメガフランチャイジーへの店舗紹介
大手CVS本部は、複数店経営のインセンティブを加盟者へ付与し、店舗数を増やすほど利益が増える仕組みへと、ロイヤリティの構造を変えてきました。
この複数店経営者向けのインセンティブ費用は、数百億円に及びます。
それだけの費用をかけても店舗数を増やすことを優先するということは、大手CVS本部にとって店舗数のシェアを維持・拡大することが、利益を確保する上でいかに大事であるかということを物語っています。
業界再編が起きて当然です。
大手CVS本部に新規加盟者が集まりづらい理由
知名度とブランド力のある大手CVS本部が新規加盟者を集めづらい理由は、コンビニに対するネガティブイメージが大きく影響しているようです。
コンビニは、利用者数だけでなくアルバイト等の勤務経験者が相当数いるため、コンビニの仕事の大変さが世の中に認知され、ネガティブなイメージが定着しつつあります。
加えて、本部がフランチャイズ契約を盾にビジネスライクに加盟者と接してきた結果、加盟者の離脱を招いているようです。
規模が大きくなると致し方ない点でもありますが、個人加盟者がフランチャイズ本部に対し、本当に自分の人生を背負ってくれるパートナーなのか不安を感じ始め、契約満了のタイミングで離脱する加盟者が増えているのです。
このように大手CVS本部も新たな加盟者を増やすことに大変苦労しています。
もはや新規の加盟者は皆無のようです。
各地域で出店予算を組み、新規出店数に合わせて必要な加盟者数を見積もりますが、ここ最近の新規出店のほとんどが既存加盟者の複数店出店によるものです。
ホームページに掲載し、独立専門誌に掲載し、プラットフォームサイトへ広告も出しますが、加盟説明会では1人も集まらない会場もあるようです。
大手の苦戦に学び、新規加盟者を増やすには
大手は苦戦しているとはいえ、資本力と前述のような手段で店舗数は増やせます。
しかしこれから店舗数を増やしたい中小のフランチャイズ本部にとっては、やはり新規加盟者が必要です。
言わずもがな、自社のビジネスモデルが消費者に喜ばれる商品・サービスであり、加盟者の利益を確保できることであることは当然です。
その上で、パートナー探しのためには、ブランドを売り込む加盟店向けのマーケティング活動が必要なのです。
コロナ禍の影響で、人々はこれからの生き方を見つめ直す時間が持てました。
将来のライフプランをイメージできる働き方でなければ、職業として選択しないマインドになっています。
今後の人生設計を考えた上で、お互いが付き合っていけるビジネスパートナーであるのか、本部も加盟候補者も真剣に考えなければならない時期に来ているのです。
フランチャイズ本部にとって商品・サービスは商売として軸となる要素ですが、フランチャイズ契約の観点から見れば、本部にとって顧客は加盟候補者であるとも言えます。
売上を上げて、ロイヤリティを払ってくれるのは加盟店なのです。
この加盟店を疎かにしたら、たちまちフランチャイズモデルの根幹が崩れるのです。
今一度、加盟店あってのビジネスモデルであることに立ち戻りましょう。
まとめ
個人の加盟希望者がフランチャイズ本部へ加盟することは、自らの職業選択であり、なぜそのフランチャイズに加盟するか、明確な理由が必要です。
将来の人生設計と同時に、社会に役立つ職業なのか、尊敬され周りを幸せにする仕事であるのか、そのような問いへの答えが加盟を考える要素になってきています。
コロナ禍において小売業やサービス業は、社会の機能を維持して人々の生活を支えるエッセンシャル・ワーカーとしてリスペクトされてきています。
それだけにとどまらず、人生観や職業観をイメージできる要素を発信することが、加盟候補者の胸に刺さり、加盟へと辿り着くことになるのではないでしょうか。
加盟候補者の立場に立ち、消費者同様に加盟候補者向けのマーケティング活動もしていくことが大切でしょう。
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