多店舗展開

部下のスキルとやる気を高め自発的人材にする指導方法とは

自発的人材が求められる市場環境

先日教育関連のサービスを提供する経営者の方から、人材育成のご相談を受けました。
この経営者の方は、業界でも指導法に定評がある方ですが、事業の安定化と拡大に際し、自発的な人材の育成が会社の喫緊の課題となっています。

教育関連サービス業界には、いくつかの特徴があります。
この業界では、指導者と教材が重要な要素です。
特に、経営資源の小さい中小企業にとっては、指導者の質の占める比重がより高いと言えます。

教材は自社作成の教材とともに、主に提携している大手の教材を活用しているからです。
また、飲食店などと異なり、営業免許が必要なく、誰でも始めることができます。

そのため、他社と差別化を図るには、指導者の質を高めることが必要です。
加えて、教室を増やして規模を増やす際には、一人で授業を受け持つ量に限界があるため、経営者に加え、質の高い複数の指導者を確保しなければなりません。

またビジネス環境は、少子化により顧客となる子どもの数が減っている一方、子ども一人にかける教育関連費用は増加しています。
しかし教育方法の多様化などにより、教育関連サービス業界の中で、顧客の争奪戦は激しくなっています。

以上のような理由から、教育関連サービスを展開する中小企業では、経営者とともに一緒に事業の拡大に参画できる「自発的人材の採用、育成」が必須なのです。

部下のスキルとやる気に合わせた指導方法

自発的人材とは、自ら課題を発見し、解決策を考え、解決のために行動できる人材のことです。
自発的に行動するには、「スキル」と前向きに取り組む気持ち、すなわち「やる気」の両方を兼ね備えていることが必要です。

しかし、そのような人材は簡単に見つかりません。
やる気はあるがスキル不足の人材や、スキルはあっても積極的な行動に欠けるといった人材をどのように成長させるかがポイントです。

1.スキルを向上させるために検討する3つの視点
それでは、スキルが欠けている人材はどのように育成すればよいでしょうか?
スキルが低いというのは、与えられた業務を達成することができないことです。

それには、いくつかの理由があるはずです。業務内容や作業手順を十分に理解していなかったり、コツをつかめていなかったりする場合などです。

そこで、スキルが不足していると思われる場合は、通常の作業指導に加え、以下の3つの視点で、指導にモレがないか検討してみます。

繰り返し説明する

業務内容、作業手順を再度説明します。
一度説明したことがあったとしても、確認の意味で、部下に伝わっているか再度説明するとよいでしょう。
忘れてしまっていたり、誤解があったり、よく理解できていないことあるかもしれません。
同じ情報であっても習熟の過程において、聞くタイミングにより理解が異なります。

業務内容をまったく知らずに聞いた場合と、ある程度の経験を積んだ場合とでは、理解の深さに差があるでしょう。
経験を積んで、話を聞くことで、頭の中で自分のリアルな経験という比較対象があるからです。
1、2回だけの説明ですべてを理解できる器用な人ばかりではないことに留意しましょう。

手本を見せる

話を聞いたり手順書を読んだりすることと、作業を見ることではまったく異なります。
頭では理解していても、思い通りに作業できるものではありません。
実際の身体の動かし方や言葉の使い方を熟練者の作業などを通じて、繰り返し確認することは、より深い理解につながります。

スポーツの世界でも、手本となるような選手がいるチームは、長期にわたり強い傾向があります。これは、手本となる選手の行動がモデルとなり、習熟過程の選手の教科書となるからです。
身近に手本があることは、つねに自身の行動にフィードバックを自身で与えることが可能になります。

フィードバックする

業務を説明し、手本を見せたら終わりではありません。
大切なのは、部下の行動を確認して、フィードバックすることです。
自分では思った通りに行動できていたとしても、上司から見たらまだ不十分な点があるかもしれません。

時間や回数など定量的な結果が出るものに加え、見栄えや伝わり方など定性的な成果の作業は、フィードバックが欠かせません。
その際、成果を良い・悪いの2つで評価するのではなく、事実を客観的に振り返り、次に取り組むべき行動について対話を行います。

2.やる気を向上させるために検討すること
次に、部下のやる気が不足している場合の対応です。
前向きな気持ちが欠けているようであれば、仕事や会社に対する思いを聞いてみましょう。

主に、①勤務時間や給料などの労働条件、②仕事の決まりなどの社内ルール、③人間関係に集約されますので、原因がどこにあるのか、明らかにして対処をします。
原因が働く環境で、シフト体制や職場の快適さなどであれば、経営者がすぐに改善できる内容かもしれません。
もし、時間がかかるものでも、人事制度など経営者の意思決定次第で変えることができるものがほとんどのはずです。

ただし、給料はすぐには変えることは難しいかもしれません。
そのような場合は、他社の状況を冷静に調査し、自社の取りうる対応をします。

その上で、給料のような外発的な動機づけ要因にだけではなく、部下に対する日頃の感謝や期待、将来想定される職務や報酬などを伝え、内発的に動機づける要因に働きかけることも重要です。
社内の決まりについては、意見を聞いた上で、全社の状況を踏まえ、変更できるところは、積極的に改善します。

社会環境の変化や会社の成長にともない、以前決めたルールがいつまでも適しているとは限りません。常に見直しを心掛けましょう。
きっと会社が風通し良くなります。

人間関係については、部下が自分からなかなか周囲に話すことができずに困っている場合もあります。まず話を聞く姿勢をみせることが解決の糸口になることが多いようです。

部下の指導でもう一つ大切なポイントとは?

そして、最後にもう一つ大切なポイントをお知らせします。
指導する、というと、上司が部下に教える、と思いがちです。

しかし、最終的な人材育成のゴールである、部下を自発的人材にするためには、部下に教えることだけでは不十分で、部下自身に気づかせることが最も大切です。
“気づき”というのは、非常に大きなパワーを持っています。

例えば、野球選手が、優秀なコーチからいくらバッティング方法を教わっても、打てるようになるとは限りません。
上達するためには、アドバイスを受けた上で、自分なりに試行錯誤を繰り返し、“これだ”とあるコツに気づくことです。

また、英語の学習もそうです。
学校で文法や例文を学び、頭に入れてわかっているつもりでも、いざ英語を使う場面になるとなかなか言葉がでてきません。
しかし、海外の困った状況で、どうしてもコミュニケーションしたい場面で聞いたり、口にしたフレーズは、決して忘れることがありません。

このように、人は、人から教えられることではなく、自分で気づくことが、自分の考えや行動を変えるもっとも確実な方法なのです。
今回は、教育業界を例にして、自発的人材育成の方法についてご説明しましたが、現代のような不確実性の高い環境下では、どの業界においても言えることです。

顧客ニーズの多様化や市場の成熟化などにより、他社との競争はいっそう激しくなっています。
つまり、現代の経営者が人材育成について求められることは、部下の身になってスキルとやる気を高める指導を行い、部下にどのように気づきを与えることができるか、と言うことができるでしょう。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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