先日、関西で焼肉店を営む企業様から、「のれん分け・社員独立制度について相談したい」とご依頼があり、関西まで直接お伺いしてご相談をお受けしてきました。
ご相談者は、のれん分けやフランチャイズ、独立支援のあり方等について全く知識がない、ということでしたので、最初はのれん分けやフランチャイズに関する基本的な知識や考え方からお伝えしました。
今回もそうでしたが、意外と“フランチャイズ”と“のれん分け”を全く別物と考えている方が多いようです。
実際には、フランチャイズという大きなくくりの中にのれん分けが含まれる、という関係性になっています。
すなわち、のれん分けはフランチャイズの一つの類型でしかないのです。
なお、のれん分けとフランチャイズの違いを詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
今回のご相談者がのれん分け・社員独立制度を導入したいと思ったきっかけは「頑張ってくれている従業員さんに恩返しをしたい」という想いを持っているからとのことでした。
ここ最近、このような経営者が増えており、飲食業界が少しずつ変化してきていることを実感します。
ブラックを代表するようなイメージを持たれてしまっている飲食業界ですが、こういった経営者がどんどん増えていけば、そのようなイメージも近い将来払拭することができるでしょう。
微力ながら、飲食業界の発展に尽力したいと感じさせられる出会いとなりました。
のれん分けやフランチャイズについての基礎的な情報をお伝えした後は、当社にとってどのようなスタイルでの導入が望ましいかを検討しました。
焼肉店というのは飲食店の中でも重装備で、初期投資が極端に高い特徴があります。
無煙ロースターを導入すれば、50席もあれば3000万円はかかるのではないでしょうか。
これだけの初期投資を従業員さんが自分の力で用意するのは容易なことではありませんから、安定的に独立者を輩出できる制度とするためには、初期投資の問題を踏まえた対策が必要です。
それらのことを踏まえ、いくつか選択肢をご提案させていただきました。
選択肢①委託契約を締結する
独立者に新規店舗をつくってもらう方法が本部としては最もスマートな方式となるのですが、いかんせん、初期投資の問題がありますから、今回のケースでは新規店舗による開業はほぼ不可能です。
そういった場合、よく利用されるのが“委託契約”です。
店舗資産はあくまで本部所有のままで、店舗の経営や運営など、一部機能を独立者に委託する方法です。
なお、のれん分けによる独立形態を詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
選択肢②資金調達支援を行う
委託契約方式は、独立者からみて初期投資こそかかりませんが、事業者としての独立性など、デメリットも存在します。
そこで、委託契約ではなく、新規店舗の開業や既存店譲渡を選択したい場合の方法として、本部から独立者に対して資金調達支援を実施する方法もあります。
代表的な方法は本部による直接貸し付けですが、その他にも本部が保証人となること、サブリース方式を利用することなども考えられます
なお独立者への資金支援について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
これらをメリット、デメリットなども踏まえてご紹介させていただき、会社方針とあわせて導入する形態を検討いただくことを宿題とさせていただきました。
また、のれん分け・社員独立制度の導入にあたっては、独立者の選定基準を明確に設定することが必要です。
制度運用が軌道にのると、独立を希望する人が増えてくることが予想されます。
会社の戦略にもよりますが、独立を希望する人全員を独立させるわけにはいきませんから、ある程度本部が対象者を選定することになってきます。
その際、曖昧な基準で対象者を選定してしまっていては、せっかく従業員さんのために作った制度が、不満要素になる恐れさえあります。ですから、きっちりとした基準に基づき対象者を選定することが不可欠となります。
人事評価制度がある会社は、これと連動させればOKでしょうが、そうでない場合には何らかの対応が必要です。
今回の相談者の場合、まだ明確な人事評価制度はない、ということでしたのである程度納得性のある基準もあわせて検討するようアドバイスさせていただきました。
このような流れで、概ね相談者様の考えも整理でき、今後やるべきことも明確となったため、これにて相談終了となりました。
業態も魅力的なものでしたし、経営者や店長の考えもしっかりしていて、同じ飲食業界に身を置く者としては、是非とも構想を実現化していただきたいと思った次第です。
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