前の記事「メニューブック作成前に準備すること①コンセプトを決める」では、店舗のコンセプトを明確に定めることの重要性を紹介しました。店舗のコンセプトに基づいて、メニュー開発・販売促進・店内雰囲気・接客等を設計することで、店舗全体に統一感が出てきます。ただし、すべてのメニューが店舗のコンセプトに基づいていたとしても、その店舗のメニューの中では商品毎に売上の差が出てきます。また、利益も商品によって差が出てきます。“売れている商品”や“利益が確保できている商品”を考慮した上でメニューブックを作ることが、店舗全体の売上・利益を増やためには大変重要となります。いかに、商品毎の売上・利益の分析方法や考え方を紹介します。
単品メニューの売上・利益を確認しランク分けする
まず、商品の売上分析についてですが、各メニュー単品の売上額を抽出し、売上額の多い順に並び替え、A~Cのグループに分けていきます。単品の売上額は、“単品価格×分析対象期間の注文数”で計算します。対象期間は、最低3ヶ月間、精度を上げたいのであれば直近1年分のデータが必要となります。A~Cグループの分け方は以下の通りです。
- Aランク・・・全商品の売上額に対して、上位70%を占める単品グループ
- Bランク・・・Aに次ぐ70~90%を占める単品グループ
- Cランク・・・残りの下位10%の単品グループ
次に利益についてですが、こちらも売上同様にA~Cのグループに分けていきます。ただし、売上と同様にメニュー単品の粗利益額の多い順番に並び替えていくと、売上ランクと粗利ランクがほぼイコール状態になってしまうことが往々にして起こります。このような場合には、商品毎の粗利益率や単品の粗利金額を算出して、上位1/3がA、中位1/3がB、下位1/3がC、などのような形でランク分けした方が、その後の分析・方向性の検討をスムーズに進めることができます。
粗利益額は、売上を把握するよりも手間がかかります。メニュー単品の粗利益は、単品価格から単品の原価を引いたものとなりますので、メニュー単品の原価を全商品について調べる必要があります。個人店では、商品ごとの明確なレシピが存在せず、原価が求められないことも多いのですが、理想とするメニューブックを作るためには原価情報が必要となりますので、これをひとつの機会として、原価計算を行ってみることをおすすめします。また、すでに単品原価を把握している店舗でも、長らく原価の見直しをしていない場合は食材の高騰などにより原価が大きく変わっている場合がありますから、今一度原価を計算してみるとよいでしょう。
クロスABC分析でメニューを分類する
「売上のABCランク」と「粗利益のABCランク」を合わせ、クロスABC分析を行います。横軸に売上のA~Cランク、縦軸に粗利益のA~Cをとった、9マスのマトリックスに商品を分類します。売上と粗利益のどちらもAランクの商品グループ(AA)を上段右端のマスに書き込み、最後がどちらもCランクの商品グループ(CC)を下段左端に書き込みます。
クロスABC分析は、ドリンクメニュー・ランチメニュー・グランドメニューのカテゴリーごとに行います。さらにドリンクメニューは、ドリンクメニューだけのカテゴリーごとの分析をした方がより精度が高くなります。
クロスABC分析の結果を示す
実際のメニューブックにクロスABCの分析結果(AA~CC)を記していきます。例えば、分析結果別にメニュー表にカラーシールを貼ることで結果を見えるようにすれば、現在のメニューブックの問題点を明確に把握することができます。このクロスABC分析の結果が、新たに作るメニューブックへの掲載商品、掲載場所や掲載の大きさ等を決める判断基準となります。
以上のようにメニューブックを作る前には、現在のメニューのクロスABC分析を行い、単品ごとにAA~CCのどこに位置付けされるのかを把握してみてください。感覚ではなく、事実としてのデータを元に既存のメニューブックの問題点や改善方針を検討することが大切です。
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