『コロナで売上が4割低下しました…。これまで「社員の雇用だけは絶対に守る」と決めていましたが、もう限界かもしれません…』
これは、先日弊社に今後の経営方針についてご相談に訪れた美容業を営む経営者の言葉です。
社員のことを守りたい。しかし、今後は守ることができないかもしれない…。
このような悩みを抱えている方も多いのではないかと思います。
ひと昔前は、会社が社員の一生を守る、いわゆる「終身雇用」という考え方がありました。
しかし、時代が変わり、経営環境の不確実性が高まる現代において、会社が社員の一生を守ることは難しいかもしれません。
そこで今回は、経営環境の不確実性が高まる現代において、社員の幸せ実現のために会社に求められることについて考えてみたいと思います。
コンテンツ
1.不確実性の高い現代において、会社は「終身雇用」をコミットできない
情報化や国際化、技術革新等が進む中で、現代は不確実性が高い=将来の予測が困難な時代になったといわれています。
その象徴が、新型コロナウイルス感染症の問題でしょう。
2019年の年末頃から名前を聞くようになりましたが、まだその時点では中国の一都市の問題でした。
それが数ヶ月後には世界中の問題に発展することとなったのです。
感染症の恐ろしさに目が向きがちですが、このような事態に陥った背景には、情報化や国際化、技術革新等といった現代特有の要因があることは間違いありません。
例えば、国際化が今ほど進んでいなければ、これほど急速に感染症が全世界に広がることはなかったのかもしれません。また、技術革新や情報化が今ほど進んでいなければ、メディア等に必要以上に恐怖を煽られることもなく、これほど感染症に脅威を感じて行動を自粛することもなかったかもしれません。
裏を返せば、新型コロナの問題が過ぎ去ったとしても、またいつ環境の急変が起きるかわからない、そんな時代になっているのです。
そして、新型コロナ危機のように、今後も予想不可能な環境の急変が生じることを前提とした場合、現時点でどんなに会社経営が好調であったとしても、ある日突然、経営が成り立たなくなるリスクがあることになります。
このように考えれば、不確実性の高い現代に会社が「社員の一生を守ること」をコミットするのは、現実的に不可能といえるのではないでしょうか。
2.「守るつもりが、守れなかった…」は社員にとって最悪のパターン
そして、ここで経営者が認識しなければならないポイントは、「社員を守るつもりでいたが、結果的に守れなかった」というのは、社員にとって最悪のパターンである、という点です。
経営者から「会社が社員を守る。解雇はしない」と言われていれば、社員は安心して働くことができるでしょう。会社のために一生懸命働いてくれるかもしれません。
一方で、このような場合、普通の社員は会社を放り出されることを想定した準備をしないでしょう。会社が一生守ってくれるわけですから、その必要性がないのです。
ここに問題が生じます。
準備をしていない状態で突然会社を放り出されたとした場合、その社員は、その後、どうやって生きていけばよいのでしょうか。
独立するにしろ、転職するにしろ、決して簡単な道ではないはずです。当然、他者との競争もあるでしょう。
会社に守ってもらえると思って全く準備をしていなければ、このような競争に打ち勝っていくことは非常に難しいのではないでしょうか。
先にお伝えした通り、現代は不確実性の高い時代であり、会社は「社員の一生を守ること」をコミットすることはできないのです。
社員の幸せを願う経営者は、この点を踏まえて、今後、社員との関係のあり方を考えていかなければならないでしょう。
3.社員の経営者マインドを醸成していくことが、社員の幸せに直結する
それでは、不確実性の高まる現代において、会社は社員との関係性をどのようなものにしていくべきなのでしょうか。
この点、私はできる限り会社が社員の雇用を守ることを前提としつつも、
・新型コロナのような環境の急変により、雇用を守ることができなくなる可能性はゼロではないこと
・仮に会社が雇用を守ることができなくなった場合を想定し、社員は「どこにいっても活躍できる人材」を目指すべきであること
を社員に共有し、その成長をサポートしていくべきなのではないかと考えます。
「環境が急変し、突然会社から放り出されても、自分の力で生きていけるようになる」
これこそが、不確実性の高まる現代において、社員が持つべき経営者マインドといえるのではないでしょうか。
私は、このような経営者マインドを社員に醸成していくことこそが、社員の幸せを実現するために会社に求められることなのではないかと考えます。
弊社がのれん分け制度導入のコンサルティングに力を入れているのは、会社の経営にプラスになることはもちろんのこと、今後経営者マインドを身につけていかなければならない社員にとってもプラスになると考えているからなのです。
なお、のれん分けの仕組みの作り方や成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
まとめ
以上、不確実性の高まる時代に社員の幸せを実現するための会社のあり方をご紹介しました。
経営環境が変化する中、会社はもちろん、社員にも意識変革が求められています。
経営者が社員の幸せを心から願うのであれば、現代の経営環境にあわせて、社員の中に“経営者マインド”を醸成していくこと、すなわち、特定の会社に依存することなく生き抜いていく力を社員に身につけてあげることが、不確実性が高まる現代において、社員の幸せを実現するために必須となるのではないかと考えます。
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