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のれん分け制度の成功に不可欠な人事評価制度の考え方

「のれん分け制度を導入する際、人事評価制度も一緒に導入したほうがよいでしょうか?」

これは、先日弊社にのれん分け制度導入のご相談で訪れたリラクゼーションサロン経営者からいただいた質問です。

のれん分け制度と人事評価制度、一見関係ないように見えますが、のれん分け制度をスムーズに運営していくためには、明確な人事評価制度をセットで構築することが求められます。

今回はのれん分け制度と人事評価制度の関係性をご紹介します。

のれん分けと人事評価制度の関係性

独立候補者の見極め方」では、のれん分けを行うにあたり、独立候補者の「経営者としての資質や能力、適性の見極め」を行うことが大切であることをご紹介しました。

たとえ、一定の信頼関係が構築されている元従業員といえども、のれん分けをすることには本部にも一定のリスクがあります。
例えば、飲食店のケースで、独立者店舗で食中毒などの事故が発生した場合、その影響は独立者の店舗だけではなく、当該ブランドの店舗全体に及ぶことになります。
また、マッサージ店で顧客に怪我を負わせてしまうようなケースも考えられるでしょう。

上記のようなリスクがあることを考えれば、独立候補者を選定する際、経営者に求められる資質や能力、適性を有しているのか、慎重に見極めなければなりません。

とはいえ、このような評価を独立タイミングだけで行うことは難しいでしょう。
ある程度の時間をかけて、経営者としてやっていけるかどうか、見極めていく必要があるのです。
中長期的に評価をしていくためには、人事評価制度に当該評価指標を定めて、定期的かつ継続的に、独立者としてふさわしいかどうかを確認していく方法が効果的です。

そのため、弊社ではのれん分け制度を成功させるためには、のれん分け制度と連動させた評価制度を構築することを推奨しています。

明確な評価制度がないことの問題点

のれん分け制度の運用開始直後は独立希望者自体がそれほど多くはないでしょうから、初期段階では経営者が中心となって「独立希望者が独立後も経営者としてやっていけるかどうか」という点を見極められれば十分かもしれません。

しかしながら、のれん分け制度の運用が上手くいけばいくほど、時の経過とともに独立希望者は増えていくことになります。
独立希望者が5人、10人と増えていく中で、全員を独立させてしまっては、直営店舗の運営レベルが低下する恐れもあります。

また、
“出店する立地が見つからない”
“投資資金を確保できない”
“本部人材の確保・育成が追いつかない”
などの理由により、店舗展開自体に限界が生じることもあるわけですから、独立希望者全員を独立させることは不可能です。

独立希望者が複数あらわれた場合、独立が一人しかいないときのように「独立後も経営者としてやっていけるかどうか」という点の見極めだけでなく、複数人いる独立候補者の中から最も“のれん分けするに値する人材”を選定しなければならなくなります。

明確な評価基準がある場合、最もふさわしい従業員を選定することはそれほど難しくありません。
一方、明確な評価基準がない場合は、経営者の感覚等の曖昧な基準で独立対象者を選定せざるを得ないことなります。

ここで問題が生じます。
明確な評価基準に基づいて独立対象者が選定された場合、選ばれなかった人材に対して、なぜ当該人物が選ばれたのか、選ばれなかった人材との違いは何だったのか等を、明確な評価基準に従って説明することができます。
選ばれなかった人材から見れば納得性が高く、また次に何を頑張ればいいのかも明らかになり、今後に向けたモチベーションにもつながります。

一方、経営者の感覚などの曖昧な基準で選定した場合、選ばれなかった人材から見た時の“納得性”を確保することが難しくなります。
納得のいかない人選が行われた場合、選ばれなかった人材のモチベーションは確実に低下することになるでしょう。

このように、従業員のやりがいやモチベーションを高めるためののれん分け制度であるにもかかわらず、運用次第ではマイナスの影響を及ぼすことになりかねないのです。
このようなリスクを考えると、のれん分け制度の運用開始時点で、一定の評価基準を確立しておくことが賢明な判断といえるでしょう。

評価制度の考え方

評価制度には様々な考え方があり、会社の文化等に応じて最適な制度の在り方は変わってきますので一概には言えませんが、最低限、以下の2つについてはのれん分け制度の運用開始時点で明らかにしておくべきでしょう

①等級資格フレーム

等級資格フレームとは、会社に勤める社員の立場や役割をもとに分類し、順序づけたものを意味します。
飲食店でいえば、一般社員(初級・上級)、店長(初級・上級)、統轄店長、マネージャー、業態長、執行役員などの分類になることが一般的です。

等級資格フレームを検討する際、レベルをいくつに分類するか、という点が問題になりますが、従業員100人以下の会社であれば、7~8等級を目安に社員の等級を分類すればよいでしょう。
最初にイメージしやすい役職をマッピングし、それをベースに前後の等級、及びそれぞれの等級に求められる役割のイメージを固めていくとスムーズに検討を進めることができます。

このような分類を行い、それぞれの分類ごとに期待される役割や働き、職務の内容を整理したものが等級資格フレームです。
その組織がどのような人材を必要としているのかというモデルともいえるもので、人事制度の骨組みともいえます。

等級資格フレームによって、従業員は「会社がどのような人材を求めているのか」を明確に知ることができます。
評価制度・報酬制度とともに、従業員が業務を行う上での目標となり、モチベーションを高める役割も果たします。

のれん分け制度の運用では、まず等級資格フレームを設定するとともに、どのレベル以上の従業員を独立対象者とするのかを明らかにします。
等級資格フレームのより詳細な考え方については別の機会でご紹介したいと思います。

②評価制度

次に、各等級の職務内容や責任、期待される役割などを踏まえ、評価制度を策定します。
のれん分け制度の運用を開始する時点では、等級ごとに10~20個程度の評価指標が整備されていれば十分です。
評価指標は会社が大切にするポイントをピックアップすることになりますが、作成にあたり、以下の観点にはご注意ください。

評価を行う際、職務内容や責任、期待される役割が異なる従業員を同じ基準で評価するのは不公平ですから、等級毎に評価指標、評価基準を切り分けるべきでしょう。
ただし、7等級あるからと言って7つの基準をつくらなければならない、ということではありません。
「スタッフレベル」、「店長レベル」、「マネージャーレベル」といったように、大まかな分類で分けていけば十分です。

評価指標は、

  • 「態度=勤務姿勢、会社への貢献度等」
  • 「能力=従業員が実際に発揮している能力」
  • 「成果=個人目標の達成度」

の3つの軸で構成することが基本です。
のれん分け制度の候補者選定に活用する場合には、上記にプラスして、独立者に求める視点をいくつか盛り込んでおくとよいでしょう。

このバランスが悪いと、例えば「努力しているけどまだ結果には表れていない」というような人材を評価することができないケースや「何もしていないけれど外部環境が変わった結果、成果が出た」というような人材を高く評価しなければならないケースが生じることがあります。
会社が重視するポイントは重点的に採用しつつも、このバランスを意識することが大切です。

評価を適正に運用するためにも、評価項目はできる限りシンプルかつ少数にするべきです。
評価指標は10~多くとも20個以内に抑えるべきでしょう。

評価項目が多くなってしまう場合、同種の項目を一つにまとめられないかを検討することをおすすめします。
例えば、「挨拶ができているか」「時間を守っているか」「身だしなみは適切か」等の指標があるのであれば、「社会人としてのルールを守っているか」等のように包括的な指標に置き換え、その判定ポイントとして、前述の3つを記載しておく、などが考えられます。

まとめ

以上、のれん分け制度の成功に不可欠な人事評価制度の考え方をご紹介しました。

このように、のれん分け制度と人事評価制度は表裏一体の関係性といえるのです。
社員のために構築したのれん分け制度が社員のモチベーション低下等の問題を引き起こしてしまっては本末転倒です。

このような事態に陥らないためにも、のれん分け制度と併せて明確な人事評価制度も構築しておくべきでしょう。

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