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フランチャイズ本部が知っておくべきSV教育のあり方

加盟者と本部がフランチャイズ契約書を締結し、開店日が決まればいよいよ開店準備です。
各業態・チェーン本部によってやり方は様々ですが、開店準備の主役は担当S Vです。

加盟者がいいスタートを切れるためにS Vの責任は重大です。
開店マニュアルを整備し、フローに沿って手続きを進めていけば、基本的に漏れることはないと感じられるかもしれませんが、地域によって異なる手続きもあり、注意すべきことは多岐に渡ります。

商品の品揃え、レイアウトの決定、備品の整備、スタッフ募集・研修教育、営業許可申請、物流手配、システム手配、販促活動、商圏分析、等様々です。
しかも既存の加盟店指導と並行しながら新店準備を進めるため、S Vの業務は過酷です。

これらの業務をパッケージ化してS Vの業務負荷を出来る限り軽減しなければ、ミスも発生し、S V個人スキルによって開店精度にバラツキが出てしまいます。
業務のパッケージ化が本部としての役割です。

なお、スーパーバイジングについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ成功の鍵となるスーパーバイザーの仕組み

加盟者と信頼関係を築いたSVの事例

とある大手コンビニチェーンのS Vが経験した開店準備エピソードを紹介します。
ある地方で担当した加盟者は既存加盟者でありながら、売上不振により店舗を閉店せざるを得ませんでした。

加盟者のオペレーションレベルは高く、お客様に対する姿勢も素晴らしい加盟者でした。
しかし立地・競合環境もあり、閉店することとなってしまいました。

この加盟者はその境遇に負けることなく、次の店舗での再出発を希望し、本部もこの加盟者を全面的にバックアップする決意をしました。
いよいよ開店日の朝、加盟者と家族・協力業者・本部関係者が一同に集まり、開店セレモニーです。

司会は担当S Vが担います。
加盟者の紹介、業者様へのご協力の御礼、地域部長の挨拶から始まり、加盟者の挨拶、乾杯と続きます。

冒頭、S Vが加盟者紹介の時から異変が始まります。
考えていた原稿を頭に叩き込み準備は万端でしたが、言葉が詰まります。

内容を忘れた訳ではありません。
この加盟者の苦労を間近で見てきたS Vは、感情が込み上げてきたのです。

「失敗は許されない、加盟者とその家族の生活がこの店の売り上げに掛かっている、人生を賭けたこの店を絶対に成功させなければならない」、寝る間も惜しんで全力で開店準備に取り組んできた想いが、開店を迎えたこの日に、涙にかえて溢れ出てきたのです。
加盟者もこの担当S Vの姿を粋に感じ、一掃の努力を重ね、今では地域一番の繁盛店として成功されています。

S Vの育成・バックアップは本部の責務

この事例は一見すると、担当S Vの力量・スキルの高さ、仕事・役割に対する責任感で片付けられるかもしれません。
しかしS Vによる力量や考え方にブレがあっては、本部のブランド力は構築できません。
その為に、本部はS Vを一流のコンサルタントとして育てなければならないのです。
①経営理念に即した考え方
②基本オペレーション
③情報共有と加盟者との対話力を高める教育
コンビニのS Vは原則、直行直帰の勤務形態です。
しかし理念を徹底的に叩き込み、加盟者との対話スキルを身につけさせる為に、毎週必ず全員が集まります。

地域本部の場合もあれば全国から本社に一斉に集まることもあります。
最新の情報を一人で集めるには限界がある為です。

①・②は本部からの一方通行でもいいでしょう。
基本オペレーションは現場でのO J Tが最も有効かもしれません。

しかし③は性質が異なります。
時代の変化に合わせてS Vが学び続ける場となるのです。

加盟者への説明・説得の仕方(対話力)が日々蓄積されていき、加盟者との信頼関係構築と繋がるのです。
加盟者へ強い関心を持ち、その加盟者に合った説明の仕方をここで学び続けるのです。

加盟者も常に新しい情報を求めています。
加盟者を飽きさせない工夫が必要なのです。

学んでいるS Vには加盟者も耳を傾けます。
学んでいるS Vは加盟者への関心も想いも高まり、全力で取り組むようになります。
この③の蓄積が強固な本部への鍵となるのです。

どれだけ調査・分析をし、全力で商売をしても、売上不振による閉店はあります。
大手チェーンであっても、年間数百店の閉店があるものです。

店舗ビジネスはお店を開けてみなければ十分なお客様を確保できるかどうかは判りません。
ここも品揃えと同様で「仮説・実践・検証」です。

この失敗の積み重ねが本部の無形資産です。
止む無く閉店に追い込まれたとしても、全力で加盟者の立場に立って取り組むことで、その加盟者が店舗を移動してでも、同じビジネスをしたいと思ってもらえる本部でなければなりません。

信頼関係の構築はS Vの日々の振る舞いです。
そのS Vを全面的にバックアップできる体制の構築が本部の役割なのです。

S Vは本部の代表です。
本部はS Vを育て続ける必要があるのです。


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