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これからの飲食業界でフランチャイズ展開を始める前に考えるべきこと

いきなり!ステーキやペッパーランチを展開するペッパーフードサービスが2019年12月期の業績予想を下方修正すると発表しました。
当初の連結予想売上高が76,423百万円であったのに対し、修正予想売上高は66,536百万円と、実に10%超の大幅な修正となります。

修正の理由としては、いきなり!ステーキ業態において、同ブランド間での競合が発生していることが挙げられており、自社ブランド間での競合を回避するため、44店舗の閉店を決定しています。
同社では、すでに今年の出店計画を当初の210店舗から115店舗へ変更し、既存店の売上改善に取り組んでいたところに今回の決定となります。ひとつの分岐点が訪れたといえるでしょう。

ここ数年、同社は外食フランチャイズチェーン業界において、飛ぶ鳥を落とす勢いで展開を続け、常に話題の中心となる存在でした。
同社の今回の発表は、今後の外食業界におけるチェーン展開やフランチャイズシステムのあり方を考える一つのきっかけとなるのではないでしょうか。

ここ最近の外食フランチャイズ業界の流れや今回のケースを踏まえると、当社では、今後外食フランチャイズ業界において多店舗展開をするにあたり以下に留意する必要があるものと考えています。

なお、フランチャイズ本部構築の進め方や成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

新規事業をしたい人必見!フランチャイズ本部立ち上げの7つの手順と、FC展開成功のたった3つのポイント


(1)店舗拡大に伴うブランドイメージ低下のリスク

現代は、店舗数が一定数を超えると、ブランドイメージが低下し、チェーンとしての競争力が低下する可能性が高まる時代といえます。
そのように考える理由としては以下が挙げられます。

①チェーン店を避ける風潮の広がり

第一に、経済が成熟化し、顧客の嗜好が多様化する現代では、用途に応じて、チェーン店ではなく個性ある店舗を選択する傾向が強まっているように感じます。
例えば、一消費者のお酒を飲む需要といっても、一人で飲むのか、仲間と飲むのか、交際相手と飲むのか、家族で飲むのか、取引先と飲むのか等のように様々な用途があり、それぞれの用途に最適化した店舗を選ぶようになっています。

十数年前までは、上記のような様々な需要をすべて満たせる総合居酒屋が選ばれていましが、現代において総合居酒屋がかつての輝きを失っているのは周知のとおりです。
そこで、最近では個性豊かなチェーン店が増えているのですが、店舗数が一定規模、具体的には100~200店舗を超えてくると、消費者視点から見たときに、チェーン店の印象が強くなり、従来の個性が感じられなくなるリスクがあります。

もちろん例外もありますし、業種業態によって規模の程度も変わってくるのですが、ここ最近増えている料理の専門性を打ち出した業態は、やはり100~200店舗程度が、消費者視点から見た“魅力ある個性”を維持できる限界のように感じます。
ここ数年、絶好調であったいきなり!ステーキの既存店売上の苦戦がはじまったのも、同ブランド間での競争に加え、チェーンイメージの浸透による消費者視点から見たときの魅力の喪失があるのではないでしょうか。

上記の傾向を裏付けるように、3~4か月前の日経MJで「ステルスFC」という用語が取り扱われていました。
ステルスFCとは、消費者視点から見たときには個性的な飲食店のように見えて、仕組みはフランチャイズシステムというモデルです。

この代表例が、横浜家系ラーメン店「町田商店」を展開する株式会社ギフトです。同社のフランチャイズシステムでは、屋号や内装等を加盟オーナーが自由に決め、メニューでも独一定の自性を出すことができる点に特徴があります。

以上を考えると、今後の外食フランチャイズ業界において店舗展開を進めていくには、いかにチェーン店感を出さずに競争力を維持していくかという点が極めて重要なテーマとなることがわかります。

②人手不足問題の深刻化に伴う運営難易度の向上

近年、飲食業界を問わず人手不足問題が深刻化しています。
業種をまたいで人材獲得競争が繰り広げられる中、労働集約性が高く昇給昇格に限りがある、労働時間が長時間化しやすい、夜間の勤務がある、肉体労働の側面が強い等、働き手にとってマイナスとなりやすい要素が多い飲食業界においては、その問題はより一層深刻です。
当社がお付き合いさせていただいている飲食企業のほとんどが、人材不足問題に苦しんでいます。

そのような状況の中、展開している店舗の運営品質を維持することは、従来にも増して難しくなっています。
特に、フランチャイズシステムを採用している場合、その傾向が強い印象です。

フランチャイズの場合、当該事業に経験のない方が経営者となるわけですから、ある意味当然のこととも言えます。過去にも、接客などの運営品質が良いことをウリとして急成長を遂げた企業がありましたが、ほとんどの場合、店舗展開の進展とともにその強みが失われていった歴史があります。

働き手が不足し、採用で人を選ぶことができない現代においては、その難易度はより高いものといえるでしょう。
多くの企業は、運営を標準化して一定品質を担保しますが、このことが前述のチェーンイメージの浸透を加速させ、結果としてその業態の競争力を低下させるのです。

運営品質の高さに強みがある企業であれば、どの規模まで自社の強みを発揮することができるのか、よくよく検討した上で経営方針を固めなければ、長期的な競争優位性を維持することはできないでしょう。

(2)従来型フランチャイズシステムの非効率性

そもそも、フランチャイズシステムとは、短期間で100、500、1000店超といった多店舗展開を実現することで、一定のシェアを獲得し、ブランド浸透、規模の経済の実現等といった便益を得るために導入されたシステムです。
目標は1000店舗超、最低でも100店舗は展開することを前提として発展してきた歴史があります。

そのため、フランチャイズシステムを構築するというと、情報システムの整備、物流体制の構築など、幅広い対応が必要となり、結果として、フランチャイズシステムを整備するのに数千万円のコストが生じることが当たり前と考えられていました。

ところが、前述の通り、現代の外食業界では単一業態で100店舗を超えられればたいしたもので、1000店舗を超えるような新興チェーンはここしばらく生まれていません。
昔は店舗数を拡大することが1店舗当たりの売上向上にもつながる時代でしたが、現代はいきなり!ステーキの事例でもわかるとおり、店舗数が増えるとともに1店舗当たりの売上高が低下する傾向にある時代です。

ですから、昔と比べて100、500、1000店舗超といった多店舗展開を実現することは極めて難しい時代ともいえるのです。
このように考えると、従来型のフランチャイズシステムのように、立ち上げ段階から100店舗超を想定してシステム作りに投資をすることは、極めてリスクの高い行為といえます。

これからフランチャイズ展開をはじめるのであれば、最低限必要な仕組みから整備をはじめることで初期投資をできる限り節約し、店舗展開の進展と並行して段階的に投資をしていくことが、適切な考え方といえるでしょう。


(3)まとめ

外食フランチャイズ業界は、他のどの業種業界よりも時代変化が速いといっても過言ではありません。
今後、外食フランチャイズ業界において事業を継続・発展させていくためには、外部環境の変化にアンテナを張り、そこから何が読み取れるのかを自分なりに考え、経営方針に反映させていくことが不可欠といえるでしょう。


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