多店舗展開

会社の将来を担うリーダー人材の育成方法とは

「業容を拡大しようと思うので、リーダーを育てたいのですが・・・」
「なかなか中間層が伸びなくて困ってます・・・」

 上記は、あるサービス業の経営者の方から伺った言葉です。
 2,3店舗の営業であれば、経営者が実質的な店舗責任者として、役割や時間的に少しムリをすれば、目を行き届かせることができます。しかしながら、その体制のままでそれ以上の店舗拡大をしようとすると、現場に目が行き届かなくなり、現状以上の店舗展開に限界が生じることとなります。3店舗を超える展開を実現するには、現場を任せることができるリーダーや店長の充実が不可欠です。リーダーや店長にふさわしい人材とは、経営方針に従って、人事・経理を管理し、営業やオペレーションを仕切ることができる人材です。
 言われたことをやっているだけでは、リーダーになることはできません。組織をまとめるリーダーとは、自ら問題点を発見し、改善策を考え、行動に移し、問題解決をする=自発的人材であることが求められるからです。加えて、リーダーにはリーダーシップが求められます 。担当者レベルであれば、決められた業務をしながら、気づいたところを少し改善する程度までは、一定の教育で成長します。しかし、リーダーとなる人材には、与えられた権限内でスピーディーに行動して意思決定することが求められ、そのような人材を育てるには、人材育成方針にもとづく人材育成計画によって、長期的に育成する必要があります。 

業容を拡大するために必要な店舗や設備の取得は、調達の手間とお金をかければ解決できます。しかし、有能な人材の獲得は簡単ではありません。外部からの即戦力の採用には、基準以上の給与や賞与など特別なの条件を出さなければいけないかもしれませんし、内部での育成には時間がかかります。よって、自発的人材育成に早期に取り組むことが、その後の会社の成長のカギを握り、業容を拡大できるかどうかの分岐点となります。

自発性を高めてリーダーに必要な能力を身につける

リーダークラスに求められることは、日常の営業や業務をマネージャーとしてしっかりと管理することに加え、統率力、判断力、先見力、問題発見・解決力などの多様な能力を発揮し、日々生じる難易度の高い問題を解決することです。これらは広い意味でのリーダーシップと言っていいでしょう。また、リーダーの能力のベースとなるのは自発性であり、毎日ただ業務をこなすだけでは、身につくものではありません。

リーダー人材の自発性を高めるためには、キャリア形成支援を行うことが効果的です。人手不足により競合他社との人材の奪い合いとなっている状況のなか、成長志向の人材であれば、他社で働くことも含めて自分自身のキャリアを描いている可能性があります。そのような人材は、一つの企業に自らの一生を託そうとは考えておらず、仮に働いている企業の業績が悪化して外部に放り出された場合にも、生きていけるよう能力を身に着けたいと感じていることでしょう。そして、そのような能力を身に着けられる企業を探し求めているはずです。
そのため、自社の経営方針や成長戦略を共有した上で、自社にとって欠かせない人材であることを伝え、将来の業容拡大の際には、店長や統括マネージャー、部長などのキャリアやポストへの期待について語っていく必要があります(将来のこと、かつ、会社と対象者の成長をともなうことが前提ですので、昇進の約束はしません)。能力を承認することと将来の道筋を示すことによって、自社に対する帰属意識が高まり、リーダーとなるための能力向上の自覚が生まれます。
積極的に人材育成に取り組む会社は、自社のリクルートページを開設し、人材育成制度を発信しています。具体的には、まず会社のビジョンを明示します。従業員や求職者に目指すべき姿を示し、共感を得ることによって、その会社で働きたいと思ってもらうことが大切です。その上で、能力の向上とともに、将来のキャリアとして主任や店長、マネージャーなどの職務や職務ごとに目安となる給与を例示します。また、キャリア形成を実現するための人事考課の仕組みや技術習得のための研修制度など充実した人事制度を紹介しています。これらにより、リーダー育成はもちろんのこと、外部からリーダー候補人材を集めることもできます。

 そして、当然のことですがリーダーにはリーダーシップが求められます。リーダーシップには様々な定義がありますが、シンプルに「組織のパフォーマンスを最大化し、組織の目標を達成すること」と理解してください。
 優秀な社員が一人で目標を達成したとしても、リーダーシップを発揮したことにはなりません。リーダーは、組織を率い、部下を動かして成果を出すことが必要です。それには、自発性を高めた上で、リーダーに必要な能力を身につけなければなりません。リーダーに求められる能力は生まれながらにして備わっているものであると考えていませんか?リーダーに求められる能力は先天性のものではなく、教育で身につけることができます。
 そのための取り組みとは、基本的には、以下の2つです。

 ・リーダーシップの内容を理解し行動する。
 ・目指すべきリーダーの言動をまねる。

 リーダーに統率力、判断力、先見力、問題発見・解決力などが求められているとします。それでは、具体的に統率力とは何でしょうか?統率力とは、組織をまとめて率いる力のことです。統率力発揮のために何をすべきか、具体的に日常業務を想像して考えます。組織をまとめるためには、会社や店の目標や計画を部下に示して周知すること、組織を率いるためには、問題発生時に迅速に意思決定することなどです。また、先見力とは、未来を見通す力です。将来を見通すことは難しいですが、売れ筋商品の状況やお客様の声などの変化を敏感に察知し、仮説を立てて、解決策を立案することです。 上記のようなイメージで、リーダーにふさわしいテーマを提示して、具体的な行動内容を考えさせるとよいでしょう。リーダーに必要な取り組みが理解され、自発的な行動につながっていきます。
このように、リーダーに求められる能力ごとに、具体的な取り組みとして理解し行動することが、リーダーとしての能力を高めます。その際、身近な店長などの言動や経験を参考に、自分の行動に反映することがとても役立つはずです。

長期的視点で自発的人材を育成する

 自発的人材育成の仕組みの活用によって、組織的に自発的人材を育成できることになりますが、すぐに自発性を備えたリーダーや店長が育つわけではありません。成果をすぐに求めたくなるような短期的視点では、その人材の潜在的な能力を引き出しきれない恐れがあります。そこで、中間管理職層として会社の一助を担う人材の育成は、会社の将来を左右することであり、長期的な取り組みである、という認識が必要です。これは、自社だけが特別な環境にあるのではなく、競合他社も同じですので、早期に行動することが重要です。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)


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