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成長意欲の高い人材を集めるための取り組みとは

(1)就職活動生が就職先を決める時に重視する項目

株式会社リクルートキャリアが就職内定している大学生・大学院生を対象にした「就職プロセス調査」の結果を公表しました。その中で、「就職先を確定する際に決め手になった項目」を尋ねたところ、「自らの成長が期待できる」が47.1%と約半数が回答し、「福利厚生や手当が充実している」や「希望する地域で働ける」などを抑え、一番になりました。(図1 就職先を決める際に決め手になった項目)
人口減少やグローバル化、ITなどの技術革新が進む中、社会環境が大きく変わってきており、従来の経営手法が通用せず、大企業でさえ経営危機に直面することも珍しくありません。また、高齢化により人生100年時代と言われ、1つの会社やキャリアで一生働く見通しを立てることが困難になりつつあり、若い人ほど成長に関する意識が高くなっているのでしょう。

図1 就職先を決める際に決め手になった項目

上記の回答率より低い他の項目として、「ゼミや研究等、学校で学んできたことが活かせる」、「教育・トレーニング環境や研修制度が充実している」、「会社・団体の知名度がある」、「フレックス制度、在宅勤務テレワーク、育児休暇等働き方に関する制度が充実している」、「会社・団体の規模が大きい」、「裁量権のある仕事ができる」、「課題活動(サークル、アルバイト)や学校以外で学んできたこと・経験を活かせる」、「会社・団体の規模が小さい」、「副業ができる」がある。
(出典)株式会社リクルートキャリア「就職プロセス調査」をもとに筆者作成

(2)成長を目指す人材の獲得と育成

成長志向のある人材を獲得するにはどうしたらよいでしょうか?職者との接点である採用において、「成長できる環境」があることを伝えることが重要です。例えば、募集する職種を掲載するだけではなく、実際に自社で活躍している先輩社員の具体的な業務内容、キャリアアップの流れ、仕事に対する想い、目標や夢などを情報発信することは、入社後の働くイメージアップにつながります。忙しいとは思いますが、面接の場に同席させて質問に率直に応えたり、上記の内容を伝えたりすることで、求職者の心に通じる自社PRができるでしょう。また、そのような選考を経て自社の企業文化や業務などを理解して入社した従業員は、入社後の思い描いていたイメージと現実の認識のギャップを小さくすることができ、離職率も低くなる傾向があります。
また、人材育成の方法として、人事評価制度の適切な運用を通じて、従業員が日々成長を実感できるような体制を整備することが大切です。人事評価制度により、期待する役割と個人の能力のギャップを把握することで、会社や個人に必要な人材育成を行うことが可能になります。例えば、個人として接客や調理、サービスなど専門分野を伸ばすには、レベルにあった専門学校に通わせることもできますし、リーダー育成には、他社のリーダークラスが集まる社外の研修に参加させるなどして、ノウハウを得るとともに、切磋琢磨して刺激を受けることも効果があるでしょう。また、会社全体で接客に関する知識や作業をワンランクアップさせるのであれば、集合研修が適しています。
「2017年東京都経営革新優秀賞」の最優秀賞を受賞した水上印刷株式会社の経営理念は、『日本⼀勉強する会社を⽬指す!「個」の成⻑を後押しする企業制度』です。個の成⻑を後押しする基本的な理念として、「就業時間の10%である200時間を、研修や勉強など「未来活動」に充てる」という⾵⼟を確⽴しています。業種や業界、事業規模が異なれば、対応策は異なりますが、自発的に成長を求める人材育成の取り組みとしてとても参考になります。是非、自社にあった人材育成策を検討、実施し、情報発信してみてください。

(3)人事評価制度と人材育成の連携

自らの成長に関心が高い人材の場合は、支援するための人材育成制度を整備することで、教育を行う効果も高くなります。人材育成の方法はいくつかありますが、人材が多様化する中、個人の能力を高めるためには、個人にあった教育が必要になります。
人事評価制度では、適切な評価基準の設定により、評価を定量的に行うことができます。また、定期的な評価面談やフィードバック面談において、取り組んだプロセスや結果の振り返りや期待する役割の共有ができます。それにより、会社に対する帰属意識が高まり、業務に対するモチベーションが高まるでしょう。このように、人材育成が一層重要な今こそ、人事制度における人事評価制度に着目してはいかがでしょうか?人事評価制度は、従業員が納得し、信頼性の高い制度にする必要がありますので、不慣れな場合は、専門企業に相談することがよいでしょう。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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