不確実性が高まった現代では、従来のように、同じことを繰り返すだけでは、会社は生き残ることはできません。
これから期待される商品やサービスを想定し、自社の強みを活かしながら顧客に受け入れられる商品やサービスを生み出すことができる会社だけが生き残ることができます。
会社が新しいものを生み出すためには、多様な情報を受け入れ新しいアイデアを考え出す必要があります。
そのためには、主体的に課題を見つけ自ら行動できる自発的な人材が必要です。
しかし、自発的人材は、短期間で育成できるものではありません。
企業がしっかり腰を据えて地道に取り組むことが必要です。
そこで、自発的人材育成を進めるにあたって、はじめに取り組みたいポイントをいくつかご紹介します。
経営者が率先して行動すれば、少しずつ会社は変わり社員も変わります。
なおのれん分け制度を構築して、事業拡大したい方は、こちらのコラムも合わせてご覧ください。
(1)不確実性が高い現代で生き残ることができるのは新しい商品やサービスを生み出す会社
「当社もさらに人材育成に力を入れていきたいので、どのように人材育成制度を変えればよいでしょうか?」
これは、都内でサービス業を展開する経営者の方の言葉です。
この経営者の方と以前人材育成についてお話をしたことがあったのですが、この方は先日ある経営者の集まりに出席し、人材育成の必要性を実感したそうです。
話をした半分くらいの経営者がすでに人材育成に力を入れており、ご自身が考えていたより多い数字で少し驚いたそうです。
この方も、人材育成は重要だと思い、数年前から社内の人事制度を整備してきました。
しかし、それでは十分でない、と思ったそうです。
ここ数年「想定外」という言葉を頻繁に聞くようになりました。10年~20年では起こらないが、50年やそれ以上の期間で起こるようなこと、もしくは今まで起こらなかったようなことが度々起こるようになりました。
大型台風の上陸などの異常気象、大規模山火事や干ばつ、飢饉、ウィルスの大発生、大地震の発生や原発の災害などです。
それらが起こる度に、社会や市場に影響を及ぼしてきましたが、今回のCOVID-19の影響は、多くの人々の生活や働き方を大きく変えつつあります。
このような不確実性が高まった現代では、従来のように、同じことを繰り返すだけでは、会社は生き残ることはできません。
これから期待される商品やサービスを想定し、自社の強みを活かしながら顧客に受け入れられる商品やサービスを生み出すことができる会社だけが生き残ることができます。
会社が新しいものを生み出すためには、多様な情報を受け入れ新しいアイデアを考え出す必要があります。
そのためには、主体的に課題を見つけ自ら行動できる自発的な人材が必要です。
(2)自発的人材育成のためにはじめに取り組みたいポイントとは
自発的人材は、短期間で育成できるものではありません。
人材育成には何年もの時間が必要です。
企業がしっかり腰を据えて地道に取り組むことです。
そこで、自発的人材育成を進めるにあたって、はじめに取り組みたいポイントをいくつかご紹介します。
自発的な人材を育成する企業風土の醸成
自発的人材が育つためには、そのような人材が育つ環境が必要です。
おいしい野菜がなり、きれいな花が咲くには、肥沃な土壌や水分、気温などの環境が重要なように、人材が育成される企業風土を醸成する必要があります。
その第一歩は、経営者がこの目標に対して、強くコミットメントすることです。
経営者が覚悟を決めて、社外や社員に約束します。
経営理念や経営方針、目標への反映
経営者のコミットメントを社内外に表明するために、経営理念や経営方針、目標へ反映させます。
これにより経営者の本気度と覚悟を社内外に伝えます。
社員を変えたいなら、まず会社や経営者が変わる必要があります。
伝え方はいろいろあります。「人財の成長が会社の成長」や「人に投資する」などの意志をこれらに織り込みます。
経営者や上司が学ぶ姿勢を見せる
理念や方針を明確化したら、次に行動で示します。
人を動かすためには、まず自分が率先して行動することが欠かせません。
極端に言えば、人の行動は変えることができません。
変えることができるのは、自分の行動です。
特に、部下に変化をもたらしたければ、経営者や上司がその姿勢を示し、率先的に会社を目標に近づけようと行動することです。
経営層が行動せずに、社員に声だけをかけても「笛吹けども踊らず」です。
変化の激しい市場のなかで、会社が成長を続けるためには、経験者である管理職であっても絶えず学習を続けます。
過去の知識や経験の一部は変化が大きい社会ではすぐに陳腐化します。
インプットなしに、新たな気づきやアプトプットはありません。
長期の人材育成計画を作成
人材育成は長期にわたります。
そこで、この1年から10年くらいの期間を想定した人材育成計画を作成します。
なぜこのような長い期間の計画が必要なのでしょうか?
それは、社員が若手から自発的に考え行動できるリーダー、管理職になるにはこのくらいの期間が必要だからです。
また、新入社員などの人材採用計画は現在の社員の年齢構成などを考え、長期的な視点により立案する必要があります。
また、キャリアに応じたOJT(=オン・ザ・ジョブ・トレーニング。
現場での実践を通じた教育方法)やジョブ・ローテーションなどの人材育成や人材活用制度、研修計画も作成します。
長期な見通しに立った人材育成計画があることで、有望な人材の可能性を最大限発揮できるようになります。
人材育成のポイントは、その社員のもてる力を最大限発揮させることです。
多様なコミュニケーション
社員に対して、さまざまな角度から多様なコミュニケーションを心がけます。
例えば、研修にしても、従来の集合研修スタイルからオンライン形式など複数の方法があります。
特にこの1年のCOVID-19の影響で、オンラインで研修を受けることは格段に便利になりました。
リーズナブルなコストで、目的にあった研修が多くなり、受講しやすくなっています。
また、職場においても教育訓練に限らず、日頃から多様性を意識します。
女性と男性、外国人と日本人、世代の異なる社員、子育てや介護などに従事する働き方が異なる社員など、多くの社員が多様な変化のある環境で業務をできるようにします。
さらに、社内のコミュニケーションも、経営者が自ら社員に挨拶することはもちろんのこと、若手社員との1on1ミーティング(1対1の対話の機会)の実施、仕事とプライベートの会話と親睦など、社員が活きいき働けるような風通しのよい職場環境を整備します。
多様性のある環境が創造性を高めます。
(3)経営者が変われば必ず社員は変わる
このように経営者が率先して行動することで、少しずつ会社は変わり社員も変わります。
人材育成はマーケティングや調達のような社外の環境や取引先を相手にする経営施策と異なります。
外部環境に対する経営施策は、どんなに良いと思える対応策を実施しても、外部環境や相手が想定した通りに反応してくれなければ、その経営施策は成功とは言えません。
しかし、人材育成は社内で実施できる経営施策です。
経営者が強いコミットメントをして行動を続ければ、必ず芽が出て花が咲き実がなります。
(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)
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