人材育成

会社の中堅社員を活用し若手を自発的人材に育成する際のポイントとは

コロナ禍での生活スタイルや価値感の変化により、新しいサービスや商品が次々と生まれています。
これまでの既成概念にとらわれず、本当に必要とされているサービスや商品を提供するために、事業変革の内容や適切な業務内容を積極的に考えることができる自発的人材が必要になります。

今回は、会社の中心的な役割を果たしている中堅社員を活用し、会社の業績を上げるとともに若手社員を育成するために、中堅社員にあらかじめ教えるべき効果的な対話のポイントについてご紹介します。

なお、店舗ビジネスのキャリアの限界を突破する「のれん分け制度」づくりや成功のポイントを知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

事業拡大したい経営者必見!のれん分け制度をつくる7つの手順と、成功の3つのポイント

(1)本当に必要とされているサービスや商品を提供することが必要になってきた

コロナウィルスの影響が長引いています。この影響はさまざまなところに出ています。
コロナウィルスが密を避けるといった制約条件をもたらし、それが短期間ではなく長期間続いています。

結果として、業界の規模や形態を変えるかのような人々の生活の仕方や働き方などの変化が起こっています。

例えば、以前は朝に満員電車で通勤することは当たり前でした。
誰もが好んではいなかったと思いますが、仕方ありませんでした。

しかし、リモートワークの普及により、通勤は当たり前ではなくなりました。
このように生活スタイルや価値感の変化により、当たり前と思っていたサービスや商品でさえも不要になるケースがでてきています。

代わりに新しいサービスや商品が次々と生まれています。
これまでの既成概念にとらわれず、本当に必要とされているサービスや商品を提供することが会社を持続的に成長させるために欠かせなくなりました。

(2)付加価値のある業務に集中するために中堅社員を活性化する

そのため、どのように会社が事業内容を変革し、社員が業務すべきかを積極的に考える必要がでてきました。

現在提供しているサービスや商品に付加価値はあるのか?
お客様や社内の別の部署に本当に役に立っているのか?
作業は十分に効率的か、ムダな作業はないか?
など、価値のある業務を見極める必要があります。

そこで、会社のオペレーションの中心的存在となっている「実務経験豊富な30代の中堅社員」に注目することをお勧めします。
企業の中では、中堅社員の働きぶりが業務の成果を左右しているからです。

また、中堅社員は経営層をボトムアップで刺激し、入社数年の若手社員を動機づけるなど会社の組織風土や雰囲気を決定づけていないでしょうか。
つまり、中堅社員を活性化することは、一石二鳥、三鳥にもなります。

(3)会社の中堅社員を活用し若手を自発的人材に育成する際のポイントとは

一方、当たり前と思っていたサービスや商品でさえも不要になるほど不確実性が高まった社会では、自発的に行動できる人材を育てることが重要です。

どのようなサービスや商品が本当に必要とされているかを試行錯誤しながら見つけなければいけないからです。
それには、トップダウンだけでは限界があり、多様な意見が必要です。

そこで、自発的人材を育成するために、中心的存在である中堅社員の影響力を活用します。
若手を自発的人材に育成するために中堅社員に一役買ってもらうのです。

ところが、実務経験豊富な中堅社員といえども、後輩の育成については経験が十分で正しい知識を持っていないかもしれません。
そこで、若手社員を自発的に行動できる人材に育成するために、中堅社員がリード役として動けるように職場でできる効果的な対話のポイントを教えていきます。

具体的には次のようなことです。

言葉をかけることを意識する

一日のはじまりは挨拶からです。
挨拶がしっかりできる職場は活気があり風通しがよくなります。

若手社員のなかには、挨拶をしなかったり、相手の顔や目を見ずボソボソと言うだけの人がいるかもしれません。
しかし、中堅社員が毎日見本を示すことで、次第にできるようになります。
少なくとも出社時と帰宅時には、返事の有無にかかわらず先輩社員から挨拶をします。

また、若手社員の様子で気づいたことがあれば、小さなことでも声をかけるようにします。
例えば、いつもより元気に見えるときは「動きがいいね」、いつもより口数が少ない、元気がなさそうなときなどは「顔色が悪いようだけど」、「何か悩んでいることない?」などです。

いつも気にかけるようにすることで、変化に気づきやすくなります。
仕事とプライベートを分ける必要はありません。
声をかけられることで若手社員は気にかけてもらっている安心感や職場での自身の存在感を認識することができます。

対話を双方向にする

中堅社員は自らの知識や経験を話すことに加え、若手社員の話を聞くようにします。
話を聞く時間の方を多くします。

若手社員が経営者や管理職と気軽に話をすることは簡単ではありません。
身近な中堅社員だからこそ、話しやすいのです。そこで、話を聞くことを意識し、話を否定したり批判しないようにします。

否定や批判などのネガティブな返答が続くと「これを言ったら怒られるかな?」などと若手社員は萎縮してしまうため、そのような気持ちにさせず、何でも話しやすい雰囲気にします。

そして、質問形式を心がけさせます。
若手社員から話を引き出すため対話を質問形式にします。

例えば、話のなかで「どう思った?」、「その後どうなった?」、「今までと違うところは?」、「どれが好きなの?」などと質問を挟みます。
質問がうまく作用すると話がのってきます。

一方、留意したいことは「なぜ?」を連発しないことです。
仕事でもプライベートの話でも、行動や思いの理由をつい聞きたくなります。

とくに、仕事熱心で問題解決が得意な人ほどそうなりがちです。
しかし、若手社員にとっては「なぜ?」を繰り返されると、何か悪いことをして詰問されているかのように感じてしまいます。

「なぜ?」と聞きたいときは「それでどうするの(どうしたの)?」と質問すると良いでしょう。
その次の行動を聞くことで、その原因を想定できるものです。

以上のような対話のポイントを中堅社員にあらかじめ伝えますが、若手社員から率直に話を聞くと、不平や不満が出るときがあります。
その際は、その良し悪しをその場で評価せず、話を聞くにとどめ、中堅社員同士や上司、経営者と共有し相談するのがよいでしょう。

単なる若手社員のわがままかもしれませんが、その不平や不満の本質を見つけられれば、会社としての改善点に気づくこともあります。
組織として対処するようにします。

(4)中堅社員の成長が若手社員の成長につながる

このように、中堅社員を若手社員と積極的に対話を行わせることで、若手社員は活きいきと働きやすくなり、自発的に行動するベースを作ることができます。

また、その役目を担っている中堅社員も相手の話を引き出そうとすることで自ら考えるようになったり、話を聞く機会が増えることで多様な考えや思いに気づくようになったり、聞き役という役目を意識することで先輩として見本となる行動を心がけるようにもなります。

このような意識や行動の変化が、中堅社員の考え方を変え、行動をいっそう積極的にします。
そして、これまで以上に仕事に充実感や満足感を覚えさせます。

このように、会社の中核である中堅社員に注目し若手社員の人材育成を担わせることで、中堅社員と若手社員ともに成長につながる相乗効果が期待できます。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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