人材育成

自発的な人材育成のために、キャリア構築支援がますます重要になる理由とは

現在は変化の大きい社会ですが、コロナ禍が拍車をかけました。
これまで多くの人が想像できなかったことが起き、人々の考え方や生活様式を変化させているようです。
このような状況で企業が持続的な成長を続けるには、この変化に応じた対策が必要です。

ある調査によるとキャリア構築を支援する取り組みを導入している企業は3割もないそうです。
一方、社員は約半数が現在働いている企業でキャリア構築を希望しており、8割もの多くの人がキャリア構築に不安を感じているそうです。

そこで今回は中小企業の経営者が、率先して自発的人材育成のためにキャリア構築支援を行うことの重要性についてご説明します。

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(1)長引くコロナ禍でますます重要になる自発的人材の育成

長引くコロナ禍の影響は大きく、業種により偏りはありますが、多くの企業が厳しい状況に置かれています。
売上の減少にとどまらず、働く社員のモチベーションの維持・向上や健康管理などについても対応が必要になっています。
これまで多くの人が想像できなかったことが起き、それが1年半以上も続くなかで、人々の考え方や生活様式を変化させ、終わりが見えなくなってきているようです。

このような状況で企業が持続的な成長を続けるには、この変化に応じた対策が必要ですが、その1つは人材育成に関する取り組みです。
何が正解かわからない社会では、決められたことや指示されたことをするだけではなく、自ら考え、自発的に行動することができる自発的人材がいっそう求められているのです。

(2)キャリアという言葉の持つ意味とは

自発的人材を育成するためには長い時間がかかります。
そのため、長期的視点にたったキャリア構築が必要です。

このキャリアという言葉は一般的に職業や経歴を指すように使用されることが多いようですが、人により持っているイメージが多少異なっているかもしれません。
キャリアという言葉はもともと外来語で英語のCareerのことであり、それが日本語としてそのまま定着し使われるようになりました。

カタカナの外来語として、長い間使われているということは、従来の日本語にふさわしい言葉がないからでしょう。
このキャリアという言葉には、これまでの過去の職業や経歴とともに、これから将来の職業や経歴も含んでいると考えることができます。

(3)社員と会社、両者にとって重要なキャリア構築支援

このような社会背景のもと、これからはいっそう、この「将来に向けたキャリア開発によるキャリア構築」が社員と会社両者にとって重要になります。

その理由は、
・社員にとっては、人々が健康になり定年の延長などでますます長く仕事に従事するようになるに従い、評価された環境で自らの能力を発揮し、働くモチベーションを維持・向上させること、
・会社にとっては、働く意欲の高い社員を通じて会社を持続的に成長させること、
が必要だからです。

ところが、ある調査によるとキャリア構築を支援する取り組みを導入している企業は3割もないそうです。
一方、社員は約半数が現在働いている企業でキャリア構築を希望しており、8割もの多くの人がキャリア構築に不安を感じているそうです。

その理由はさまざまですが、社員は直接の利益である「給料」を、将来も安定して稼ぐために、将来のキャリアについて高い関心をもっているということでしょう。
反面、企業にとっては、売上増やコスト削減などと違い、短期的な業績への貢献が見えづらいキャリア構築支援という人材育成には、あまり積極的に取り組む必要性を感じていないということでしょう。

しかし社員が安心して働き、働く意欲を上げてもらうためには、社員の不安や要望に応えるキャリア構築支援は必要ではないでしょうか。

(4)不安定な時代だからこそ難しいキャリア構築

キャリア支援、開発、構築などに関しては、これまで大企業が先行していました。
体力のある大企業は、社員の希望する能力開発を支援するため、研修メニューや能力開発プログラムの充実などを図ってきました。
いくつかの企業では、社内異動制度などで社内の異なる職場に就業する機会を提供しており、昨今では副業の奨励などの幅は、社外にまで拡大しています。

社員はこれらにより、多様な経験や自社からの給与以外の所得を得ることができますが、制度を適切に利用するためには、自分がどのようなキャリアを構築したいのか、どのようなプロセスを経て到達したいのかなど、キャリアプランが明確である必要があります。
しかし、実はそれが若い社員にとっての難題の1つです。

不安定で変化が激しい世の中だからこと不安であり「キャリアを構築したい」と考えますが、一方、「社会や会社が将来求める人物像やスキルを見通せないから何から手をつけたらよいのかわからない」というジレンマに陥っているのです。
つまり大企業でも、自信を持って社員のキャリア支援をしている、効果が出ている、と言い切れる企業は少ないのかもしれません。

(5)中小企業こそ始めたい、自発的人材育成の取り組みとは

そこで中小企業としてできることは、「会社が人材を大切にし、育成すること」を経営方針の1つに掲げ、経営者が率先して若い社員とキャリアについて語り合うことではないでしょうか。
この不安定な社会で働くなかで、社員が仕事をしながら考えていることや感じていることに耳を傾けます。
若い社員が関心を持っていることや不安を抱いていることを受け止めるのです。

それは、会社の教育訓練制度や今後のキャリアパスについてかもしれませんし、今従事している仕事の将来性かもしれません。
将来期待される役職や身につけるべきスキルなどを率直にアドバイスしたり、会社のモデルケースとして将来の役職や年収などを示したりします。
このように、経営者の口から直接社内に社員が進むべき道があることを伝えます。

同時に、社員の希望を実現するための研修制度や、ベテラン社員から若い社員への技能伝承、自発的に行動するための社員交流の機会の充実などを図ります。
研修やセミナーは、以前はそれなりにコストがかかりましたが、現在ではコロナ禍のよい影響として、オンラインでの実施が可能となり、コスト的にも時間的にもかなり利用しやすくなりました。

これからは人材育成に力を入れることが、企業の持続的な成長につながります。
そして、そういった人を大切にする企業には優秀な人材が集まってきます。
しかし人材育成に即効性はなく、時間がかかります。

だからこそ実施しているライバルが少なく、気づいた時には「圧倒的な差別化要因」「強み」となっていることでしょう。
一度、自社の人材育成についての方針や計画を、見直されてはいかがでしょうか。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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