独立を希望している社員がいるため、のれん分け制度の導入を検討しています。
導入にあたり、どのような点を注意すべきでしょうか。
これは、先日弊社にのれん分け制度構築のご相談に訪れた整体院を営む経営者からいただいたご質問です。
のれん分け制度導入時の注意点は、経営者からのご相談でよくいただく質問の1つです。
しかし、そのポイントは多数あるため、残念ながら1回のご相談の中でお伝えしきれるようなものではありません。
なので、個別相談でこのご質問をいただいた時には、私が最も重要だと思う点についてお話しさせていただいています。
今回は、その内容である「のれん分け制度導入目的に基づいて一貫した仕組みづくりを行うことの重要性」について考えてみたいと思います。
(1)のれん分け制度は「問題解決のツール」という認識を持つ
のれん分け制度の導入を検討されている経営者によくあるパターンが、「いま目の前にいる独立希望者にあわせた制度を構築しようとする」というものです。
すでに候補者がいるわけですから、その候補者にあわせて制度構築しようと考えることは、ある意味当然かもしれません。
しかし、ここで考えてみてほしいことがあります。
のれん分け制度の導入を検討されている経営者が最終的に目指す姿は、「のれん分けで独立者を輩出することなのか」ということです。
これが最終的な目指す姿であれば、目の前にいる独立希望者に適した制度を構築して、独立をさせてあげればいいでしょう。
しかし、私がこれまで相談を受けてきた経営者の中に、「のれん分けで独立者を輩出すること」が最終的に目指す姿だった方は一人もいません。
どのような経営者も、のれん分け制度を導入しようと考えた裏側には、実現したい姿や解消したい悩みをお持ちです。
例えば、実現したい姿でいうと
- 会社と社員の間で真のWin-Winの関係を築きたい
- 会社の事業拡大と社員の自己実現を両立させたい
- 社員に独立した経営者となって、幸せな人生を歩んでもらいたい
などが代表的なものでしょうか。
決して、「のれん分け制度を導入し、独立者を輩出すること」が最終ゴールではないはずです。
にもかかわらず、いま目の前にいる独立希望者にあわせた制度を構築してしまっては、独立者を輩出することができても、経営者の想いを実現できる可能性は低いでしょう。
のれん分け制度は、経営者の想いを実現するためのツールに過ぎません。
のれん分け制度の導入にあたり、まずはこの点を心に刻んでおく必要があります。
(2)のれん分け制度を導入する目的を明らかにする
以上を踏まえ、弊社ではのれん分け制度導入に取りかかる前に以下の3点を明確化し、常に確認できるよう書き出しておくことを推奨しています。
- 何のためにのれん分け制度を導入するのか
- のれん分けを導入して解決したい悩みや問題は何か
- のれん分けを導入して3年後、5年後に実現したい姿はどのようなものか
そして、のれん分け制度構築時には、制度導入の目的を常に確認し、制度構築の道しるべとしていくのです。
なぜこのようなことを推奨しているのかというと、のれん分け制度設計の細かい論点に入ると、目の前にいる独立希望者や社員の特性などの現実に流され、多くの経営者が目的や目指す姿を見失い、結果、「のれん分けにより独立者を輩出させること」があたかも目的であるかのような考え方になってしまうからです。
例えば、自立した経営者になってほしいと考えているのに、独立時の資金調達や独立後の赤字リスクを本部が面倒見るような制度設計をしていては、独立者は到底自立した経営者になどならないのです。
このような矛盾を生じさせないためにも、のれん分け制度構築に取りかかる前に、会社がのれん分け制度を導入する目的や実現したい姿を明らかにし、それを実現するためののれん分け制度を設計していくとともに、当初の目的や実現したい姿からはずれていないかどうか、日々振り返りを行って軌道修正をしていく必要があるのです。
まとめ
今回は、のれん分け制度導入目的に基づいて一貫した仕組みづくりを行うことの重要性をご紹介しました。
弊社にご相談に訪れる経営者の多くが、ご自身の考え方と、弊社の考え方との違いに驚かれます。
この違いは、経営者が目の前にいる独立希望者や社員を想定して制度のあり方を検討しているのに対して、弊社はあくまで経営者が実現したい姿や解消したい悩みを基準に制度のあり方をご提案させていただくことから生じます。
経営者が実現したい姿や解消したい悩みを基準に制度のあり方を考えていくと、目の前にいる独立希望者や社員とのれん分け制度の間に乖離が生じるため、のれん分け制度の運用ハードルは高まります。
しかし、その壁を乗り越えなければ、のれん分け制度で独立者を輩出できたとしても、経営者が目指す姿を実現できる可能性は低いのです。
せっかくのれん分け制度を導入するのであれば、たとえ運用ハードルが高くとも、経営者が目指す姿を実現できるのれん分け制度を目指すべきでしょう。
弊社は、そのチャレンジを全力で応援いたします。
なお、のれん分け制度構築についてさらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムも合わせてご覧ください。
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