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のれん分け制度におけるフランチャイズパッケージの5大要素

のれん分け制度やフランチャイズシステムの構築を進めていくうえ難しいのが「フランチャイズパッケージをどうするか」という点です。

フランチャイズパッケージは本部のビジネスモデルや経営方針、想定している加盟対象者などによって千差万別となるため、すべての本部に当てはまる理想形はありません。
このことが、フランチャイズパッケージを難しくしている要因とも言えるでしょう。

とはいえ、どの本部にも共通する基本的な構成要素があることも事実です。
具体的には、以下の5つがあげられます。

①商標使用許諾
②ノウハウ(マニュアル)提供
③商材提供
④開業指導
⑤経営指導

のれん分け制度におけるフランチャイズパッケージの検討にあたっては、上記5つの要素を軸として、検討を進めていくとよいでしょう。

そこで今回は、フランチャイズパッケージの5大要素をご紹介します。

 

(1)商標使用許諾

商標とは、事業者が自己の取り扱う商品・サービスを他人のものと区別するために使用する識別標識です。
“のれん分け”と言われるほどですから、ブランド価値のある本部の商標を独立者にも使用させることが一般的です。

のれん分けやフランチャイズ展開を行う際には、使用する商標について、特許庁に申請して“商標登録”を行っておく必要があります。
商標登録を行うことで、はじめて本部が当該商標を独占的に使用することができるようになるからです。

仮に商標登録がされていない場合、他社が同じ又は似ている商標で同種の商売をはじめた場合に、その使用を中止させることができません。
また、万が一他社が先に商標登録をしてしまった場合、最悪のケースでは商標を使用できなくなることさえ考えられます。

本部が長年培ってきたブランドイメージはチェーンにとって重要な財産であり、その商標を使用できることは独立者にとってとても大きなメリットの1つとなります。
その権利を確実なものにするためにも、のれん分けやフランチャイズ展開時の商標登録は必須事項といえます。

なお、商標は、業種区分ごとに登録を行います。
例えば、飲食業では43類で登録することになります。
自社が展開する業種区分はもちろんのこと、経営指導を実施してロイヤリティを得る場合には、35類(経営指導)も取得しておきましょう。

 

(2)ノウハウ(マニュアル)提供

マニュアルとは、目に見えないノウハウを標準化、仕組み化して可視化したものです。
ノウハウを可視化することにより、店舗の運営水準や人材育成速度を飛躍的に高めることができます。

一部でマニュアル不要論が唱えられることもありますが、基本的な業務習得を行う上ではマニュアルは必要不可欠なものといえます。

のれん分けの場合、すでにその業態で経験のある元従業員であることから「マニュアルは不要」などと考えられるケースも多いですが、独立者が雇用する従業員に対しての指導の際にはマニュアルが必要となりますし、独立して時間がたつにつれて独立者が徐々に自己流になっていくことも当然に考えられますから、そういったことを予防する上でもマニュアルの存在は必須といえます。

また、フランチャイズのビジネスモデルからの視点でいうと「ノウハウを提供した証拠」という意味でもマニュアルが重要となります。
本部と加盟店でトラブルが生じた場合に「ノウハウ提供の有無」という点がしばしば問題となりますが、マニュアルを渡した事実があれば、最低限のノウハウを提供していることは客観的な事実となるからです。

このように考えると、のれん分けにおいてマニュアルの提供も必要不可欠なものといえるでしょう。

 

(3)商材提供

のれん分けやフランチャイズでは、本部を経由して店舗運営に必要な商材を供給することもよく行われます。
チェーン店にとって、全店で同じ品質のサービスを提供することは極めて重要な要素となりますから、チェーンとして核となる商材(例えばラーメン店でいう麺やスープなど)については、本部からの購入を義務付けることが一般的です。
また、本部としては中間マージンを得ることができ、ロイヤルティと並ぶ安定収入にすることができます。

ただし、なんでもかんでも本部からの購入を義務付けられるわけではない点に注意が必要です。

例えば、ビールは同じメーカーであればどこで購入しようと品質は一定です。仮に同じビールを本部で買うよりも隣の酒屋で買った方が安く購入できるのであれば、普通であれば隣の酒屋で購入するでしょう。
にもかかわらず、本部からの購入を義務付けることは、独占禁止法に定められた「優越的地位の濫用」に該当する可能性があります(詳細は「フランチャイズ構築時に知っておきたい法律②独占禁止法」を参照)。

このように根拠がなく本部からの購入を義務付けることは、独占禁止法上の問題となるリスクがあります。
したがって、本部からの商材購入を義務付ける場合には、なぜ本部から購入しなければならないのか、その根拠を明らかにし、契約書などでも明確にしておくことが大切です。

 

(4)開業指導

元従業員といっても、自分が経営者として店舗を一から立ち上げるのは初めての経験となるでしょうから、開業時には本部からの積極的なサポートが必要です。

一般的なフランチャイズの場合、開業指導の主な項目は、立地選定、店舗設計(及び施工)、教育研修、その他開業全般のアドバイスとなりますが、元従業員を対象とするのれん分けの場合には、会計業務、労務管理業務など、開業に関連する諸手続きについてのサポートが中心となるでしょう。

開業指導において注意すべき点は、収益予測の取り扱いです。

のれん分けやフランチャイズにおいて、本部は独立者または加盟者に対して売上予測値を積極的に開示する義務はありませんが、開示する場合は客観的・合理的根拠に基づいて提示する義務を負います。

仮に根拠のない数値を収益予測として開示し、開業後に収益性の点でトラブルが生じた場合、本部は一定の責任を負うことになります。
トラブルリスクを低減するためにも、のれん分け・フランチャイズ展開の初期段階においては収益予測まで提示せず、実在店舗の実績値や全店平均値の開示に留めることが望ましいでしょう。

 

(5)経営指導

経営指導とは、開業後に定期的に加盟者を訪問し、経営面や運営面についての指導をすることです。
経営指導は、ロイヤルティに対する主な提供価値となりますから、経営指導の内容や実施頻度については、契約書上などで明確化しておくことが大切です。

のれん分けでは、マニュアルと同様、経験のある元従業員ということで経営指導を含まないケースが多いのですが、弊社としては、極力経営指導もパッケージに含めるべきだと考えています。

経営指導も行われないのにロイヤリティを支払う状態が何年も続けば、独立者が不満を持つのが普通です。
本部と独立者間の信頼関係を維持するためにも、定期的に顔を合わせ、悩みに寄りそう姿勢が必要でしょう。

 

まとめ

以上、のれん分け制度におけるフランチャイズパッケージの5大要素をご紹介しました。

上記の5つの要素は、ほとんどの本部のフランチャイズパッケージに含まれている内容です。
この内容を基準として、自社のビジネスモデルや経営方針、想定している加盟対象者などを踏まえ、本部の発展と独立者の自己実現を両立するために必要なフランチャイズパッケージのあり方を模索するとよいでしょう。

 

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