「フランチャイズ展開する店舗モデルについて、注意すべき点はありますか?」
これは、過去に弊社がサポートをさせていただいたまつげエクステ店をフランチャイズ展開する経営者からいただいた質問です。
フランチャイズ本部は、 “成功に再現性のあるビジネスモデル”を確立し、加盟店に対してそのノウハウを提供していく必要がありますが、その確立を目指すうえで大切なのが、事業ドメインといわれるものです。
事業ドメインとは、自社が勝負する事業領域のことで、コンセプトともいわれることもあります。
詳細は後述しますが、簡潔に申し上げると、ビジネスモデルの軸というべきものです。
成長経済時代には、幅広い顧客ニーズに対応(例えば、居酒屋事業であれば総合居酒屋)した企業が顧客から選ばれる傾向にありましたが、経済が成熟し、激しい競争環境にある現代においては、特定の事業領域に事業範囲を絞り込み、自社の経営資源を集中的に投下していくことが求められています。
このビジネスモデルの軸がぶれてしまっていては、今の時代、競争に勝ち残ることが難しいことは明らかです。
ですから、フランチャイズ展開を開始する前に、自社の事業ドメインを明確化し、以降の事業展開の道しるべとしていくことが大切です。
なお、フランチャイズ本部構築の進め方や成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
事業ドメインを検討する3つの視点
事業ドメインを整理するにあたっては、以下の3つの観点から整理をしてみるとよいでしょう。
①ターゲットとする顧客のニーズ
「どのような顧客のニーズを対象にするか」を明らかにします。
以前は「40代の主婦層」等といったように、顧客の性別や年齢、職業等でターゲットを絞る風潮がありましたが、現代では、同じ性別・年齢・職業であっても、その人によってニーズは様々ですし、同じ人でも状況によってニーズが変化します。
例えば、「40代の主婦層が食事をする」といっても、
- 自分一人で軽く食事するのか、
- 親しい友人と会話を楽しみながら食事をするのか、
- 会社の同僚と日常的な食事をするのか、
- 家族団らんの食事なのか、
等によってニーズが変わり、選択するお店も変わるはずです。
ですから、顧客の性別や年齢、職業等でターゲットを絞ることは、現代においてはあまり意味がありません。
あくまでも、顧客のどのようなニーズや用途を対象とするのかを明らかにする必要があるのです。
前の「40代の主婦層が食事をする」例でいえば、
- 落ち着いた雰囲気で会話を楽しみたい、
- センスの良いお店を知っていることを友人にアピールしたい
- できるだけ安価に、それなりに美味しい料理を楽しみたい
等のイメージです。
ニーズで考えるのが難しければ、顧客が感じている悩みや不満から想像してみるとよいでしょう。
②顧客に提供する価値
ターゲットとする顧客ニーズに対して、自社が提供する価値を明らかにします。
具体的な商品やサービスではなく、あくまで価値ベースで捉えることが大切です。
現代はモノ消費ではなく、コト消費が求められている時代です。
飲食店で言えば、美味しい料理を提供することは当然のことで、飲食店として顧客にどのような食体験を提供するかを明らかにする必要があります。
例えば、スターバックスのコンセプトの中には「お客様のサードプレイスとしてより豊かで潤いのある時間を提供する」という文言があります。
まさに、顧客に提供するものをモノではなく、価値で捉えている典型例といえます。
スターバックスのお店の在り方を見てみれば、すべてがこのコンセプトに基づいて設計されていることが読み取れるはずです。
このように、自社が顧客に提供するものを価値ベースで捉え、何をするにも、それを基準に考えていくことで、魅力的で一貫性のあるチェーンを構築することができるのです。
③競合企業に対する差別化要素
競合企業に対する自社の差別化ポイント=絶対に負けないポイントを明らかにします。
飲食店でいえば、接客の品質に設定する企業もあれば、提供メニューのコストパフォーマンスに設定する企業もあります。
基本的には、顧客に提供する価値を高めていく上で最も重要なポイントを差別化要素として設定し、それが継続的に実現できるよう、必要な仕組みを整備していくことになります。
例えば、接客品質を差別化要素とするのであれば、それを実現するためにどのような教育研修システムやマニュアルを整備するか、等となります。
単純に今の強みを上げるのではなく、顧客ニーズや提供価値を踏まえて、今後長期的に磨いていくべきポイントを明らかにするとよいでしょう。
まとめ
以上、ビジネスモデルの軸となる事業ドメインの考え方をご紹介しました。
弊社では、店舗ビジネスを営む企業経営者様と日々接していますが、繁盛している企業とそうでない企業を分かつ最大の要因は、この「事業ドメインがどれだけ研ぎ澄まされているか」という点にあるように感じています。
例えば、ファミリーレストランが全般的に苦戦している一方で、フルサービス型の喫茶店が好調なのは、まさに、この事業ドメインの研ぎ澄まされ度に大きな差があるからではないでしょうか。
“成功する仕組み”を加盟店に対して継続的に提供していくフランチャイズ本部としては、時代にあった事業ドメインを確立し、その軸に従ってビジネスモデルをブラッシュアップし続けることが大切でしょう。
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