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フランチャイズ本部が策定すべき“基準となるマーケティング戦略”

「フランチャイズ展開する際、加盟店が取り扱うサービスはどの程度決めておくべきなのでしょうか?」

これは、過去に弊社がサポートをさせていただいた鍼灸整骨院チェーンをフランチャイズ展開する経営者からいただいた質問です。

フランチャイズシステムを簡単に説明すると、
・本部から加盟店に対して成功する仕組みを提供し、
・その見返りとして加盟者は本部に対して対価を支払う、
というものです。

本部は加盟者に対して成功する仕組みを提供するわけですから、加盟店が本部と同じような成果を得られるよう、基本的には、加盟店が店舗で取り組む内容の大半は、本部が基準やルールを定めておく必要があります。

具体的には、本部が設定した事業ドメインに基づき、自社が展開する業態の基本となるマーケティング戦略を整理し、加盟店が一定の成功を収めるために、守らなければならないポイントを明らかにしていきます。

なお、フランチャイズの事業ドメインについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部が明確にすべき事業ドメインとは



 

フランチャイズ本部が策定すべきマーケティング戦略とは

業種業態によって切り口は若干異なりますが、おおむね以下のような視点を整理しておくとよいでしょう。

① 商品・サービス

フランチャイズ展開を志向するほどですから、提供する商品やサービスはおおむね固まっていることでしょうが、商品・サービスによってはフランチャイズ展開に向かないものもあります。

例えば、提供するのに高い技術が必要で、技術を習得するまでにそれなりに時間がかかるようなものを、フランチャイズ加盟店に提供させてしまうと、店舗によって提供品質にばらつきが生じ、結果的にチェーン全体の競争力を引き下げることになりかねません。

また、一般的に、本部よりもノウハウや経験が少ないフランチャイズ加盟店では、直営店に比べて収益性が低くなる傾向にあります。
フランチャイズ加盟店の場合、ロイヤリティ等の追加コストが発生することを考えると、直営店は現状の商品・サービスで十分に収益を確保することができていたとしても、加盟店は十分な利益を確保することができないかもしれません。

このような場合は、より収益性を高めるための商品・サービス導入を検討しておいた方がよいでしょう。

以上のような観点から既存の商品・サービスを見直し、フランチャイズ加盟店に導入する商品・サービスを固めていきます。

② 立地条件

フランチャイズ事業が成立する立地条件を明らかにします。

店舗ビジネスでは、「成功するかしないかの7割は立地で決まる」といわれるほど、出店立地が重要な要素となります。
立地条件については妥協することなく、成立する条件を細かく洗い出していく必要があります。

基本的には、現在展開している直営店のうち、モデルとなる店舗を選出し、そのモデル店舗を基準に重要な要素を抽出し、設定していきます。
切り口としては、最低限、以下内容は整理しておくべきでしょう。

立地タイプ
  • 駅前、繁華街、住宅地、商店街、オフィス街、郊外ロードサイド、ショッピングセンター内など、展開する業態が成立する立地タイプ。
商圏の範囲と規模
  • 店舗の商圏範囲はどの程度の広さになるか、またその商圏内にどの程度の市場規模が必要か。
  • 商圏範囲は、既存顧客の情報があれば、地図にプロットしていくとよい。
  • 市場規模は、「商圏内のターゲット顧客の人口・世帯数×家計調査の品目別支出金額」にて算出可能。
主要導線との関係性
  • 近隣主要導線からどの程度の距離である必要があるか
  • 近隣にあった方がよいものとその条件(駅から徒歩●分以内、大学と駅の導線上にある等)
建物の条件
  • 適正な面積、視認性の条件、ビルイン店舗の場合は階層、坪あたり賃料の目安、駐車場の有無 等

③ 店舗内外装

店舗内外装は、当該店舗に対する顧客の印象を決める重要な要素です。

チェーン店では、一般的に「どの店舗にいっても同じ体験ができること」が重要視されますから、店舗内外装についても標準形を明確化し、フランチャイズ加盟店に遵守してもらう必要があります。

店舗内外装のデザイン、看板のイメージ、使用する什器備品や機械設備など、消費者からみたブランドイメージを保つために必要となる要素を細かく設定していきます。

なお、店舗内外装の設計については、フランチャイズ加盟店にまかせず、本部が実施することが一般的です。

④ 販売促進

フランチャイズ加盟店が独自で実施でき、かつ効果が見込める販売促進活動を明らかにします。

どのようなビジネスモデルにもライフサイクルがあり、好調な時もあれば、不調な時もあります。
また、どのような好調なチェーンでも、店舗展開の進展に伴い、思った通りに売上を上げられない、いわゆる不振店舗は必ず現れてきます。

そのようなときに、フランチャイズ加盟店の自助努力によって業績を立て直せるよう、フランチャイズ本部はノウハウを蓄積しておくことはもちろんのこと、それを整理して加盟店に示せるようにしておく必要があります。

⑤ その他

上記以外にも、営業時間、スタッフの体制、店舗運営の方法など、本部が展開するビジネスで一定の成果を出すために必要な項目を洗い出し、基準を明確にしておくことが必要です。

 

まとめ

以上、フランチャイズ本部構築時に策定すべき“基準となるマーケティング戦略”の考え方をご紹介しました。

フランチャイズシステムでは、本部は加盟者に対して成功する仕組みを提供し、その対価を得るわけですから、加盟者が高い確率で成功できるよう、店舗におけるマーケティング戦略もできる限り標準化しておくことが求められるでしょう。

このような標準形を確立しておくことによって、フランチャイズ加盟店の成功の再現性を確保できるとともに、フランチャイズ展開時の出店スピードを高めていくことができるのです。

 

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