多店舗展開

店舗ビジネスを営む企業がキャリア教育を行わなければならない理由

先日、弊社がご支援させていただいている鍼灸整骨院チェーンの店舗責任者向けに“キャリア研修”を行ってきました。

内容は、
・店舗ビジネスにおけるキャリアの考え方
・各社員が望むキャリアを得るために身に着けるべき能力
・のれん分け制度の仕組み
といった構成です。
2時間程度の時間で、参加された方々それぞれのキャリアのあり方を真剣に考えていただきました。

弊社では、店舗ビジネスを営む企業は、各社員が“自らのキャリアを考える機会”を積極的に提供することが不可欠であると考えています。

今回は、その理由やキャリア教育を通じて伝えるべきことをご紹介したいと思います。

店舗ビジネスにおいてキャリア教育が必要な理由

店舗ビジネスにおけるキャリアの限界

まずはじめに抑えておくべきことは、“店舗ビジネスは他業種と比べて社員のキャリアに限界が生じやすい”という点です。
具体的に申し上げると、ヒトを通じてサービスを提供する店舗ビジネスでは、社員一人が生み出せる売上・利益が他業種と比べて少ない事実があります。

例えば、美容や整体等のサービス業では、施術者一人当たりが月に80万円売り上げたら大したもので、100万円売り上げるような店舗は稀な部類に入ります。
また、飲食店では、スタッフ一人当たり月100万円超を売り上げることも可能ですが、食材原価がありますので、粗利ベースで考えれば、サービス業と同じ程度になるでしょう。

一方、機械を通じてモノをつくる製造業、パソコンを使ってサービスを提供する情報通信業等は、店舗ビジネスと比較すると、社員一人が生み出す売上・利益は圧倒的に多くなる傾向にあります。

社員一人が生み出す売上・利益が多いということは、その分だけ社員に支払う給料原資を大きくすることができますし、より多くの出世の道を用意してあげることもできます。
一方、社員一人が生み出す売上・利益が少ない店舗ビジネス業では、社員に支払える給料原資も、出世の道も、他の業種と比べると自ずと限界が生じることになります。
結果として、店舗ビジネス業では、長時間労働、低賃金、出世の限界等の問題が生じることになるのです。

ここで強調したいことは、上記の事実は特定の企業に問題や原因があるのではなく、店舗ビジネス業界全体に共通する内容であり、店舗ビジネスの特性から生じる避けようのない問題であるということです。
まずはこの点を正確に認識する必要があります。

店舗ビジネスの特性

店舗ビジネスでは、ヒトを通じて顧客にサービスを提供するため、働き手のモチベーションの高低は、企業の競争力に直結します。
仮に、働き手が長時間労働、低賃金、出世の限界等に不満を感じているとするのであれば、必然的に提供するサービス品質も低下します。結果、企業の競争力は失われていくことになります。

私も、飲食店の店長時代には、自らのキャリアに夢も希望もいだくことが出来ず、腐っていた時がありました。私は幸運にも、素晴らしい方々と多く出会い、また支えていただくことによって、その状況を脱出することが出来ました。しかしながら、私のような恵まれた環境にある方ばかりではありません。
これまで、多くの企業で働く社員の方々と接してきましたが、当時の私のように自らの将来に夢も希望も抱けず、くすぶっている社員の方々を目にすることが多々あります。

社員のモチベーションが低い状態で、企業が発展し続けていくことなどありえません。
このような状況を打破するためには、各社員が自らのキャリアを真剣に考える機会を積極的に提供し、夢や希望を見つけてもらうことが重要なのです。

キャリア教育で伝えるべきこと

それでは、キャリア教育として、会社は働き手にどのような内容を伝えていくべきなのでしょうか。
私が大切だと思うことは、以下の2点です。

店舗ビジネスでのキャリアアップには限界があること

これは前述したとおりです。
店舗ビジネスは、その特性上、給料アップも出世も、他業種と比べると限界があります。
これは特定の企業に要因があるわけではありません。

社員の立場で考えれば、この道を選んだ以上、自分のキャリアをどうしていくのか、どうしていきたいのか、を誰よりも真剣に考えなければなりません。また、それを実現するためには、積極的に行動していく必要もあります。

どこに行っても活躍できる人材となる必要があること

店舗ビジネスにおけるキャリアアップの限界を踏まえると、働き手には2つのキャリアの選択肢が提示されることになります。

一つは、今の企業の中で限られた出世の道を勝ち上がっていくこと、
もう一つは、その他の道(他業界への転職、独立等)で仕事をすること、
の2つです。

どちらの選択肢を選んだとしても、働き手には相応の意識やスキルが求められることになります。

企業内で出世をしていこうと考えれば、企業内での競争に打ち勝たなければなりませんが、限られた出世の枠を勝ち取ることは容易なことではありません。
また、他業界への転職や独立という道は、一見すると青い芝生に見えますが、実際に行ってみれば、優秀な人材が集まった競争の厳しい環境です。キャリアの途中でその競争環境に参入し、勝ち上がっていくことは並大抵のことではありません。

以上をまとめると、今店舗ビジネスで働いている人が望む未来を勝ち取るためには、どこに行っても活躍できる人材にならなければならないのです。


この2点を社員に対して明確に伝え、望む未来を得るために、今、やるべきことが何であるのかを真剣に考えてもらうことが、キャリア教育に求められることといえるでしょう。

まとめ

店舗ビジネスで働く人にとって、この“キャリアの限界”は非常に深刻な問題であり、モチベーション低下の原因ともなりえるものです。一方、社員のモチベーションが低下すれば、ヒトを通じてサービスを提供する店舗ビジネスは、競争優位性を保つことができません。

このように考えれば、店舗ビジネスにおける働き手のキャリア問題は、まさに企業の行く末を左右する重要な経営課題であるとも言えます。

店舗ビジネスを営む企業は、この問題と真摯に向き合い、解決のための打ち手を積極的に講じていく必要があるのではないでしょうか。

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