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今後の独立へ向け、経営者からのれん分け対象者へ伝えていただきたいこととは

ここひと月ほどの間に、二人の創業者の話を聞く機会がありました。
偶然26歳と同じ年齢、しかも二人とも店舗ビジネスでの創業です。
現在のコロナ禍では、店舗ビジネスは最も影響を受けている業種でありながら、「なぜ今創業するのか」は興味深く、「のれん分け」の可能性を私なりに考える機会になりました。

なお、のれん分け制度つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

事業拡大したい経営者必見!のれん分け制度をつくる7つの手順と、のれん分け成功の3つのポイント


(1)創業のタイミングとは

一般的に創業計画は、事業の内容や収支計画、そして自己資金の準備等、短くても半年くらいは時間がかかるものです。
特に「自分で事業をしたいなあ」と独立や創業をぼんやり思い描いてから、実際に事業計画や収支計画を作成し、具体的に出店場所を探し始め、実際に開業するまでには、もっと長い時間がかかることでしょう。

つまり現在創業計画を実行に移している人は、「コロナ禍以前から創業を決めていた人」がほとんどです。
なので「自分が決めた時期がきたから創業するのです」ということなら、「今」創業する理由は特にないでしょう。

とはいえ、やはりこの業況を不安に思い、創業時期を先延ばししている人がいるのも事実で、弊社ののれん分け制度構築のご支援先でも「対象者がもう少しの間、社員でいることを希望している」というような連絡が入ることもあります。

(2)なぜ今、店舗ビジネスでの創業なのか

ではなぜ、彼らは「今」創業したのでしょう。
これは前述のように、以前から創業を決め準備してきたので、タイミングが来たからということのほかにも、いくつか理由があるようなのです。

具体的には、「探していたエリアに手の届く賃料での物件が出たから」という理由です。
都内の人気エリアでは、ここ数年賃料が高止まりしており、なかなか創業者の手の届く賃料で、かつ納得いく場所での空き店舗が出てこなかったのです。

それが今回のコロナ禍の影響もあり、賃料は多少下がり、さらに「居ぬき物件」がぽつぽつ市場に出回り始めているようです。
事実、今回話を聞いた一人は、約半年間自己資金を貯めながら条件に合う物件を探し、先日やっと合致する店舗が見つかったから、ということでした。

ここからわかることは、計画的に準備をしてきた人にとって、今は人気のエリアや条件の良い物件への出店チャンス、ということではないでしょうか。

(3)どこに勝機を見出しているのか

さらに理由を詳しく聞くと、それは「勝てるイメージを持てたから」というものです。
具体的には書けませんが、自身のサービスをどんなターゲットにどのように提供すれば、売上と利益が確保できるのか、その道筋に確信が持てた、ということです。

商売を始める際にそれらを考えることは当たり前ですが、私が興味を持ったのは「コロナ禍で不安は無いのか」ということです。
当然、彼らも不安はあるでしょう。
リスクのない事業はありえないからです。

しかしその不安を払拭して、「いける!」と思った根拠を二人の話を聞きながら考えました。
そして二人に共通していたのは、「つながり」と「データ」です。
「つながり」とは、顧客とのつながりです。
これが明確にあること、つまり直接アプローチすることのできる「つながり」ある顧客や母集団がすでにあるのです。

二人は全く違う店舗ビジネスです。
しかしそれぞれ「自分の顧客数は、今現在、約何人です」と答えました。
そしてその顧客へアプローチする方法も明確で具体的でした。

さらに「データ」とは、それらの顧客がこのコロナ禍の時期に、どのような行動をとっているか、創業前に何らかの「データ」をとっていたのです。
例えば、顧客の購入頻度や購入金額といった購買行動であったり、広告からのコンバージョン率であったり、自分が創業後に働きかけたら、どのような反応が返ってくるか、データをもとに予想し、「勝機はある」と判断していたのです。

(4)のれん分けには「つながり」も「データ」もある

ここからわかることは、現在の業況において創業者の不安を払しょくするものは、「顧客とのつながり」とそれを裏付ける「データ」ではないか、ということです。

もちろん自己資金が不足しないか、そもそも貯められるか、といったこともあるでしょう。
しかし「この事業でいける!」「勝てる!」と思う要因は、やはり何といっても売上を確保できるだけの顧客数、さらに言えば、このコロナの状況でも自店を利用してくれる顧客との「つながりの明確さ」ではないでしょうか。

そしてその「つながりの明確さ」を裏付けるのが、「データ」です。
誰がいつ、何をどのくらい、購入したのか、利用したのか、そしていくら売上や利益があったのか、また店からどんな働きかけをしたら、どんな反応があったのか、そういった日々の記録です。

これらは「のれん分け」なら、対象となる独立者に経営者は明示できるものではないでしょうか。
例えば既存店の引継ぎパターンであれば実績を示すことができ、新規店舗の委託でも、同規模店舗の過去の実績値やこれまで自社で行ってきた宣伝広告の反応率等を示すことができるでしょう。

そしてこういった「つながり」と裏付ける「データ」が既にあること、それこそが「のれん分け制度」で独立することの優位性であることを、経営者の方には、独立対象者に伝え続けていただき、今後を見据えた独立へ意識を向けていただければと思います。

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