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のれん分け制度の2つのタイプ

のれん分け制度は、長年にわたりお店で働き、貢献してくれた従業員への恩返しを目的として、江戸時代頃から始まった制度といわれています。現代でも、従業員への恩返し的な側面を持つタイプののれん分けシステムは多く運用されていますが、人手不足問題が深刻さを増す中、従来とは多少異なる目的で導入されているのれん分け制度も増えつつあります。今回は、のれん分け制度の2つのタイプとその特徴を紹介します。

(1)従業員への恩返しタイプ

従業員への恩返しタイプとは、いわゆる昔ながらののれん分け制度です。長年にわたり会社に貢献してくれた従業員に対して、その従業員の夢の実現等を目的に、本部企業が“のれん分けによる独立”というチャンスを提供する労務管理上の仕組みです。
本タイプは、長年勤めたのち、一定要件をクリアした人材に対してのみのれん分けをすることとなりますから、最低限ののれん分け制度が構築されていれば十分であり、仕組みは比較的シンプルとなります。

(2)独立前提タイプ

本部が、人手不足問題への対応や独立者希望者の資質・やる気等を見極めることなどを目的に、一旦社員として雇用して、一定の要件を満たした人だけにのれん分けによる独立を認めるタイプです。近年の人手不足問題の深刻化を背景に、のれん分け制度導入により働く場としての魅力を高め、採用の1つのウリとすることを目的として導入されることが増えています。
本タイプの場合、一定期間の間に独立希望者がのれん分けするに値する人物かどうかを見極めなければなりませんから、採用してから独立するまでにどのような経験を積ませていくかを事前に固めておかなければなりません。特に、のれん分け制度をウリにして人材募集を行う場合には、ただのれん分け制度があります、というだけでは抽象的過ぎて制度の魅力が伝わらないことから、独立までの目安となる期間やスケジュールを明確に示すことが求められます。このように考えると、独立前提タイプの場合は、採用から独立までの一連の流れを仕組み化しておく必要がありますから、従業員への恩返しタイプと比較して、仕組みは複雑になることとなります。仮に仕組みがいい加減な場合、「制度導入後、何年たっても独立者が出ない」などということになりかねません。そのような状態では、独立者希望者のモチベーションを高めるどころか、不満要因になりかねませんので注意が必要です。

ここ最近当社に相談に来られた会社のほとんどが、制度の複雑な独立前提タイプののれん分け制度導入を希望されていました。自社が導入したい制度がどちらのタイプなのかを明確化し、必要な仕組みを構築していくことが求められます。

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