メニューの開発は、飲食店をオープンするときの大前提でもありますが、開業後も継続的に取り組んでいかなければならない課題です。下の概念図をもとに、メニュー開発の2大目標である「売れる」「利益が出る」ための手法を探っていきましょう。今回は、「売れる」ためのメニュー開発の考え方をご紹介いたします。
1) 味が良い
メニューを考える以前の大前提かと思いますが、ビジネス街で会社員のランチを狙うのなら、味が良くないとすぐに飽きられてしまうことは誰でもわかります。観光地のような立地の場合には、同じお客様が何度も来店することが少ないので、味よりも人目をひくことに力点がおかれがちですが、現代は口コミでの評価も発達している時代ですので、味で勝負できなければ長期的に生き残っていくことは難しいでしょう。
おいしさへの評価は人によって異なりますし、それぞれの店なりのこだわりがあると思いますが、「この店ならではの味へのこだわり」が単にマーケティング上の売り文句ではなく、真のおいしさにつながっているという信念が大切です。
チェーン店でもそうですが、個人経営の店ならなおのこと、「絶対にオススメできる、店のシンボルとなる一品」を軸にしてメニューを考えて行きましょう。
2) ターゲット顧客
すべてのお客様を満足させるようなメニューを目指せば、かえって誰も積極的には行かない店になってしまうかもしれません。反対に、「たった一人のお客様のプロフィールを具体的・詳細に想定し、そのお客様を徹底的に満足させるサービスやメニューを提供する」ことにより、個性の際立ったメニュー・店づくりに役立てることができますが、あまりにも絞り込みの度合いが過ぎて、出店するマーケットにはそんな人は千人に一人しかいない、ということになっても本末転倒です。このバランスを取っていく必要がありますが、想定する内容としては、飲食店の利用に関連があることであればなるべくもらさず拾っていくのが良いでしょう。具体的な検討事項としては以下のような内容があげられます。
- 性別
- 年代
- 既婚・独身
- 料理が好きかどうか
- 勤務形態
- 価格志向(ex. 外食ランチの予算)
- 喫煙・禁煙
- 酒類が好きか
- 外食する頻度
- 休日の趣味
他にも考えられると思いますが、上記のような項目を押さえておけば、顧客のプロフィールがかなり具体的に想定できるでしょう。ある程度具体性のある顧客像を想定し、その人が100%満足させることができれば、プロフィールが多少違う顧客層であっても、8割~9割の満足が得られるようなメニュー設定を目指しましょう。
3) なじみがあるメニュー
先に述べたシンボル商品は、想定顧客のプロフィールにきちんとフォーカスされたものである必要がありますが、売上げをきちんと確保するためには、あまり新奇なものではなく、誰でも知っているような料理を「磨きぬいて」提供するほうが成功率が高いと言えます。業態や立地にもよりますが、まずは間口を広く、なるべく多くのお客様に来店してもらうことが大事だからです。また、飲食はトレンドに流される部分が大きいので、そのとき世間ではやっているメニューで集客したくなりますが、それを看板商品にしてしまうと、一時的なブームが去った後の生き残りに大きな問題を抱えることになります。
4) 個性的・オリジナリティがあるメニュー
主役となるシンボル商品は誰でも知っているような料理がよいとしても、脇を固めるメニューは個性の見せ所でもあります。週に何度も来店してもらうような近所の定食屋なら、あまり個性を出し過ぎずに、「それぞれ普通においしい」ほうがよいとも言えますが、飽きられないためには、日替わり・週替わりのメニューに工夫を凝らすのは大事な手法と言えます。反対に、特別な日にわざわざ来店するレストランなら、普段は食べないような一品があり、驚きがあったり、薀蓄を語ったり、写真を撮りたくなったりするエンターテインメント性を提供することで、顧客満足を高めることができます。
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