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飲食店開業の戦略①成功確率の高い市場の見つけ方

飲食業を開業しようと考えるとき、どのような業種・業態でスタートしようとしていますか?
※「業種」とは例えばラーメン店、居酒屋、イタリアンなど“メイン料理のカテゴリー”を指します。一方「業態」とは、業種からもう一歩踏み込んだ分類方法で「どんな客層に、どのように売るか」といった“売り方”を指します。

飲食業と一口に言っても、コーヒー一杯をじっくり提供するお店もあれば、サラリーマンに定番の定食屋、ラーメン屋、回転ずし、居酒屋から高級フレンチレストランに至るまで、その内容は千差万別で、そこが飲食業の面白いところでもあります。料理の内容だけではなく、移動販売や宅配など、提供の方法にも多くのバリエーションがあります。
独立開業を真剣に考えている方であれば、ラーメンかフレンチかで迷っている、ということはないでしょうから、どのような業種・業態で勝負しようとしているのかはだいたい決まってきているかと思います。
なぜその業種・業態で開業しようとしているのでしょうか。こう尋ねれば「とにかくラーメンが好きだから」とか「ピザ職人のもとで修業したから」のように、「自分が好きなこと」や「得意なこと」を理由に挙げる方が多いのではないでしょうか。それはもちろん大事なポイントで、必要なことでもあります。ただ、それだけで果たして十分でしょうか。自分が参入しようとしている市場の状況について、じっくりと分析してみたことはありますか?

参入する業種・業態=市場が重要

実は、飲食業開業の成功と失敗は、「どの業種・業態=市場に参入するか」を決めた段階で、かなりの程度決まってしまうのです。つまり、どんなに腕が良くて、寝ないで努力しても高い確率で失敗してしまう市場もあれば、実力はほどほどでも努力次第では高い確率で成功できる市場もある、ということです(努力しないで成功できる市場はありませんが)。そして、このことに開業してから気づいても、軌道修正は非常に難しいのです。労力と資金があれば、業種・業態をガラッと変えたり、微調整して立て直せる場合もありますが、そこまでの体力が残っていなければ、やむなく事業撤退~破産の道を進まれることになります。必死に努力した結果としてはあまりにも酷なものと言わざるをえません。

参入してはいけない市場とは

では、参入してはいけない市場とはどんなものでしょうか。
それは、一言でいうと“大手企業による寡占化が進んでいる市場”です。例えば大手の牛丼屋はその資本力を生かして海外から食材を大量に買い付けることによって原価を引き下げ、徹底したオペレーション効率化との組合わせで低価格を実現しています。そこで、企業体力が拮抗している3~4社で熾烈な競争を戦っているわけですが、小規模事業者がここに参入しても勝ち目はありません。仮に小規模事業者が牛丼市場に参入するのであれば、“安さ”や“早さ”以外の差別化要素を持つ業態にすることが必要ですが、これは新しい価値を生み出すことになりますから容易なことではありません。例えば、ハンバーガー市場の場合には、圧倒的な業界1位企業と真正面から価格競争で戦えるライバルがいないので、2位以下の企業は「早い、安い」ではなく、むしろ「高い、美味い、健康に良い」等の戦略で生き残りを図っています。この市場で大手企業との差別化を行うことも容易なことではないでしょう。
このように考えると、大手企業による寡占化が進んでいる市場で成功するのは極めて難易度が高いことといえます。参入しようとしている市場では大手企業と真正面からの競争にならないか、十分な注意が必要です。

独自性を追求することのリスク

それであれば、逆にまったく競争相手のいない市場に参入する、という考え方はどうでしょうか。例えば、珍しい食材を使って、日本人になじみのない国の名物料理を提供するレストランを始めれば、確かに競争を避けることはできます。しかし、中身の優れたレストランであったとしても、新しいものを試してみよう、というお客様の絶対数は限られているため、認知度を高めるまでには多額のプロモーションコストと長い時間が必要です。現状存在していない業種・業態を一から開発する戦略には魅力はありますが、資金力の乏しい小規模事業者にはリスクが大きすぎると言えるでしょう。

成功確率の高い市場とは

このように考えると、飲食店開業において成功確率の高い市場とは、以下の条件を備えた市場であると考えられます。
1.大手企業による寡占化が進んでおらず、価格競争に巻き込まれにくい
2.すでに一定の認知のある市場で、独自の工夫による差別化が見込める
飲食店開業にあたっては、ご自身が参入しようとしている市場が成功確率の高い市場の条件を満たしているかどうか、事前に確認・把握しておくことが大切です。

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