人材育成

社員のキャリアを真剣に考える経営者の役割とは

「のれん分け制度」を社内に整備しようとする経営者の想いとは

弊社の核となるコンサルティングサービスに、店舗ビジネスにおける「のれん分け制度構築」があります。
そしてこのコンサルティングでお目にかかる経営者の方々に対し、私が持つ印象があります。
それは「社員のキャリアを大切に考えている」ということです。

もちろん「のれん分け制度」を社内に整備することにより、仲間となる経営者を作ることや、信頼できる社員に店舗をのれん分けすることで、一定の影響力を保ちつつ、自社の資産を身軽にしていくことも、弊社へご依頼いただく目的の1つかと思います。

しかしやはり皆さん、心の中に「社員を思いやる気持ち」「社員に新たなキャリアの方向性を気づかせたい」という思いのある方がほとんどなのです。
それは、自分で事業を成功させたことからくる余裕であり、後進に「こんな生き方は楽しいよ」という機会提供であり、気づきを与えたい気持ちからなのかもしれません。

キャリアの形成に大切なこと

ところで「キャリア」とは何でしょうか。
諸説ありますが、私はキャリアとは「仕事における過去の軌跡と未来に向けた方向性」だと思っています。

これは、日本のキャリア研究の第一人者と言われる、神戸大学大学院経営学研究科教授の金井壽宏(かないとしひろ)氏の「キャリアとは長い目で見た仕事生活のパターン。せめて節目だと感じるときだけはキャリアの問題を真剣に考えてデザインすることが大切」というお話を参考にして、自分なりに簡潔に言い表したものです。

そしてそのキャリアの形成にとって大切なことは、「本人の見えていない高い視座からのアドバイスが、長い時間をかけて構築するキャリアには不可欠である」ということだと考えます。
これは前述の金井教授がおっしゃっているように「せめて節目だと感じるとき」は、このアドバイスが有効であり、必要なのではないかということです。

社員のキャリアを考える経営者の役割とは

私自身もそうですが、恐らく経営者の皆様にも、「あの時の経験があったから」「あの人のあの言葉があったから」といった、ご自身の今のキャリアを形成する上での、ターニングポイントの出会いやきっかけがあることと思います。

そしてこの「あの時の…」「あの言葉、アドバイスが…」というような、社員より一段高い視座で、「人生の可能性を見せてあげる」ことが、社員を率いる経営者の役割だと思うのです。
その役割は、「成長した未来の自分が、タイムマシーンに乗って現在の自分を励ましに来る」そんなイメージではないでしょうか。

私自身も、20代後半に資格取得のため「平日は仕事と勉強、休日は勉強」を続ける日々がつらく、満開の夜桜の下でお花見をする人々の横を通り過ぎながら、ふと「人生でもっとも華やかな時期に、なんでこんな生活しているんだろう」とため息とともに、夜桜を見上げた記憶があります。
誰に強制されたわけでもなく自分で決めた生活ですが、計画通りの成果につながらず、落ち込んでいたのです。

夜桜が滲み始めた時に、「でも今ここでがんばれば、10年後の自分が絶対に今の自分に感謝する!だから諦めたらだめ!」と思い、涙をこらえた記憶があります。
実際には、その後も紆余曲折があり、その頃の自分に感謝したのは、10年よりさらに時間が経ってからではありましたが…。

のれん分け制度により社員に将来の可能性を考えるきっかけづくりを

私の場合、誰かに強制されたわけでもありませんでしたが、資格取得を勧められた「きっかけ」は、ありました。
そのきっかけを元に将来を考え、そして自分で挑戦しようと決めたのです。
だからこそ、くじけそうになっても、誘惑に負けそうになっても、途中で諦める選択は無かったのです。

経営者の方々には、この「きっかけづくり」をしていただきたいと思います。
立場や役割が違えば見える景色が違う、とよく言われます。
経営者からすれば見えていることが、社員からは見えていないのです。

さらにそのアドバイスやきっかけが、心に響くタイミングは、人によって違うかもしれません。
しかし自社の社員に、大きな影響を与え、「あの時が分かれ目だった」「あの気づきがあったから今がある」と思わせることができるのは、身近な経営者だからこそできることではないでしょうか。

具体的には、社員に新たなキャリアを築くための「のれん分け制度」を整えたら、ご自身にとっては当たり前である「経営者になる楽しさや苦労」を丁寧に説明しつつ、ご自身の「社員に対する期待や一緒に経営者仲間として頑張ろう」という思いを、繰り返し伝えていただきたいのです。

そして経営者からのメッセージを受け止めた社員が、自らの意思で、のれん分け制度を利用して仲間といえる独立経営者になる…さらにその姿が、より若い社員のキャリアを考える「きっかけ」になっていく…。
その結果として、多くの経営者が切に望む、「独立しつつも、理念を同じくする経営者集団」が、自社を中心に形成されていくのではないでしょうか。

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