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部下の自分本位の主張が強い理由とは?

「部下との対話を始めたのですが、主張が強い部下がいまして。うまく話が進まないのですが・・」

飲食チェーンを経営されている経営者から先日相談された内容です。
部下をやる気にさせ、自発的に行動させるために、対話を心掛け始めたところでした。

「入社1年目のA君がなかなか仕事を覚えてくれなくて、どうすればよいだろうか?」と質問したところ、その部下は「もの覚えが悪いですね。頭の中で段取りができていないんではないですか?僕だったら・・・」と、しばらく自分の話に終始したそうです。

上司はA君の話をしようとしたのですが、その部下の話になってしまいました。
また、その部下にも、不十分なところがあるので、「よくそこまで言えるな」と思ったそうです。
この部下は、自分のことを棚に上げて話すタイプなのでしょう。

質問形式の対話により、部下に考えさせようとしたのですが、うまくいきませんでした。
自分本位の主張が強い部下とはどのように対話したらよいのでしょうか?

このようなタイプは、年配の方よりも、2000年代に成人したミレニアル世代や続いて成人したZ世代と言われる中に多いかもしれません。
これらの世代は、少子高齢化の影響から一人っ子など兄弟が少なく、祖父母や親から過剰ともいえるくらいの干渉を受けました。
そのため、ほしいものは何でも手に入ったり、わがままに振舞っても注意された経験がないことから、自分本位の発言や行動をする傾向があります。

ただし、この世代に共通するのは、経済の低成長期に育ったため、将来に多くを期待しない安定志向です。
つまり、将来への不安があり、傾聴や指導など、寄り添ってほしいと考える若い人もいます。

 

自分本位の主張が強い背景を理解する

それでは、部下の自己本位の主張が強い理由は何でしょうか?
理由は人それぞれですが、部下の対処法を考える前に、どのような背景があるかを理解します。

自信過剰

ネットでクリックすれば、すぐに商品が家に届く世の中です。
ほしい商品を実際に見に行かずとも、インターネットで調べて、性能や価格を比較して商品を選ぶことが容易です。

また、LINEやSNSでのコミュニケーションは、仲の良い友だち間になりがちです。
インターネットやスマホ、ゲームに慣れ親しんだ経験が多いと、その中で多くのことが完結してしまい、すべてが思い通りにいくような錯覚に陥ります。

現場・現実・現物に触れるという体験が乏しく、実際との距離感がつかめていないケースです。
うまく進まないことを他人のせいにしたり、自分のことを棚にあげてしまう場合もあります。

自分の利益を優先

自分がよければよいと無意識に考えています。
わかりやすい例では、電車の乗り降りについてです。
電車に乗るときは、降りる人が先と教えられた人が多いと思いますが、ドアが開くと同時に乗り込んでくる人をときどき見かけます。
仕事の内容や量、給与などの条件を自分に有利にしようとしか考えません。
自分の言動により、他人や会社など自分以外への影響について、考えが及ばないとも言えます。

経験・認識不足

経験・認識不足により、社会や会社の組織、上下関係、進め方などについてよくわかっていないか、誤解をしています。
少子化や価値観の多様化により、集団活動を行う集団や部活での活動機会の減少、地域社会のつながりの希薄化、核家族化、個人主義の進展によるベテラン層から若年層への指導不足などが原因と考えられます。

負けず嫌い

うまくいかなかったことでも無理に正当化しようとしたり、相手の発言に対して、常に返答しないと気が済まない人がいます。
言い訳をしたり、非常に稀なケースを引き合いに出したり、へ理屈を述べる場合もあります。
負けず嫌いは、“悔しさ”が表面化したものですので、気持ちは熱いものがあります。
将来の成長への潜在力を持っていると言えるでしょう。

アピールしているつもり

相手にアピールする手段として、押すことし知らない場合です。
自分が行ったことを評価してほしい、もしくは、仕事ができない人、仕事をやっていない人と思われたくないため、説明に力が入ってしまいます。
イソップ寓話の“北風と太陽”のように、物事は押すこととともに引くことも大切なはずです。
対話の状況をわきまえての発言が得意ではありません。

承認欲求が強い

最近の若者に多いかもしれません。家庭や学校、もしくは、限られた友だちのなかで、常に承認されながら成長すると、承認欲求が高くなりがちです。
SNSなどの閲覧、返答回数などにより、承認欲求が満たされやすい機会が増えています。依存的に絶えずかかわりを求めたり、一人になることや沈黙を恐れる場合もあります。

 

部下の気持ちを受け止めて、前向きな力に変換する

このように、自分本位の主張が強くなってしまう理由はいくつもあります。
また、個々の理由があるはずです。

上司の話をまったく聞かないようであれば、対処は難しいですが、自己主張が強いことは、一概に悪いこととは言えません。
ある意味で、仕事に力を入れて取り組んでいるというサインです。
主張の視点が自分中心に偏り、社会や会社など周りに目がいかないことが問題なのです。

冒頭の例では、部下が自分のことを棚に上げて、入社1年目のA君の頭の中の段取り不足を指摘していました。
部下は自信過剰かもしれませんが、それを利用して、

  • 「あなたはどのように頭の中で段取りしているの?」
  • 「いい考え方だね。それをA君に教えてあげてくれないか?」

など、アドバイスを求めることができます。

すぐには変わらないかもしれませんが、こういった対話を繰り返すことで、求められている姿勢に気づいていくでしょう。
このように、仕事で成果を出したいという部下の強い気持ちを、うまく仕事に貢献するように仕向けさせることが上司の大切な役割です。
上司がこれらの背景を理解した上で、対話に臨むようにしましょう。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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