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のれん分け制度のターゲットとすべき人材像とは

「社員視点で見たときに、のれん分け制度を利用することにメリットはあるのでしょうか?」

これは、先日当社ののれん分け制度構築セミナーにご参加されたまつげエクステサロン経営者からいただいた質問です。
このようなご質問は、割と多くの経営者から頂きます。
この考えの背景には、
・のれん分けをするとロイヤリティ等が発生してそれほど儲からない
・のれん分けでは独立者の好きなように店づくりができない
などの考えがあります。
その結果として、
「のれん分けするなら自分でやった方がいいと感じるのではないか?」
とお感じなられているのでしょう。

この考えは、ごもっともなことといえます。
たしかに、のれん分けの場合には、独自にやる場合と比較してロイヤリティ等のコストがかかりますから、のれん分けする場合と独自でやる場合で売上が同じだったとすると、独自でやる場合の方が儲かることは間違いありません。
また、のれん分けの場合は独立者が好きなように店づくりをすることもできませんから、それがストレスになる、ということも十分に考えられることでしょう。
このように考えていくと、社員視点で見てみればのれん分けによる独立にはメリットが無いようにも感じられます。

しかしながら、上記の考えには一点重大な見落としがあります。
それは「自ら事業を立ち上げた起業家の考え方を前提に考えてしまっている」ことです。

のれん分け制度を導入したいと考えている経営者は、自ら事業を立ち上げた起業家であることがほとんどです。自ら起業した経験があり、その経験を踏まえて考えてみてみると、上記の通り、のれん分け制度には何の魅力も感じられないかもしれません。
しかしながら、その考え方は極めて特殊な考え方ともいえます。なぜならば、自ら事業を立ち上げる起業家タイプの人材は1,000~10,000人に一人レベルの極めて稀有な人材といえるからです。自社で働く人材をみてみれば、そのことが感じられることと思います。

前提として、のれん分け制度の対象とする人材は、起業家タイプの人材ではありません。そのような人材を対象にしたとしても、のれん分け制度を利用せずに独力で独立してしまうことでしょう。起業家タイプの人材は、経営者である皆様と同様、道を用意されなくても自分自身で独立してしまうのです。

それでは、のれん分け制度の対象とすべき人材はどのような人材なのでしょうか。
それは「いつか独立したいけれども、自分だけではあと一歩が踏み出せない」と考えている人材です。このような人材の背中を押し、夢の実現をサポートするのがのれん分け制度なのです。
私の感覚では、独立を志向する人材が100人いたとして、起業家タイプの人材は1人いるかどうかです。残りの99人は、後者の「あと一歩が踏み出せない人材」です。ですから、のれん分け制度にメリットがあるかどうかも当該人材の視点で考えてみる必要があります。

そして、その視点から考えてみれば、メリットがあることは明らかです。
当該人材が後一歩を踏み出せない要因は、独立する際に取らなければいけないリスクを取ることができないからです。より具体的にいうと、自らの収入がどうなるかわからない状態では独立への一歩を踏み出すことができないのです。
自らの収入に対するリスクという視点から考えてみれば、のれん分け制度には、独自に開業する場合と比較して以下のようなメリットがあります。
・すでに成功しているブランドやノウハウを利用できるため、一定程度の収入を確保できる可能性が高い
・既存店を引き継げるのであれば、一定の収入はほぼ約束されている
・業績が苦戦しても、本部の力を借りることができる 等

このように、起業家タイプの経営者視点で考えてみるとメリットが感じられないのれん分け制度も、「独立したいけどあと一歩が踏み出せない人材」の視点で考えてみれば、大きなメリットを見出すことができます。

のれん分け制度の導入有無や制度設計を検討する上では、のれん分け制度の本質的なターゲットとなる人材像を明確にイメージした上で検討を進めていく必要があるでしょう。


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