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人事制度の中心となる人事評価制度とは

(1)従業員満足度を高める人事制度の必要性

人手不足問題は深刻さを増しています。厚生労働省が2018年7月31日に発表した6月の有効求人倍率は1.62倍で、前月比0.02ポイント上昇し、1974年1月以来の高水準でした。また、正社員の有効求人倍率は1.13倍と前月比0.03ポイント上昇し、調査開始(2004年11月)以来過去最高となりました。
企業間で人材確保競争が激化している状況では、求職者に自社の概要をよく知ってもらい「働きやすさ」や「働きがい」のある職場であることを理解してもらうことが大切です。そのためには、従業員満足度を高める人事制度を構築し運用する必要がありますが、人事制度とはどのようなものでしょうか。

(2)人事制度の概要

人事制度には、大きく分けて、採用、配置、評価、報酬、育成(教育)の5項目があると考えられます。以下の表1 人事制度の概要をご覧ください。

表1 人事制度の概要

人事施策 主な内容
採用 従業員を採用することです。採用には、事前に求める人物像を明確にした上で、必要な時期、人数、採用方法、コスト、雇用形態などを明らかにします。採用後の定着率向上につながる活動が求められます。
配置 従業員の配置転換です。一般職から管理職やマネージャーに昇進するなどの縦の動きと勤務地や組織を異動するなどの横の動きがあります。従業員の意向を考慮しながら、適材適所の配置が求められます。
評価 従業員の人事評価です。評価には、主に成果である売上げや業務の達成度合いを評価する業績評価と、主に成果を出すためのプロセスである能力評価、勤務態度などを評価する情意評価など複数あります。報酬、配置、育成などの人事制度に活用をします。
報酬 従業員の給与や賞与です。報酬決定には、雇用形態、役職などの職位、能力などの職務、個人業績である人事評価結果、会社業績など複数の要因が関係します。
育成 従業員の人材育成や教育についてです。採用した人材を経営理念や経営方針に従い成長させるためには、人材育成することが必要です。先輩社員に付いて業務を覚えるOJT(On the Job Training)や、業務内容に応じた専門分野、リーダーシップなどの職務分野などの研修など、さまざまな切り口での育成方法があります。

  企業活動を開始するためには人材を採用します。すべての人事制度の入り口になりますので、求める人物像を明確にした上での採用活動が重要になります。求職者から見た場合は、採用が企業との接点になるため、非常に重要な活動です。人材を採用すると、配置をして業務を遂行してもらいます。従業員の能力や意向を考慮した上で、一般職やマネージャーなどの職位・役職を決め、商品やサービスを販売する営業部門や商品やサービスを生み出す生産・サービス部門などの組織への配置を行い、経営目標達成に向けて布陣を敷くことになります。
業務を遂行すると一定期間で成果が出るため、公平性や客観性をもって評価します。評価は主に報酬に反映されます。報酬には、従業員の業務の成果や会社業績など複数の要因が関係しますが、従業員のモチベーション向上に直結するところですので、しっかりした制度構築が求められます。そして、会社の成長のためには、従業員の成長が必須になります。日常の業務を行うことで一定の能力向上は期待できますが、経営方針の実現と従業員のモチベーション維持・向上のためには、人材育成・教育の仕組みが必要です。
人事制度を5つに分けてご説明しましたが、互いに関連がありますので、経営理念や経営方針に従いながら、人事制度全体を見て、それぞれの施策の導入と運用が重要です。

(3)人事評価制度の目的と効果

5つの人事制度はどれも重要ですが、その中で、人事制度の中心である人事評価制度について、ご説明をします。初めに、人事評価制度の目的は何でしょうか?人事評価は従業員の報酬決定のためだけに行うのではなく、会社の経営理念や経営方針の実現に向けて求める従業員を育て、従業員のモチベーションアップにつなげる制度にするべきです。
極端な例として、評価を売上げなどの個人の営業成績だけにしたとします。すると従業員は、営業成績を上げることだけに注力するでしょう。一方、営業活動は、新規の顧客開拓や新商品や新サービスの訴求など、必ずしも評価期間の売上げだけではなく、将来の成果につながる活動も含まれると考えられます。このような場合は、評価期間の営業成績に加え、顧客開拓や商品・サービス訴求活動をどのように、どれだけ行ったかのプロセスを評価することで、従業員の営業活動の内容や質に影響を与えることができます。
このように、どのような人事評価制度にするかで、目先の売上げに注力した営業をするのか、将来の売上げ増加を見据えた取り組みをするのかなど、従業員の行動が変わってきます。

(4)経営理念に従った人事制度構築で従業員満足度向上

人事評価制度は、人事制度の一つですが、制度の設計次第で会社の進む方向や力に大きな影響を与えます。そのため、まず経営理念を作成し、経営計画を立案することが必要です。人手不足が深刻化し、企業間での人材の奪い合いとなっている中、会社の経営理念を人事制度に反映させ、将来のキャリアプランが描ける人材育成制度の導入や、公平な人事評価制度を構築することが、従業員満足度を向上させ、求職者に対して会社の魅力を高めることにつながります。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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