多店舗展開

魅力を高める経営理念の具体例

(1)経営理念を作成して、従業員満足度を高める

経営理念とは、経営者の企業経営に対する「思い」、「基本的価値観」、「企業の存在意義」などを明文化したものです。経営理念とは、企業経営の根本にあたるものであり、経営判断の基準になったり、従業員の行動規範のもとになったります。構成としては、自社の事業分野を示す事業領域と社会へ提供する価値である自社の存在価値を考えます。
経営理念をベースとして、経営方針や行動計画が策定することになるため、社内でのさまざまな活動に経営理念が反映されます。これが、顧客満足度や従業員満足度を高める施策につながり、経営者と従業員の信頼関係を高め、経営基盤が一層強化されることにつながります。そこで、経営理念の具体例を、公表されている企業の情報をもとに見てみましょう。

(2)経営理念の具体例

株式会社日本レーザーという会社をご存知でしょうか?2011年第1回「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」中小企業庁長官賞など数々の賞を受賞している会社です。現在社長の近藤宣之氏が1994年に、当時日本電子の子会社で赤字だった当社に出向して黒字化を達成し、24年間連続黒字です。2007年には役員・従業員による持ち株会社を設立し、日本電子からの独立を果たしています。事業領域は、レーザーや光学製品の輸入販売、自社製品の開発・販売です。
当社の経営理念は、「私たちは、世界の光技術を通じて、お客様やパートナーと共存共栄を実現し、科学技術と産業の発展に貢献します。」です。構成を見てみると、事業領域である「光技術」と自社の存在価値である「お客様やパートナーと共存共栄や、科学技術と産業の発展」の両方が盛り込まれています。
そして、信条とも言われる『CREDO JLCにおける「働き方の契約書」』を制定し、「経営としての約束」と「社員としての約束」を述べています。「経営としての約束」には、経営の原則として「お客様満足より、社員と家族の満足が第一です。」、ビジョンとして「21 世紀は光の時代であり、私たちは光技術を活用して、諸問題の解決とより良い生活の実現のために努力していきます。」などが書かれており、「JLC は40 億円(\100/$)の受注・売上を数年内に達成し、近い将来50 億円(\100/$)を成し遂げます。」など具体的な指針にも触れています。また、「社員としての約束」は、「時間と期限を守ります。」や「私は、「今、ここ」にある自分の仕事に集中して全力を尽くします。」など価値観や行動に直接結びつく内容になっています。
まさに、経営理念をベースとして、経営方針や行動規範が策定されており、経営理念が社内に浸透することで、企業文化や一体感の醸成、経営判断や従業員の行動の一貫性、従業員のモチベーション向上など、社内に効果が現われ、黒字化継続の要因になったと考えられます。
さらに、「経営としての約束」で、顧客満足より先に従業員満足を明確にうたっていますので、従業員が「働きやすさ」や「働きがい」を求めることができ、働く場としての魅力を高めていることは間違いありません。人手不足が深刻化し、各企業による人材確保競争が激しくなっている中、競合他社に対して、大いに差別化になります。

(3)飲食・サービス業界各社の経営理念の具体例

他の会社の経営理念をご紹介します。

アサヒグループホールディングス株式会社

経営理念『アサヒグループは、最高の品質と心のこもった行動を通じて、お客様の満足を追求し、世界の人々の健康で豊かな社会の実現に貢献します。』

株式会社サイゼリア

経営理念『日々の価値ある食事の提案と挑戦』

チムニー株式会社

企業理念『「心」と「食」と「飲」を通じて 地域社会に「出会い」「語らい」「憩い」と「癒し」のサービスを提供し、世界中のお客様から「ありがとう」と言われる企業になろう。』

株式会社幸楽苑ホールディングス

経営理念 Mission1『より多くの人々の よりふだんの食の場面に よりおいしい味で より低い価格の商品を より速いスピードで 提供する事に私達は喜びを持とう』

スターバックスコーヒージャパン

OUR MISSION『人々の心を豊かで活力あるものにするために ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから』

株式会社ルネサンス

企業理念『わたしたちルネサンスは「生きがい創造企業」として お客様に健康で快適なライフスタイルを提案します。』

(4)経営理念を伝えて、会社の魅力を高める

経営理念の具体例を見てみました。経営理念を、企業理念やMission(ミッション)と示したり、内容は各社各様であったり、どれも同じものはありません。しかし、共通するのは、経営者が事業活動を通じて伝えようとする強い「思い」と、構成に「事業領域」と「自社の存在価値」を盛り込んでいるところが多いことです。経営理念において、ポイントになるのは、従業員や顧客、地域や社会などから「共感」を得られるかどうかです。「共感」をしっかり得ることができれば、従業員が活きいきと働くようになり、求職者も是非その会社で働きたいと思って、応募してくるでしょう。
経営理念を策定して経営計画に反映し、チャレンジする社員を評価する処遇制度や従業員のキャリアプランを考えた人材育成制度などを整備することが、職場や会社の魅力を高めることにつながります。他社の具体例を参考にしながら、自社の経営理念について、考えてみてはいかがでしょうか。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

 

無料メルマガ登録

専門コラムの他、各種ご案内をお届け中です。ぜひ、ご登録ください。

のれん分けのノウハウが詰まった「のれん分け虎の巻」を無料進呈

小規模フランチャイズ展開の教科書

JOHSHIN YouTubeチャンネルのご案内

店舗ビジネスの会社の事業拡大と社員の年収UPを探求するJOHSHINちゃんねる

セミナーのご案内

店舗ビジネスの多店舗展開やのれん分け・FCシステム構築を進めていくため、具体的にどう取り組んでいけばいいのか、どのような点に留意すべきか等を分かりやすく解説する実務セミナーを開催しています。

セミナー一覧ぺージへ

おすすめ記事

  1. 事業拡大したい経営者必見!のれん分け制度をつくる7つの手順と、成…
  2. 店舗ビジネスの多店舗展開を成功させるために必要な5つの要件とは
  3. のれん分け制度における加盟金やロイヤリティの考え方
  4. 【FC本部構築決定版:第1回】フランチャイズ展開前に準備すべきこ…
  5. フランチャイズ本部の立ち上げ方。7つの手順と成功の3つのポイント…
  6. のれん分け契約書に盛り込んでおきたい条項例。絶対に入れなければな…
  7. のれん分け制度における3つの独立形態。「直営店譲渡」「経営委託」…
  8. 【FC本部構築決定版:第5回】フランチャイズ本部の権利・責任を契…

関連記事

  1. 【YouTube】意外と聞けない”優秀な店長”を育成する超具体的…
  2. フランチャイズ展開初期の加盟開発で意識すべきこと
  3. 多店舗展開を進める際に経営計画が必要な理由
  4. 人事評価制度と人材育成との連携
  5. フランチャイズ本部における直営店の役割とは
  6. 【YouTube】リーダーがやってはいけない行動と失敗しないため…
  7. 【ネットラジオ】第100回『おすすめの人材教育手法をおしえてくだ…
  8. ロイヤリティの積算根拠をFC本部が明確にする重要性
店舗ビジネスの会社の事業拡大と社員の年収UPを探求するJOHSHINちゃんねる
21世紀型「のれん分け」ビジネスの教科書

のれん分け無料メルマガ

専門コラムの他、各種ご案内をお届け中です。ぜひご登録ください。

人気のある記事

PAGE TOP