人材育成

いま多くの会社が力を入れている人材育成教育とは

人材育成に力を入れる会社は増えていますが、他社がどのような分野に力を入れているかを知ることはとても役立ちます。
ある調査によると、企業が人材育成において、最も取り組んでいるのは「コミュニケーション」でした。

今回は、コロナウィルスによる働き方の変化やオンライン・コミュニケーション手段の発達により、いっそう重要になったコミュニケーションと、その際に心掛けたいことや多様化するコミュニケーションの学習方法をご紹介します。

なお、店舗ビジネスのキャリアの限界を突破する「のれん分け制度」づくりや成功のポイントを知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

事業拡大したい経営者必見!のれん分け制度をつくる7つの手順と、成功の3つのポイント

(1)注目を集めるコミュニケーション教育

先日お話したサービス業の経営者の方も、人材育成を1つの経営の重点項目として取り組んでいますが「人材育成は簡単ではなく、試行錯誤の連続だ」とお話していました。
取り組みから成果が目に見えるまで時間がかかることもあり、行っている取り組みが正しいのかどうか、不安に思われる経営者も多いのではないでしょうか。
そのようなときに、他社の取り組みを知ることはとても役立ちます。

「月刊総務」のアンケート調査(複数回答)によると、力を入れているスキル開発は、1位「コミュニケーション」65.5%、2位「マネジメント」40.7%、3位「リーダーシップ」36.6%、4位「チームビルディング」22.1%、5位「コーチング」14.2%、6位「マーケティング」14.2%、7位「IT」13.3%となっていました。
この結果から筆者が特に興味深いと思ったことは、1位が「コミュニケーション」であることと、マーケティングやITなどの実務スキルが5位になってやっと登場した、という2点です。

現在の多くの経営者は、刻々と変化し続ける情報のスピードや次々に細分化される情報の粒度や量などの影響の大きさに日々直面し、コミュニケーションの重要性を改めて認識しているに違いありません。
そのため、実務的な知識よりも、組織内での円滑なコミュニケーションにより組織の成果を最大化し、活きいきとやりがいを持って社員を働けるようにすることを重要視しているからではないでしょうか。

2位以下に続く、マネジメント、リーダーシップなども、その方向性の表れでしょう。
また、マネジメントやリーダーシップは、知識を持っているだけでは、何の価値もありません。
コミュニケーションにより、組織や部下に「伝える」「働きかける」ことで初めて効果がでます。
ここでもコミュニケーションが重要になります。

コミュニケーションについては、数年前より注目が集まっていました。
しかし、コロナウィルスによる働き方の変化やオンライン・コミュニケーション手段の発達により、いっそう重要性を感じることになったのでしょう。

そもそもサービス業や飲食店は、1か所のオフィスで働く間接部門の仕事と異なり、店舗ごとに運営しているため、経営者と店舗間や店舗間どうしでの情報交換など、コミュニケーションは以前からとても重要なものでした。
なので、これまでもコミュニケーションに注力している店舗ビジネス経営者の方は多いと思います。

(2)コミュニケーションの際に心掛けたいこと

コミュニケーションとは、「複数の人がお互いの意思疎通を図ること」です。
意思疎通とは、自分の伝えたいことを一方的に相手に話すことではありません。
話すだけあれば誰でもできるでしょう。
話すことによって、話した相手に理解してもらうことです。

この場合の理解とは、(同意の可否は別として)自分が伝えたい内容をわかってもらえた、ということです。
会議や交渉などでは、それを相手に同意してもらうことも必要になります。
そのために重要なことは、相手の立場を想像してどのように伝えるか、ということです。

これは、顧客のことを考えて打ち手を立案するマーケティングと似ています。
誰にどのように、です。
一般的に、“何を“については、伝えたいことですので、これを疎かにする人はいませんが、大切なことは相手の立場を考えて伝えることです。

相手は、話の内容に関する事前の知識や情報がないかもしれませんし、興味がないかもしれません。
相手の立場を想像することで、必要とするだろ情報を付加したり、興味を持ちそうなポイントをハイライトして、「自分が伝えたいこと」を「相手が知りたい内容」や「相手が受け入れやすい内容」に変換することができます。

そして、コミュニケーションを円滑にするのは、日頃からの対話です。
お互いに相手がどのような人かわかっていれば、話は早く済みます。
社内の人との対話が社外の人よりスムーズに済むのはこのためです。
社外の人と話す際により慎重になるのは、相手のことを十分に理解しきれていないからです。

同じ言葉や表現を使ったとしても、社内と社外の人では、異なる感じ方や理解をされることもあります。
本コラムでも度々ご紹介していますが、社内のマネジメント間、上司と部下の間などにおいても、日頃から頻繁にコミュニケーション心がけることは意思疎通を図るうえで大切です。
コミュニケーション機会の増加は、コミュニケーションのベースであるお互いの信頼感の醸成につながります。

(3)多様化するコミュニケーションの学習方法

一般的に、コミュニケーションはその人が育った家庭や学校、職場などの環境に依存しやすいものです。
より多様な人とのコミュニケーションにより、さまざまな人の感情や考え方を知ることができ、コミュニケーション能力が高まります。

また、研修などを通じてコミュニケーションを学ぶこともできます。
コミュニケーションは社会のなかで重要なスキルの1つとなっていますので、多くの研修が整備されました。

とくに最近では、オンライン学習が流行っています。
オンライン学習のメリットは、個人の予定に合わせていつでもどこでも受講が可能なことです。
そして、品質がその場の講師などに左右されず、一定に保たれています。

さらに、受講にかかる時間やコストも節約でき効率的です。
副次的な効果としては、問題意識を持って取り組むことで、主体性も養われます。
一度受けてみることをお勧めします。

一方、デメリットもあります。集合研修のよいところはそれ自体がコミュニケーション機会であることですが、オンライン学習ではそれが失われてしまうことです。
コミュニケーションスキルを高めようとしているのに、コミュニケーションの機会が減ってしまっては本末転倒です。
受講した他の人の意見や考えを知ることは自身のコミュニケーション領域を広げます。

オンライン学習の受講後、意見交換する場を設けるなどデメリットを補う方法を合わせて検討します。人材育成におけるコミュニケーション学習について、専門家の意見を聞くこともよいでしょう。

(4)コミュニケーションが自発的人材育成を可能にする

このようにコミュニケーションの重要性が増すなかで、コミュニケーションを学ぶ機会や方法も増えています。
コミュニケーションは社会活動を行ううえでの基本です。

とくに、人材育成においては、「社員が自ら考え自発的に行動できるようになること」が目的の1つですので、社員を動機づけることが欠かせません。
動機づけは、給与などの条件面だけでは長続きせず、「長期的なキャリアプランのもと、信頼してやりがいのある仕事を任せる」とともに、「この会社でこの上司や同僚と働きたい」、と内面から思わせることで実現します。
それを可能にするのは、よりよいコミュニケーションです。

「やる気をだせ」と声だけ掛けても、人は動機づけられません。
コロナウィルスの影響が長引くなか、改めてコミュニケーションの重要性を認識し、人材育成教育に加えてみてはいかがでしょうか?

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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