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フランチャイズパッケージに商材提供を含める場合の留意点

フランチャイズ展開やのれん分け制度構築を進めていく中で、フランチャイズパッケージの内容を検討していくことが必要です
この際、商材提供(本部を経由して店舗運営に必要な商材を供給する)の有無についても検討していくこととなります。

チェーン店にとって、全店で同じ品質のサービスを提供することは極めて重要な要素となることに加え、本部から商材提供することにより本部は卸売りによる利益を確保することもできるようになります。
当社としては、フランチャイズシステムの性質上、商材提供機能はできる限り盛り込むべきと考えています。
ただし、商材提供機能を盛り込むには以下のような注意すべき点があることを認識しておく必要があります。

なお、フランチャイズパッケージについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

のれん分け制度におけるフランチャイズパッケージの5大要素


(1)独占禁止法との関係

フランチャイズシステムは主に中小小売商業振興法や独占禁止法の影響を受けますが、加盟店に対して本部からの商材提供を義務付けることは、独占禁止法が定める優越的地位の濫用との関係性に注意する必要があります.

優越的地位の濫用とは、自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、取引先に対して正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える行為をいいます。
独占禁止法の定めるフランチャイズガイドラインでは、優越的地位の濫用に該当する具体的な例を5つ紹介していますが、その一つに“取引先の制限”があります。

取引先の制限本部が加盟者に対して、商品、原材料等の注文先や加盟者の店舗の清掃、内外装工事等の依頼先について、正当な理由がないのに、本部又は本部の指定する事業者とのみ取引させることにより、良質廉価で商品又は役務を提供する他の事業者と取引させないようにすること。

したがって、正当な理由が無いのにもかかわらず、本部が加盟店に対して本部からの商材仕入れを義務付けることは、独占禁止法上の優越的地位の濫用に該当し、無効と判断される恐れがあるのです。

例えば、ビールは同じメーカーであればどこで購入しようと品質は一定です。
仮に同じビールを本部で買うよりも隣の酒屋で買った方が安く購入できるのであれば、普通であれば隣の酒屋で購入するでしょう。

にもかかわらず、本部からの購入を義務付けることは、独占禁止法に定められた「優越的地位の濫用」に該当する可能性があります。
このように根拠がなく本部からの購入を義務付けることは、独占禁止法上の問題となるリスクがあります。

したがって、フランチャイズパッケージに商材提供を含めるのであれば、なぜ本部から購入しなければならないのか、その根拠を明らかにし、契約書などでも明確にしておくことが求められます。

なお、独占禁止法の詳細についてはこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部構築時に知っておきたい法律②独占禁止法(フランチャイズガイドライン)

(2)商材販売事業者としての仕組みの整備

加盟店に対して商材提供をすることとなった場合、その商材を加盟店に対して販売することになりますから、直営展開だけの時とは異なり、当該本部は商材販売事業者という側面を持つこととなります。
そして、加盟店に対して商材を販売する以上、商材販売事業者としての責任を果たすことが必要となります。

例えば、焼肉チェーンの本部が牛を一頭買いして、セントラルキッチンで加工し、加盟店に加工した商材を販売するケースを考えてみます。
この場合、商材を販売する立場としては、販売する各商材の規格がどのようなものか、加盟店に対して明確に示す必要があるでしょう。

お肉で言えば、分量、色味、脂身の割合、筋の量などでしょうか。
これらの規格を基に、加盟店は購入した商材の検品を行い、万が一規格外の商材が納品された場合には返品をすることとなります。

仮に本部が商材の規格を示していなかったとすると、加盟店から見れば各商材の良・不良を見極めることができません。
このような状況下で本部が販売した商材に不良品があり、加盟店がそれを顧客に提供した結果食中毒事故等が発生してしまった場合には、商材提供元の本部にも責任の一端があることは明白であり、相応の対応が求められることとなります。
このようなリスクを回避するためにも、商材販売事業者としての一定の仕組みを整備することが求められるのです。

以上、フランチャイズシステムに商材提供機能を盛り込むことは、フランチャイズ本部にとって重要な要素となりますが、同時にチェーンや本部を守るための仕組みもしっかりと整備することが求められます。

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