のれん分け制度構築を目指す経営者からの相談を受ける中で、よく質問があるのが「他社で上手くいっているのれん分け制度の概要を教えてほしい」というものです。
そのような質問に対しては、当社がこれまでサポートさせいただいた先の中でも、特に上手くいっている企業の制度概要をお伝えさせていただいております。
しかしながら、その際必ず「同じ制度を導入したとしても、御社で上手くいく可能性は高くない」ということをお伝えしております。
なお、のれん分け制度つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
のれん分け制度構築のサポートをさせていただいている立場からすると、そのような回答は一見自己矛盾しているようにも感じられるかもしれません。
しかしながら、この点はのれん分け制度構築に限らず、新しい仕組みを企業に導入する上で極めて重要な点といます。
その重要な点とは「ありとあらゆる会社にとって、唯一最善の仕組みなど存在しえない」という点です。
例えば、日本の賃金制度の代表例として、「年功賃金」と「成果主義賃金」の2つがあります。
高度経済成長期の時代には年功賃金が主流となっていましたが、経済が成熟化する中で、徐々に成果主義賃金を採用する企業が増加しており、現代では、成果主義賃金の方が賃金制度として望ましい、といった風潮があります。
ところが、すべての企業にとって成果主義賃金の方が望ましいかというと、決してそういうわけではありません。
成果主義賃金を導入したことで、従業員のモチベーションが低下してしまった事例や社内の雰囲気が悪化してしまった事例など、成果主義賃金制度の導入がマイナスに働いてしまった事例は山ほどあります。
なぜ、同じ制度を導入したにもかかわらず上手くいく企業といかない企業の2パターンが存在するのかというと、制度の運用方法の巧拙もあろうかと思いますが、その前のレベルとして、導入した制度が企業の経営理念やビジョン、組織風土などと合致していない、という点があげられます。
例えば、家族経営で経営陣を含めたチームワークの良さが強みである企業に成果主義賃金を導入したとしたらどのような事態が生じるでしょうか。
成果主義とは、従業員間の競争をあおり、成果の大小に応じて従業員の処遇に差をつける制度ですから、本制度の導入により、これまでは家族のように仲の良かったスタッフの関係にヒビが入る可能性は極めて高いものといえるでしょう。
逆に、チャレンジ精神の豊富な人材が集まっているベンチャー企業であれば、成果主義賃金はぴったりはまる可能性が高いといえます(もちろん、必ずそうとは言い切れませんが)。
ようするに、企業にとって最適な仕組みは、その企業の経営理念やビジョン、従業員の特徴、置かれている状況などに大きく左右されるため、唯一最適な仕組みなどは存在しえないのです。
「のれん分け制度を成功させる秘訣」を詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
ですから、のれん分け制度構築を進めるうえでも、制度を導入する目的はもちろんこと、経営理念やビジョン、従業員の特徴などを踏まえて、当該企業にとって最適な制度のあり方を考えていかなければならないのです。
これは決して楽なことではありませんが、本部はもちろん、独立する従業員の人生にも大きな影響を与えるのれん分け制度では、特に意識して取り組んでいくべきものといえます。
無料資料ダウンロード
のれん分け・社員独立FC制度構築の手順やポイントをまとめた資料を無料進呈しています。宜しければ、下記よりダウンロードください。
セミナーのご案内
店舗ビジネスの多店舗展開やのれん分け・FCシステム構築を進めていくため、具体的にどう取り組んでいけばいいのか、どのような点に留意すべきか等を分かりやすく解説する実務セミナーを開催しています。
セミナー一覧ぺージへ