「ここ数年、色々と考えたのですが、やっぱりのれん分けが必要と感じています。もう一度相談をしてもいいですか?」
これは、2年前に弊社ののれん分け制度構築セミナーにご参加いただき、先週久しぶりに連絡をくださった整体院を営む経営者からいただいたご相談です。
お話しを伺ってみると、セミナーに参加した当時は「まだうちは準備が整っていないから…」と導入を見送ったものの、その後、一向に悩みが解消しないことから、改めてのれん分け制度を導入しようか迷っている、とのことでした。
もちろん、弊社はご相談に対応させていただくのですが、「セミナーに参加されたときにのれん分け制度の導入にチャレンジしていたならば、今頃悩みは解消していたかもしれないな…」と、すこしモヤモヤとした気持ちになったりもします。
一方で、これまでの弊社の経験則から、このような事態が発生する理由もわかってきました。
そこで今回は、のれん分けで悩みを解消できる経営者とそうでない経営者の違いについて考えてみたいと思います。
コンテンツ
(1)のれん分け制度導入のきっかけとなる悩みや不安の解消は後回しにされやすい
のれん分け制度の導入を検討している経営者が抱えている悩みや不安の代表例としては以下のようなものがあげられます。
- 優秀な社員の独立、転職が止まらない
- 人材不足、人材管理の悩みが尽きない
- 社員に対して前向きなキャリアビジョンを示すことができない
上記の悩みは、経営者にとって大きなストレス要因となることは間違いありません。
一方で、これらの悩みは、「すぐに解決しなければならないもの」というわけではないことも事実です。
例えば、資金繰りに悩みがある場合、すぐに解決しなければ事業継続が困難になる可能性があります。そのため、資金繰りの悩みは、経営者にとって緊急性が高く、優先的に解決に向けて取り組まれることになります。
一方、のれん分け制度導入のきっかけとなる悩みや不安は、すぐに解決せずとも事業自体は継続できるものであることが大半です。すなわち、経営者にとって重要ではあるものの、緊急性は低いのです。
その結果、ほとんどの会社で、解決に向けた取り組みが後回しにされてしまうことになるのです。
(2)悩みを解消できない経営者は「条件が整ってから解決に取り組もう」と考える
以上の理由から、のれん分け制度が必要だと感じて弊社のセミナーに参加されたとしても、多くの経営者が問題解決に向けてのれん分け制度導入に取り組むことを後回しにしてしまうのです。
すぐに取り組まない理由は、
- 今は忙しいから、落ち着いてから取り組もう
- 独立希望者が現れてから取りかかろう
といったところです。
弊社のコラムを継続的にお読みいただいている方や、勘のいい方はすでにお気づきかもしれませんが、経営者がこのようなマインドの場合、ほぼ間違いなく、問題を解決することはできません。
まず、「今は忙しいから、落ち着いてから取り組もう」という考えに対しては、そもそも、経営者が「忙しくないとき」などあるのでしょうか、ということです。
私が知る限り、経営者で忙しくない人など見たことがありません。経営者がやるべきことは無限にあります。経営者としての役割を果たしている方であれば、そもそも「忙しくないとき」など一生訪れることはないのです。
そのため、「今は忙しいから」と考えているかぎり、問題を解決することは一生できないことになります。
また、「独立希望者が現れてから取りかかろう」という考えに対しては、そもそも、社員にとって人生の行く末を左右する重大な意思決定が、のれん分け制度の具体的な形がない状態で果たしてできるのか、ということです。
自分の人生を掛けた意思決定であるにもかかわらず、明確な形がないものを選べる人などいないでしょう。家を買おうと思ったときに、どんな家かわからずに購入の意思決定ができないのと同じです。
そのため「独立希望者が現れてから取りかかろう」と考えているかぎり、のれん分け制度導入に取りかかれる日が訪れることはないのです。
(3)悩みを解消していく経営者は重要な問題の解決に最優先で取り組む
逆に、のれん分け制度を導入して悩みを解消していく経営者に共通するのは、以下の2点です。
- 忙しくても、利用者が現れるかわからなくても、まずはのれん分け制度を明確な形にすること
- そして、形にしたのれん分け制度を社員に利用してもらうために何が必要かを考え、実践し続けること
経営者にとって「重要ではあるものの緊急性は低い問題」に最優先で取り組んでいくことで、それまでとは異なる結果を着実に生み出していくのです。
もちろん、すべての会社がすぐに問題解決できるわけではありません。むしろ、のれん分け制度導入直後は、思うとおりにいかずに悩み苦しむ経営者が大半です。
それでも、上手くいかせるためにはどうするかを日々考え、実践していくことを1年、2年と繰り返していくことで、導入前と比べて、着実に従来とは異なる結果を生み出していくのです。
少なくとも、「今は忙しいから落ち着いてから取り組もう」「独立希望者が現れてから取りかかろう」等と考えて、行動をとめている経営者とは大きな差がつくことは間違いありません。
このように、のれん分け制度の導入を検討している経営者が抱えている悩みや不安を解消できるかどうかは、「重要ではあるものの緊急性は低い問題」を最優先して取り組めるかどうかにかかっているのです。
まとめ
以上、今回はのれん分けで悩みを解消できる経営者とそうでない経営者の違いをご紹介しました。
ご紹介した通り、のれん分け制度導入のきっかけとなる悩みや不安は、すぐに解決せずとも、事業自体は継続できることが大半です。そのため、どうしても問題解決が後回しにされてしまいがちです。
しかし、その状態である限り、抱えている悩みや不安が解消することはありません。
それらの悩みや不安を解消したいと考えるのであれば、「重要ではあるものの緊急性は低い問題」に最優先で取り組んでいくことが求められるのです。
「のれん分け制度導入が必要だ」と考えた経営者様は、ぜひ、必要だと感じた瞬間から具体的な一歩を踏み出していただければと思います。
なお、のれん分け制度構築についてさらに詳しく知りたい方は、こちらのコラムも合わせてご覧ください。
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