多店舗展開

飲食店における2号店出店の基本戦略

2号店の出店は多店舗展開のスタートを意味します。
お店が2店舗になってしまうと経営者が一人ですべての店舗を見ることはできませんから、2号店出店後はそれまでとはマネジメントの難易度が劇的に上昇することになります。
したがって、2号店の出店は、出店後のマネジメントも踏まえて戦略を立てることが求められます。

なお、店舗ビジネスの多店舗展開に求められる5つの要件について詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

店舗ビジネスの多店舗展開を成功させるために必要な5つの要件とは

(1)出店のタイミング

2号店出店のタイミングは、企業の経営方針や戦略に左右されるため一概には言えません。
ただし、2号店の成功は多店舗展開を進めるうえでの必須条件となりますから、最低限、以下の条件を満たしたタイミングで出店をするべきといえます。

①十分な利益を出すことができている

言うまでもないことですが、多店舗展開を目指すうえでは1号店で必要十分な利益を確保できていることが前提条件となります。
多店舗展開を進めていくと、利益率の高い店舗と低い店舗が出てくることになりますので、基準となる1号店の利益率はできる限り高い水準に保ちたいところです。

営業利益率の目安でいうと、直営展開であれば10%以上、フランチャイズ展開も視野に入れているとなると15~20%程度は確保しておきたいところです。
飲食店で営業利益率が10%を割る状態での複数店舗展開を目指すのは避けるべきでしょう。

②販売機会ロスが生じている

販売機会ロスが生じていないということは、まだまだ1号店の売上を上げる余地があるということですから、まずは1号店の磨き込みに注力すべきでしょう。
飲食店の業績アップを目指すうえで新店舗出店は最も手っ取り早い手段ではありますが、そこには大きなリスクがあることを忘れてはなりません。
1号店を十分に磨き上げたうえで2号店以降に水平展開することで、多店舗展開の成功確率が高まるものといえます。

③店舗マネジメントを任せられる人材が育っている

店舗が2店舗になると、経営者が一人でマネジメントをすることに限界が生じます。
店舗を運営するだけなら問題はないかもしれませんが、3号店、4号店と出店を目指すための人材育成までを経営者一人で行うことは不可能でしょう。

人材育成が不十分な状態で店舗拡大をしてしまうケースは往々にしてありますが、それを後から取り戻すことは容易なことではありません(育成に割く時間がとれないのですから、人材が育ちようもありません)。
2号店の出店前には少なくとも1~2名は店舗マネジメントを任せられる人材を育てておくべきでしょう。

なお多店舗展開のための人材育成について、詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

多店舗展開を加速する人材育成システムとは

(2)出店する業態

2号店の業態は①1号店と同じ業態にする方法と、②1号店とは異なる業態にする方法があります。
どちらにも一長一短があるのですが、短期間での多店舗展開を目指すのであれば、基本的には「①1号店と同じ業態にする方法」を採用すべきでしょう。
その理由としては以下があげられます。

1号店で成功した実績があり、立地や店づくりなどを1号店に倣うことで、高確率で同様の成果を得ることができる
経営資源(食材や人材、備品等)を流用でき、経営効率が高い
同じブランド名を冠することで、早期に認知度を高めることができる 等

もちろん、一つの店舗がダメになると全店がダメになるリスク(例えば、ある店舗で食中毒が生じると、その影響が全店に波及する)等のデメリットもありますのでどちらを採用するかは経営方針によりますが、経営資源が限られている多店舗展開の初期段階(5~10店舗程度まで)においては単一業態で展開する方が効率的といえます。

(3)出店するエリア

出店するエリアは何といっても「1号店からすぐに行き来できる場所」であることに尽きるものといえます。
エリアを近くすることで、「経営資源の流用をより効率的に実施できる」「1号店と地域特徴が類似しており、成功確率が高い」「当該エリアにおけるブランド認知度が高まり、チェーン全体での売上アップが期待できる」等のメリットがあるからです。

1号店と2号店の出店エリアが近すぎると、各店舗の商圏が重なってカニバリゼーションが生じてしまう恐れもありますが、そのリスクを負ってでも出店エリアはできる限り近くしておくべきでしょう。

2号店の成功可否が、今後の多店舗展開の行く末を左右します。
10店舗以上の展開を目指すのであれば、2号店出店時点から将来を見据えた店舗出店を行っておくべきといえます。

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