人材育成

社員を育てると決めた経営者に心に留めていただきたいこと

人の可能性を本気で信じるとは

先日、ある経営者の方から「おすすめです」と短い動画を紹介いただきました。
それは幼稚園が保護者を招いた園児の体操発表会の動画です。

そこには跳び箱を跳べない、あるお子さんの様子が映っています。
自分の背丈を超える高さの跳び箱を、恐怖から勢いよく踏み切れず、何度も挑戦しては失敗し、最後は涙を拭っている様子でした。

恐らくクラスで最後まで跳べなくて残ってしまった子なのです。
私も子どもを持つ親として、「がんばって」と、胸の奥がぎゅっと締め付けられるような場面でした。
そして恐らくその会場にいた保護者の方々も「いったいどうなるのだろう」とハラハラして見守っていたことと思います。

私はふと「この高さは元々無理があるのでは?1段下げるとかしないのだろうか」と跳び箱の横で控える先生の様子をうかがいました。
しかし先生は「がんばれ!」というように、失敗する子どもを励まし続けているのです。

そして次の瞬間「みんなの力を〇〇くんに貸してあげて!」とアナウンスが入りました。
するとそれまで壇上で座っていた同じクラスの園児が、その子の周りに集まって円陣を組み「がんばれ!できる!」と大きな声で応援し、そしてまた壇上へ戻っていったのです。
中には、その子に何か言葉をかけてから戻る子もいました。

そして全員が座り終え、静まり返る場内で、その子が助走を始め、見事に跳び箱を跳んだのです。
その瞬間、その場にいた全員から大きな歓声が上がったことは言うまでもありません。
跳び箱の横でずっと励まし続けていた先生は、その子を抱きしめて喜んでいました。

画面のこちらにいた私も、自然と涙がこぼれました。
まさか本当に跳べるとは思っていなかったからです。
そのくらい、失敗し続ける姿からは想像がつかないほどの、見事な跳躍だったのです。

そして見終わった時、その経営者は言いました。
「私たちは、その人の可能性を、本気で信じられているでしょうか」と。

「ともすれば、何度か失敗する姿、怯む姿を見て、このくらいでいいよ、とその人の可能性を信じ切れていないのではないでしょうか。」
「あの跳び箱の高さに怯え失敗する姿を見て、一段下げてあげようと思わなかったでしょうか。
もしそうしていたら、あの子はあの跳び箱は跳べずに終わったのです。」
「経営者として持つべき覚悟は、『部下の可能性を信じ切る』、その覚悟ではないでしょうか」と。

まさに私はその通り、「一段下げて、無事に跳ばせて発表会を終わらせた方がいいのでは」と、本当に思ったのです。
その子の目の前の苦しみ、悲しみにばかり目がいき、もしかすると、親の立場として感じる切なさから自分が逃れたい、そんな思いだったかもしれません…ここでやり切らせなかったら一生、「あの時、跳べなかった」「一段下げた跳び箱を跳んだ」という思いが子どもに残る…そこまで考えが至らなかったのです。

社員の成長を預かる経営者に必要なこと

今回、この子どもたちの動画を見て、人が持つ可能性、とりわけチームでお互いが励まし合って目標をクリアする可能性を再認識したのはもちろんですが、一番心が動いたのは「経営者としてやり切らせる覚悟とは何か」です。

普段の仕事の中でも、こういうことはないでしょうか。
社員が困っている、苦しんでいる、その姿を見て「これから先はどうにかするよ」と仕事を巻き取る、または限界の手前で助け舟を出す、途中で役割を交代させる等々…

もちろん守るべき納期やクリアすべき品質、その他の状況から躓いている社員が自力でどうにかするのを待てない場面もあるでしょう。
でももし、毎回それをくり返していたら、いつまでたってもその社員は「それ以上先の達成感」「自分でやり切った感」は持てずに終わるのです。

一時的には、その社員は苦境を脱し、経営者としてのあなたに感謝するかもしれません。
しかし長い目で見たら本当にその社員のためになるのでしょうか。
良かれと思って出した助け舟が、社員の成長を頭打ちにしていないでしょうか。

もしあなたが、その社員を「育てる」と決めたなら、「どこまで可能性を信じているか」「そもそも信じ切れているか」ということを、折に触れ、振り返っていただければと思います。
社員に「仕事をやり切らせる」ことは、経営者が自身で仕事をするよりも、手間も時間も、場合によっては歯がゆく精神的に辛いことかもしれません。

しかし「社員の可能性を信じ切る」覚悟を、時々はご自身に問うことが、社員の成長を預かる経営者という役割には必要なことではないでしょうか。
そんなことを、子どもたちとその先生の目標を達成して全員で喜ぶ姿から、自戒の念も込めて、考えさせられました。

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