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のれん分け制度において定期的な経営指導が不可欠な理由

「のれん分け制度の場合、定期的な経営指導は必要ないと聞いたので、当社でもそうしようと思います」

これは、過去に弊社がのれん分け制度構築のコンサルティングをさせていただいたラーメンチェーン経営者の言葉です。

フランチャイズシステムでは、本部から加盟者に対して、商標使用許諾、ノウハウ、経営指導の3つのサービスが提供されることが一般的です。

フランチャイズの一種であるのれん分け制度おいても、商標使用許諾やノウハウはたいていの本部のサービスに含まれています。
ところが、「加盟者が信頼関係のある元従業員である」という理由から、のれん分けの場合には、定期的な経営指導が実施されないケースが多いようです。

この点について、弊社としてはたとえ信頼関係のある元従業員であったとしても、経営指導は絶対に実施すべきと考えています。
そう考える理由をご紹介します。

なお、のれん分け制度つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

事業拡大したい経営者必見!のれん分け制度をつくる7つの手順と、成功の3つのポイント


(1)信頼関係維持のため

 最も重要な理由として、今ある信頼関係を維持するためには、本部と独立者で定期的に顔をあわせる機会を設けることが不可欠であることが挙げられます。

現時点で十分な信頼関係があったとしても、その信頼関係が未来永劫続く保証などありません。
ましてや、のれん分け制度では、本部は独立者からロイヤリティを得ることが一般的です。
独立者からロイヤリティを払ってもらっているにもかかわらず、顔をあわせる機会さえないのであれば、時間の経過とともに独立者が疑問を感じるようになることは、普通に考えれば容易に想像できることでしょう。

ロイヤリティを得つつも従来通りの信頼関係を維持していくためには、定期的に本部と独立者で接触する機会を持ち、受け取るロイヤリティに見合う価値を提供する必要があるのです。

このように考えれば、「信頼関係のある元従業員であるから経営指導は行わない」という考えは、もっともらしく見えて、実は全く見当はずれの考えであることがわかります。

本部と独立者との信頼関係維持のためには、定期的な経営指導の存在が不可欠なのです。

 

(2)経験のない経営的側面のサポートのため

本部店舗で経験を積み、かつ本部との信頼関係が十分に構築されていたとしても、独立者には経営の経験は無いことがほとんどでしょう。

経営者であれば、店長やマネージャーが担う業務と、経営者が担う業務には、質、量ともに大きな差があることは十分にお判りいただけることと思います。

どんなに優秀な人材であったとしても、雇われ社員から経営者に立場が変わることには少なからずストレスを感じるはずです。
小さなストレスであったとしても、これが積み重なっていくことで、本部で働いていた時とは考え方や姿勢が変化していくことは往々にしてあることです。

このようなことにならないためにも、少なくとも独立してから1年程度は、定期的に顔を合わせて、独立者が雇われ社員から経営者に成長していく過程をサポートしてあげるべきでしょう。

もちろん、経営指導のルールが無くても、独立者と密にコミュニケーションを取ろうと考えている経営者が多いことは重々承知のうえですが、新しい店舗の出店が重なったり、急に人が辞めて人材不足に陥ってしまったりすることにより、一時的に独立者を放置する結果になるということは十分に想定されることです。

ルールが無ければ「できる範囲で支援する」という考え方になりがちですが、本部、経営者双方がWin-Winとなるためには、本部も一定のリスクをとって、独立者を定期的にサポートをしていくことにコミットするべきだと考えます。

 

(3)長期的な運営品質の担保のため

次に、独立者の経営管理やオペレーション能力には問題が無かったとしても、「独立者が雇用する従業員が本部の求める水準に到達しているのか」という問題があります。

本部としては、雇用する従業員に対してしっかりとした指導ができる人材を独立者として選定することが前提となりますが、先にも述べた通り、一従業員から経営者になり、業務量が増加する中で、独立者が従業員に本部勤務時代と同レベルの指導ができるかどうかという点には疑問が残ります。

また、独立して時間が経過していく中で、独立者が本部勤務時代に培ってきた知識や技術も徐々に自己流に変化していくことは当然に考えられることです。
これが行き過ぎてしまうと、チェーンとしての統一性が失われ、ブランドイメージが低下する等の結果になる可能性があります。

このようなことにならないためにも、チェーン店として守ってくべきことを明確化した上で、定期的な経営指導を通じてズレの小さいうちに是正していくことが求められるのです。

 

(4)ロイヤリティを受け取る根拠のため

独立者からロイヤリティを徴収する場合、そのロイヤリティに対する主な提供価値が経営指導になりがちであることも理由の一つといえます。

独立者からロイヤリティを払ってもらう以上、本部としては受け取るロイヤリティに見合うサービスを提供する必要があります。
また、ロイヤリティは継続的に生じるものですから、それに対して本部が提供するサービスも継続的なものである必要があります。

経営指導以外に本部から独立者に対して継続的に提供するサービスには、例えば商標使用許諾や新商品・メニューの開発、研修会の開催などがあります。

本部が提供するサービスと、独立者から支払ってもらうロイヤリティとのバランスがとれていれば問題はないのですが、独立者視点で考えたときに、経営指導以外はサービス提供を受けていると実感しにくいことも事実です。
そういった意味でも、のれん分けパッケージに経営指導を含めておきたいところです。

 

まとめ

以上、のれん分け制度において定期的な経営指導が不可欠な理由をご紹介しました。

このように、弊社では、のれん分け制度においては定期的な経営指導を行うことは、のれん分け制度を成功させるうえで不可欠だと考えています。

定期的な経営指導を行う理由は多々ありますが、行わない理由はありません。
定期的な経営指導を実施しないと考えたときには、ぜひ、その理由を考えてみてください。
その理由は、ほぼ間違いなく
・本部にとっての負担が大きい
・必ず実施できるか不安がある
など、本部側に立った理由であるはずです。
このような考えで、独立者との信頼関係が築けるわけもありません。

のれん分け制度の成功で大切なことは、本部と独立者で対等な関係を築くことです。
このことを念頭に、のれん分け制度の制度設計を進めていくべきでしょう。

 

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