多店舗展開

同僚や部下への態度が厳し過ぎるリーダーとの対話方法とは?

「部下は仕事に熱心なのですが、周りへの態度が少しきついようで・・・責任感が強すぎるのでしょうか・・・」

これは、駅前で小型のフィットネスクラブを営む経営者の言葉です。
この会社は、パーソナルトレーニングに取り組む店舗を出店して2年が経ち、ようやく経営が軌道に乗ってきました。そこで、2店目、3店目と店舗を拡大するために、現場を任せられる人材の育成に力を入れ始めたところでした。

ところが、この部下はトレーナー兼リーダーとしてとても優秀なのですが、同僚や部下へ接する態度が少し厳しいようです。他の社員からは、このリーダーの悪口のようなことも耳にするようになりました。このままでは、このリーダーは活躍しても、周りの同僚や部下が辞めていってしまう可能性もあります。

リーダーは会社にとって必要不可欠な人材であり、経営者はこのリーダーに対しどのように接してよいか頭を悩ませていました。

同僚や部下に厳しい態度で接する人の共通点

同僚や部下に厳しい態度で接する人には、いくつかの共通点があります。自分自身にも厳しい人が多いですが、相手に対する配慮に少し欠けてしまうようです。このようなタイプの人は、次のような傾向があると考えられます。

いつも正論を振りかざす

厳しい人は、自分なりにあるべき姿や目標を持って行動しています。
これは素晴らしいことですが、いつでも誰にでも正しいことを言っていては、相手を追い詰めるだけで、問題を解決に導くことになりません。「なぜわからないのか?」「なぜできないのか?」といった正論をベースにした気持ちが強いのでしょう。

もちろん相手の知識や能力不足の場合もありますが、相手にも何か事情や原因があることに思いが至らず、相手の状況を確認することなく自身の価値観、判断基準で決めつけているとも言えます。

減点思考

そもそも本人が完璧主義であり、完璧主義者にありがちな「あるべき姿からどれだけできていないか」という減点思考になっていることです。高い目標があり、それを目指すことは大切なことですが、常に目標に対してできていないことばかりに焦点が向かっていては、周りの社員も辟易してしまいます。

行き過ぎると、会社の雰囲気が悪くなるばかりか、周りの社員が精神的な病気や退職に至ってしまう場合もあります。できることなら、視点を変えて、現状から目標に向かって、できたことに集中する思考に転換することが望ましい傾向でしょう。

表現が攻撃的

本人にそのつもりはないかもしれませんが、言われている相手からすると、責められていると感じる表現を無意識にしてしまうものです。

例えば、「あれできた?」です。お互いの会話の状況によりますが、言われた方からすると「まだできてないのか」と、反語のように問い詰められていると聞こえます。

それから「また準備が遅れたの?」です。今回も結果的に準備が遅れてしまったかもしれませんが、前回とはまったく異なる理由で準備が遅れたかもしれません。その理由が、外部の取引先や上司からの連絡ミスなど、当人が管理できない原因にあったかもしれません。
そこに至ったプロセスの確認なく、起こった結果や事実のみを指摘する表現です。

さらに「この顧客はまた来るに決まっている」などの断定口調です。顧客とのこれまでの関係性から、次回訪問してくれる確率が高い場合がありますが、顧客のことですので、そうなるとは限りません。
しかし、それを決めつけるような強い口調と周りの意見に耳を傾けない姿勢は、他の可能性を否定することになってしまいます。そしてこういった姿勢や口調は、恐らく一事が万事であり、次第にリーダーの周りから、人が引いていってしまうでしょう。

厳し過ぎる部下との対話方法

熱心で前向きなことはよいことですが、それが会社にとってマイナスになってしまっては、意味がありません。厳し過ぎる態度がエスカレートすると、パワハラに発展してしまうケースもあります。

2019年6月には、いわゆる「パワハラ防止法」が施行されました。このようなリーダーに対し経営者は、何としても気づかせ、会社全体に貢献するようにさせたいと考えます。しかし、「やる気をそいでしまったらどうしよう」とか「辞めたらどうしよう」など、リスクを考えると、指導や指摘に躊躇してしまいがちです。

しかし、この状況は放っておくことはできません。言いづらいことでも、しっかりと伝えるのが経営者の役割です。ただし、話し方は重要です。経営者がリーダーの気持ちを考えず、正論を振りかざしては、このリーダーと同じになってしまいます。そこで、厳し過ぎるリーダーに対しては、次のような工夫をしてみます。

前向きな気持ちをヒアリング

まず、本人の気持ちをヒアリングします。取り組みに対する前向きな気持ちを語らせます。
仕事への思いや、将来の目標や夢をしっかりと受け止め、同時に、会社に貢献していることや感謝の気持ちを伝えます。
厳し過ぎるリーダーは、やって当たり前と考えていることが多いので、それを受け止められることは、思いが承認されたと感じるでしょう。

前向きにアドバイスをする

その上で、伝えるべきことを伝えます。その際、伝え方として、否定形で言ってはいけません。「○○さんへの接し方がよくない」や「厳し過ぎる言葉を使わないように」などです。叱責されたように聞こえてしまいます。

その代わりに、「こうするとよくなるよ」や「この伝え方のほうがいいね」など、より望ましい方法を伝えます。自身の成長について関心は高いはずですので、前を向いた発言には耳を傾けるでしょう。
本人が気づいた様子が伺えれば、アドバイスをやめ、「それで?」と質問形式に切り替え、自発的に考えさせます。

対話にあたっては留意点を踏まえる

それでも、自分にも厳しいリーダーのことですので、すんなり受け入れることは難しいかもしれません。自分の行動が否定されたと感じる憤りや認められていないと感じる不満、それらと自分の目標との葛藤など複雑な気持ちになるかもしれません。

そのため、この対話で決してリーダーを追い詰めてはいけません。必ず気持ちの行き場を用意しておきます。具体的には、上司の失敗談を共有したり、上司の意見として「私はこう思う」、「私ならこうしてみる」などと伝えたりすることです。

正論や一般論に対しては、優秀なリーダーのことですので、反論を探すか、見つからない場合は答えに困ってしまいます。そこで、いつもうまくいくことばかりではないことや、「私なら」とアドバイスを個人的な形に限定的にすることで、リーダーが前に進むスペースを与えるのです。

このように、留意点を踏まえながら、「前向きな気持ちをヒアリングする」ことと「前向きにアドバイスする」ことで、伝えるべきことを伝えることができます。

これが経営者にとっても、会社にとっても大切なことです。
リーダーが経営者の気持ちを共有できるようになることで、リーダーが本当の意味でのリーダーに成長するとともに、会社の将来に欠かせない存在となります。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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