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【フランチャイズ本部構築決定版】第4回:本部が受け取る加盟金やロイヤリティを設定する

フランチャイズビジネス市場が拡大を続ける中、フランチャイズ展開を目指す企業が増加傾向にあります。
ところが「フランチャイズ本部になるためにやるべきこととそのステップ」が体系的にまとめられている情報は意外にも少ないようです。そこで、弊社がフランチャイズ本部構築のコンサルティングをさせていただく際に取り組むこととその流れ、留意点等を全8回にわたってフランチャイズ本部構築大全としてお届けしたいと思います。


<目次>

<シリーズ>
第1回:フランチャイズ展開をはじめる前に準備すべきことを知る
第2回:フランチャイズ展開する標準店舗モデルを確立する
第3回:加盟店に提供するフランチャイズパッケージを作り込む
第4回:本部が受け取る加盟金やロイヤリティを設定する
第5回:フランチャイズ契約書類を整備する
第6回:加盟店開発戦略を策定する
第7回:フランチャイズ本部のスタッフを育成する
第8回:フランチャイズ本部立ち上げを成功させるためのポイント

【第4回】フランチャイズ本部が受け取る加盟金やロイヤリティを設定する

加盟者に対して提供するサービス(フランチャイズパッケージ)が決まったら、その対価として本部が受け取る加盟金やロイヤリティを検討します。
フランチャイズ本部がこれまで時間と労力、コストをかけて開発してきたブランドやノウハウを提供するのですから、それに見合った対価を得ることは当然です。

とはいえ、加盟者の収益性や投資回収といった観点もありますから、本部、加盟者双方にとって妥当な水準に設定することが必要です。
第4回目は、加盟金やロイヤリティといったフランチャイズ本部が加盟者から受け取る対価の基本的な考え方をご紹介します。

 

(1)対価の種類

フランチャイズ本部が加盟者に対してフランチャイズパッケージを提供することの見返りとして、加盟者がフランチャイズ本部に支払う対価は、大きく分けて以下の2種類に分類することができます。

①イニシャルフィー

加盟者が、フランチャイズに加盟する際に本部に対して支払う初期費用です。
加盟時に1回支払うだけの初期費用ですから、フランチャイズ本部が加盟者に対して提供する初期サービス(ブランド使用許諾、マニュアル貸与、開業指導、開業研修など、加盟時にのみ提供されるサービス)に対しての対価となります。
一般的には加盟金を指しますが、その他の名目としては、研修費、開業支援費、開業前研修費等があげられます。

尚、中小小売商業振興法や独占禁止法のフランチャイズガイドライン※では、加盟金やロイヤリティ等、フランチャイズ本部が加盟者から受け取る金銭は、本部が提供するサービスのうち、どれに対する対価であるのかを明示するようフランチャイズ本部に求めています。
ですから、加盟者からいただく金銭については、その性質(加盟時に1回払って終わりか、継続的に払うものか)を踏まえて、何の対価であるのかを事前に明らかにし、法定開示書面やフランチャイズ契約書に明記しなければなりません。

※フランチャイズに関連する法律について詳しく知りたい方は、以下をご参照ください。

フランチャイズ構築時に知っておきたい法律①中小小売商業振興法

フランチャイズ構築時に知っておきたい法律②独占禁止法

②ランニングフィー

加盟後に加盟者がフランチャイズ本部に対して継続的に支払うこととなる費用です。
継続的に支払っていく費用ですから、本部が加盟者に対して加盟後継続的に提供するサービス(経営・運営指導、ブランド使用許諾、情報システム使用など)に対しての対価となります。一般的にはロイヤリティを指しますが、その他の名目としては、ブランド使用料、情報システム使用料、共通販促費用などがあげられます。

また、フランチャイズシステムでは本部から加盟者に対して商材や原材料等を販売するケースがありますが、その取引から本部が得る利益もランニングフィーの一種といえるでしょう。


このようにフランチャイズシステムには性格の異なる2種類の対価が存在しますがが、どちらにも共通していえることは、いずれの対価も「本部が加盟者へ提供するサービスに対しての対価である」ということです。

ですから、加盟者から徴収する対価は、本部が欲しい金額を基準に決めるのではなく(もちろん、そういった側面があることを否定はしません)、あくまで本部が加盟者に対して提供するサービスの内容を基準に決定することになります。
サービスの提供がないのに対価だけを徴収することは、一般的な商売を考えてみれば成り立たないことは明白ですし、金額の算定に根拠が無いケースも同様です。

しっかりとした根拠がないのにもかかわらず、あまりにも高額な対価を設定することは、後々大きなトラブルを引き起こすリスクがありますので注意が必要です。

 

(2)加盟金やロイヤリティの決め方

加盟金やロイヤリティをどのように決めるのか。これは、弊社にご相談に訪れる相談様からいただく質問の中でも、最も多い内容です。
前提として、加盟金やロイヤリティの決め方にルールはありません。前述した金銭の性質と、フランチャイズ本部が加盟者に対して提供するサービス内容とのバランスで決定していくことになります。

弊社では、加盟金やロイヤリティの性質を踏まえ、最低限、以下の4つの視点から検討することを推奨しています。

①対価としての妥当性

先にも述べた通り、本部が加盟者から徴収する加盟金やロイヤリティは、本部が加盟者に提供するサービスへの対価となりますから、「提供するサービスの価値=>加盟者が支払う金額」が原理原則となります。

とはいえ、「フランチャイズ本部が提供するサービスにどの程度の価値があるのか」ということは非常に難しい問題です。ですから、それほど神経質には考えず、その他の要素を踏まえて加盟金やロイヤリティを仮設定した後に、施呈した金額が、一般常識で考えて本部が提供するサービスと比較して乖離しすぎていないかを検証するとよいでしょう。

②加盟者の収益性

フランチャイズ展開で成功する最大のポイントは、加盟者の店舗を繁盛させることです。
本部の利益を追求し、加盟金やロイヤリティを高く設定した結果、加盟者の経営が上手くいかないのでは、そもそもフランチャイズシステムが成り立ちません。
加盟者が加盟金やロイヤリティを支払ったとしても、一定の収益性を実現できることがフランチャイズ展開の前提です。

③本部の収益性

フランチャイズ展開を進めていくと、加盟者に対する経営指導やマニュアル・情報システムの整備など、本部には従来には必要のなかったコスト負担が一定程度生じることとなります。

加盟者が高い収益性を実現することは非常に大切である一方、本部が儲からなければチェーン自体の発展が望めません。
ですから、本部の機能を果たすために必要となるコストは、加盟金やロイヤリティからまかなえなければなりません。

また、フランチャイズ展開も事業の一つですから、加盟金やロイヤリティから本部の利益を確保することは当然といえるでしょう。
そのためには、フランチャイズ展開後に新たに発生するコストを、加盟金やロイヤリティでまかなえるかどうかを検証しておく必要があります。

④同業他社とのバランス

近年、フランチャイズ展開を進めている企業は増加傾向にあります。当然、加盟希望者もそれらの情報収集を行っているはずです。
今の時代、どのようなチェーンにも比較対象が存在するわけですから、設定した加盟金やロイヤリティが同業他社と比較してあまりにも高額な場合は、高額なだけの十分な理由が無ければ加盟者獲得競争に打ち勝つことができません。

現状のフランチャイズ業界を見渡してみると、ある程度業種業態によって加盟金やロイヤリティの相場が決まってきていますので、4つの視点の中でも最も影響力のある要素といえるでしょう。


上記4つの視点からバランスよく検討することによって、はじめて、本部、加盟者双方から見て、納得性のある金額に落ち着かせることができます。
実務的には、ロイヤリティを含むランニングコストで、モデル店舗の営業利益率の半分程度、加盟金を含むイニシャルコストは初期投資とあわせて3年以内に回収できる程度で検討を開始し、上記4つの視点を踏まえて微調整していきます。

 

(3)ロイヤリティは固定額 or 対売上比率?

ロイヤリティを検討するにあたって、ロイヤリティを固定額にするか、対売上比率にするかを検討する必要があります。固定額・対売上比率における本部・加盟者のメリット・デメリットは以下の通りです。

 メリットデメリット
固定額本部
  • 加盟者の売上を把握する必要がなく、管理が楽
  • 加盟店舗の業績に関わらず安定収入が得られる

 

  • 本部や加盟者の努力によって加盟店舗の業績が上がっても、本部の利益は増えない
  • チェーンの売上が落ち込むと加盟店の収益性が急速に悪化し、結果としてチェーンの魅力低下につながるリスクがある
加盟者
  • 努力をして売上を伸ばせば伸ばすほど、加速度的に収入が増える
  • チェーンや店舗の売上が落ち込むと収益性が急速に悪化する
対売上比率本部
  • 本部や加盟者の努力によって加盟店舗の業績が上がると、本部の利益も増える
  • チェーンの売上が落ち込んだ時には加盟店のロイヤリティ負担も減少する
  • 加盟者の売上を正確に把握する必要があり、管理が煩雑となる
  • 加盟者の売上補足に限界があり、不正が発生するリスクもある
  • 加盟者の原因で加盟店の売上が低迷した場合に、本部のロイヤリティ収入も減少する
加盟者
  • 売上不振の場合にロイヤリティ負担が減少する
  • 努力して売上を伸ばせば伸ばすほどロイヤリティ負担が増加する

本部と加盟者の公平性を考えれば、対売上比率が望ましいものといえます。これは、加盟店舗の売上が上がれば上がるほど、本部・加盟者共に利益が増え、逆に加盟店舗の売上が下がれば下がるほど、本部・加盟者共に利益が減ることとなるからです。

しかしながら、対売上比率の場合「加盟者の売上を正確に補足できるかどうか」という点がしばしば問題となります。仮に加盟者が売上をごまかして本部に実際よりも低く申告した場合、本部が得るロイヤリティも減少することとなります。
このような事態が発生すると、本部と加盟者の信頼関係が破綻することになりますから、対売上比率方式を採用する場合には、できる限り加盟者がそのような不正行為を行うことができないよう仕組みを整えておくことが求められます。

以上を踏まえると、原則的には対売上比率で考え、どうしても加盟者の売上補足に限界があり、かつ不正発生によるリスクを避けたい場合には固定額で設定するとよいでしょう。

 

まとめ

第4回目では、フランチャイズ本部が加盟者から受け取る加盟金やロイヤリティの考え方を解説しました。
加盟金やロイヤリティは、本部にとってはもちろんのこと、加盟者にとっても非常に重要な要素となります。本部と加盟者がWin-Winの関係となれるよう、多様な視点から金額を設定していくべきでしょう。

第5回目では、フランチャイズ契約締結の流れや契約書作成の考え方やポイントを解説します。

【FC本部構築決定版】第5回:FC契約書類を整備する


執筆者プロフィール

株式会社 常進パートナーズ 代表取締役 高木 悠
千葉県生まれ。立教大学経済学部卒。大手外食フランチャイズチェーンに入社後、店長、マネージャー、フランチャイズ担当等を歴任。15年以上にわたり外食・フランチャイズ業界に関わっており、店舗ビジネスや大手チェーン・フランチャイズ本部の実態を熟知している。
独立後は「店舗ビジネスを営む企業とそこで働く社員の社会的地位の向上」を実現すべく100社以上の企業支援に携わっており、支援先の中には2年間で売上274.6%UPを達成した企業や、創業後5年以内に30店舗展開を達成した企業があるなど、その実践的なコンサルティングには定評がある。
著書として「フランチャイズマニュアル作成ガイド(同友館 共著)」「飲食店「のれん分け・フランチャイズ化」ハンドブック(アニモ出版 共著)」がある。
経済産業大臣登録 中小企業診断士。

<シリーズ>
第1回:フランチャイズ展開をはじめる前に準備すべきことを知る
第2回:フランチャイズ展開する標準店舗モデルを確立する
第3回:加盟店に提供するフランチャイズパッケージを作り込む
第4回:本部が受け取る加盟金やロイヤリティを設定する
第5回:フランチャイズ契約書類を整備する
第6回:加盟店開発戦略を策定する
第7回:フランチャイズ本部のスタッフを育成する
第8回:フランチャイズ本部立ち上げを成功させるためのポイント

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