近年、飲食業界に限らず、人手不足の問題は深刻化の一途です。
平成29年4月時点での有効求人倍率は1.5倍弱と、売り手市場の状態が継続しています。
その流れを踏まえて、平均時給も高騰の一途であり、人手不足問題は飲食店の継続可否を左右しかねない重要課題となっています。
人材採用についても、企業間で競争する時代になったといえます。
今回は、このような人手不足時代においていかに人材を確保していくのか、という点について考えてみたいと思います。
(1)人材確保を確保するための基本的な考え方
あたりまえのことですが、人材を確保するためには求職者に「この会社で働きたい」と感じていただくことが不可欠です。
人によって会社に求めることは異なりますが、大きく分けると、求職者が会社に求めるポイントは以下の2点に集約できるものといえます。
①働きやすい環境の整備
労務管理の適正化、有給休暇の利用促進、柔軟な働き方がしやすい環境整備(時短勤務、フレックス勤務等)等により、従業員にとって働きやすい=ブラックといわれない労働環境が整備されている
②夢を持って働ける環境整備
努力・能力・成果等に応じた評価・賃金体系の整備、経営計画の共有などにより、従業員が将来に夢と希望を持って働くことができる環境が整備されている。
人手不足時代においても求職者を惹きつけていくためには、上記2点について、高いレベルで求職者の欲求を満たしていくことが不可欠といえます。
なお、人手不足問題を解決するためのポイントを知りたい方はこちらのコラムもあわせてご覧ください。
(2)飲食業の限界
「①働きやすい環境の整備」と「夢を持って働ける環境整備」の2つを高いレベルで両立させることができれば、求職者を惹きつけられる可能性は大いに高まるものといえます。
ところが、労働集約型のビジネスである飲食店において、「①働きやすい環境の整備」を高いレベルで実現することは容易なことではありません。
例えば、フレックスタイム制を導入したとしても、営業時間が決まっているのですから、各時間帯に必要な人員数は決まっているわけで、結局誰かが対応しなければなりません。
また、有給休暇の利用を促進するといっても、飲食店では、人が休んだ分、誰かが代わりに多く働かなければなりません。時短勤務も同様です。
飲食業にはこのような特性がありますから、例えばIT業などと比較すると、どうしても「①働きやすい環境の整備」の分野では、対応できることに限界があることを認めざるを得ないのです。
(3)人手不足問題を解決するために飲食業界が目指すべきこと
「①働きやすい環境の整備」と「夢を持って働ける環境整備」の2つのうち、「①働きやすい環境の整備」への対応には限界があるわけですから、飲食店においては「夢を持って働ける環境整備」の分野では、他業界に負けないよう努力をしなければなりません。
「夢」と言っても人によって千差万別であるため、一概に述べることはできませんが、飲食業界は他業界と比較して「従業員の独立志向が高い」点に特徴があるものといえます。
そのため、従業員の独立を後押しするのれん分け制度(従業員独立支援制度)の構築は、それらの人材を惹きつける一つの魅力になるものといえるでしょう。
実際、ラーメン店は飲食業界において最も人材不足が深刻化している業種であるといえますが、当社クライアントではのれん分け制度の導入後、従来に比べると安定的に人材を確保できるようになっているとのうれしい声も上がってきています(ただし、のれん分け制度を整備するだけではなく、のれん分け制度に関する情報の発信方法も工夫を凝らす必要があります)。
以上、労働集約型のビジネスである飲食業界におけるのれん分け・社員独立制度の導入は、人手不足問題への大きな可能性になるものといえるのです。
なお飲食業界におけるのれん分けについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
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