フランチャイズビジネスは多店舗展開を加速させる上で非常に有効な手段です。
ブランド価値を高める手法として多くの企業が取り入れている仕組みです。
しかし、フランチャイズ契約書や加盟店をグリップする体制、過去にあったトラブル事例への対応策など、フランチャイズ本部を構築する上で検討すべき課題は多岐に渡ります。
そのため中小のフランチャイズ本部ではハードルが高く、加盟者が集まらず、断念せざるを得ないケースもあります。
そこで今回は、これらのリスクを抑えた「のれん分け」ビジネスについて触れていきたいと思います。
なお、店舗ビジネスのキャリアの限界を突破する「のれん分け制度」づくりや成功のポイントを知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
そもそも多店舗展開は必要なのか
前提として、飲食業や小売業・サービス業は何故、多店舗展開を必要とするのでしょうか。
1店舗だけで地域のお客様に支持され、長年営業を続けている事業者もたくさん存在します。
したがって、店舗ビジネス=多店舗展開ありきではありません。
しかし、自身のビジネスを拡大したい、もっと多くの方々に知ってもらいたい、もっと地域に愛される事業でいたい、といった野心をもつことは、経営者として自然なことでしょう。
飲食業であれば安くて美味しいものを、多くの消費者に食べていただければ、大きな社会貢献です。
そこには仕入れる材料があり、物流があり、調理担当者や配膳や接客の担当もいます。
サプライチェーン全体として仕事が存在し、大きな雇用が創出される点を捉えれば、地域で多店舗展開する意義は大きいと言えるでしょう。
チェーン店が抱える課題
しかし複数店舗の出店に伴い、スタッフを雇用し続けている企業では、顕在化する課題も出てきます。
それがスタッフのキャリアの問題です。
多店舗展開しているといっても、1店舗の売上や利益は、一定の商圏で戦っている以上、飛躍的に伸び続けることことには限界があります。
また調理や接客の経験を積んだからといって、40代や50代になって給与水準は上がりません。
若い世代と変わらないままとなります。
つまりスタッフの立場からすると、自分の給与の上限が見えてしまうのです。
そして、一定程度の年齢になったスタッフは、生活を豊にするために収入を増やしたいと思い始め、他業種・他業態への転職、退職して同業での独立など、現在の勤務先で働き続ける以外のキャリアを選択していくのです。
結果として店舗スタッフは、20代〜30代など、比較的若い世代に支えられている構造になっており、店舗ビジネスではいずれかのタイミングで、「従業員のキャリアパスの壁」に、企業の成長が阻まれるのです。
のれん分けで店舗ビジネスのキャリアの限界を突破する
これまで特に外食産業では「独立を推奨」「独立やむなし」といった雰囲気もあり、育てては辞めていく、の繰り返しであったことでしょう。
しかし考えてみれば、40代・50代の経験値の高い人材の流出は、実は非常にもったいない現象ではないでしょうか。
この世代がもっと飛躍的に活躍できる仕組みが店舗ビジネスには必要なのです。
キャリアアップの限界を突破するための仕組みです。
その有効策が「のれん分け」や「フランチャイズ」です。
社長のもとから巣立って、独立していくキャリアパスを準備するための手法です。
もちろん、40代、50代だけでなく、能力の高い方は、20代・30代から経営者として活躍される方も多い制度です。
「のれん分け」と「フランチャイズ」の違い
では「のれん分け」と「フランチャイズ」のどちらを選べばよいでしょうか。
この2つは、細かく考えれば異なる点はたくさんあるものの、大きな概念で違いを一言で述べれば、「本部と加盟店の関係の濃さ」にあります。
「フランチャイズ」は本部との関係性のない第三者が多く加盟します。
一方で「のれん分け」は自社で働く従業員が加盟対象となります。
一緒に働いてきた仲間たちであり、実務経験が豊富で、会社の理念や考え方を理解した、一定の知見と経験を持ち合わせた心強い存在です。
この点は会社としては大きな強みであり、競争力になります。
つまり信頼関係が一定程度維持できているだけでも、多店舗展開のハードルが大きく下がると言えます。
「フランチャイズシステム」は、店舗展開の速度を高められ、会社の成長速度を上げる可能性を秘めています。
しかし第三者を加盟者に迎えることから、本部構築や制度設計は非常に高度になります。
更に本部・加盟者間のトラブルも避けて通れません。
これらのリスクを回避するために、自社の持っているリソースから、「のれん分け」のシステムの構築を選択するのも一つと言えます。
「のれん分けシステム」がもたらすメリット
キャリア問題を解決する手立てという以外にも、「のれん分けシステム」を構築するメリットが他に2つあります。
人材育成と資源流出の防止です。
人材育成
「のれん分け」制度を導入することで、従業員に対して自分のライフプランを考えさせるきっかけとなります。
自社の考え方から始まり、接客や調理などの店舗オペレーション、店舗スタッフのマネジメント、金銭管理、開業準備、資金調達まで、経営者に必要なスキルを自社で学ばせることができます。
「のれん分け制度」を意識させた働き方をすることで、後々の独立へと繋がります。
そして人材育成のできる会社には自然と人材が集まるものです。
人材育成に力点を置いた企業にしていくことで、新しい人材が集まる循環を作り出せると言えます。
資源流出の防止
会社にとっての資源は、資金・ノウハウ・ブランド・原材料・取引先・従業員など様々あります。
特に店舗ビジネスは労働集約型であり、「人」に支えられています。
この最も大事な資源を、他社に流出させることなく、グループ内で一緒に戦う仲間となってくれれば心強い存在です。
まとめ
「のれん分け」は人材に焦点を当てた仕組みと言えます。
「人」が育ち独り立ちし、グループ内で貢献することでブランド価値も高まり、経済的にも会社に還元してくれます。
このサイクルが構築できれば、会社(本部)、従業員(その家族)、地域のお客様の “3方よし“です。
規模が拡大し、のちに「フランチャイズシステム」へ昇華させていく方法も考えられます。
その前段のステップとして「のれん分け」の仕組みから始めるのも有効な手段ではないでしょうか。
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