人材育成

若者のキャリアの不安を解消するための3つの対話のポイントとは

現在20~30代のミレニアム世代と言われる現代の若者は、SNSなどでマイペースにコミュニケーションをしていますが、実は将来について多くの不安を抱えている場合があります。

若い世代を自発的に行動できる人材に育成するためには、若い社員の不安に耳を傾け、将来について適切にアドバイスすることが必要です。

そこで、経営者や先輩社員が若い世代のキャリア相談にのる際の役立つ3つの視点「現在・過去・未来の時制」、「やりたいこと・できること・やるべきことの行動」、「SWOT分析」をご紹介します。

なお、店舗ビジネスのキャリアの限界を突破する「のれん分け制度」づくりや成功のポイントを知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

事業拡大したい経営者必見!のれん分け制度をつくる7つの手順と、成功の3つのポイント

(1)現代の若い世代は将来について不安でいっぱい

「仕事にやりがいを感じなくなった」
「このままでいいのか?将来が何となく心配」
「スキルアップのために転職を考えている」

これらは先日飲食店やサービス業の複数の経営者の方から伺った社員の言葉です。
現在20~30代のミレニアム世代と言われる現代の若者は、スマホなどのデジタルガジェットを自由に使いこなし、SNSなどでマイペースにコミュニケーションをしていますが、実は将来について多くの不安を抱えている場合があります。

少子化により、モノを十分に与えられ注目されて育った家庭環境は恵まれていますが、社会全体の経済環境は明るくなく将来をなかなか見通せないなか、先々については慎重に考え行動しています。

一方、バブル経済を過ごした世代では、「とりあえず就職して働いていれば何とかなるだろう」くらいにしか将来のことを考えていなかった人も多かったようです。
このように世代間では将来に対する見方や考え方が大きく異なっています。

(2)不安を解消するための3つの対話のポイントとは

こうした20~30代の若い世代が会社の中心になるなか、彼らを放っておいては不安で消極的な働き方であったり、転職したりしてしまいます。

若い世代を自発的に行動できる人材に育成し、将来会社の中核として業務を担わせるためには、若い社員の不安に耳を傾け、将来について適切にアドバイスすることが必要です。

経営者や先輩社員から積極的に声をかけるなど意識して接します。
そこで、若い世代のキャリア相談にのる際の役立つポイントをご紹介します。

現在/過去/未来の時制を意識する

不安や悩みごとというのは、仕事に限らず、漠然としていて曖昧な場合が多くみられます。
これらの問題を解決するためには、問題点を具体的、明確にして対処する必要があります。

これは会社の問題を解決することと同じです。
そのために、部下に自己分析を勧めてみます。

例えば、現在、自分の強みや弱みは何か?仕事で何をしているときが集中できるか?など自分の特性や性格を認識させます。
また、これまでどのような経験をしてキャリアを形成したから今の自分となったのか?など過去の環境や自分の考え、行動、感情を振り返らさせます。

そして、将来どのような社会人になりたいのか?
家族構成含めてどのようなワークライフバランスを望んでいるのか?
社会人として達成したい目標は何か?
など将来に対する夢やあるべき姿をイメージさせます。

お分かりの通り、これらは、現在・過去・未来の時制ごとの問いかけです。
キャリアについて自己分析する際には、時制を意識して分析することで、モレやダブリがなく、人生や社会人としての道のり、ストーリーを描き出すことができます。

やりたいこと、できること、しなければいけないことの3つの視点で考える

不安や悩みごとがあるときには、心のなかに葛藤がある場合が少なくありません。
一方を立てれば、もう一方が立たずといったケースです。

わかりやすい例では、ダイエット(体重管理)中だが、甘いものを食べたい、でも、食べると太ってしまう、といったことや、この会社で働くことは大好きだが、自分の将来を考えると転職も考えざるを得ないなどです。

このあやふやな状態に人はしばしば陥ります。
しかし、この状態に長く留まっていてもよいことはありません。

この状態では問題解決は一切できませんし、長く続くと最近若い世代に増えている心の病気になってしまったりします。

このようなときは、やりたいこと(Will)、できること(Can)、やるべきこと(Must)の3つにわけて考えてみます。やりたいこと(Will)とは、例えば、転職したいといったことです。
しかし、それは本当にやりたいこと(目的)を実現するための表面化した行動(手段)でしかない場合がありますので、転職してやりたいこと、転職してまで目指していることは何か?などと深掘りをします。

次に、できること(Can)とは、これまでに経験した顧客開拓や店舗運営業務、資格取得などにより保持しているスキル、グループをまとめたり動かしたりするコミュニケーション能力やリーダーシップなど具体的なものです。

そして、やるべきこと(Must)とは、取り組まなければいけない仕事や対処しなければいけない課題、会社や周りからの期待などです。

これらの3つの視点は、自己分析するにあたってとても役立ちます。
3つの視点がまったく同じになることは決してありません。

しかし、この重なる領域を大きくすることが、自分の考えや行動の満足度を高め不安を解消する助けになりますので、どのように考え方や行動を変えたらこの重なる領域が大きくなるかを考えます。

SWOT分析する

部下の強み(Strength)、弱み(Weakness)と部下を取り囲む機会(Opportunity)、脅威(Threat)を棚卸ししてみます。

強みと弱みは部下の能力や性格などの内的環境のことです。
絶対的な強みは主観的であり部下の支えとなるため大切にします。

一方、同僚や先輩、業界一般などと比べた相対的な強みと弱みは、部下の相対的な能力を客観的に把握するために重要です。
例えば、「魚の調理には自信がある」というのは絶対的な強みですが、社内の同僚と比べてどうか、社外ではどの程度評価されるのか、職人として店を持てるレベルかなどと相対的にも分析します。

そして、機会と脅威とは、市場や法律、社内などの現在の状況や今後起こりうる変化などの外的環境のことです。
例えば、健康意識の高まりから健康管理に関するインストラクターの需要(求人)が増えていることや、同僚に腕のいいシェフがいることなどです。

部下がコントロールできる領域ではありませんので、機会は存在するうちに積極的に利用し、脅威はできるだけ避けるようにすることが定石です。

ここまで環境分析できたら行動策を立てます。
最も優先する行動は、強みを活かしながら機会を追い風として利用する戦略(強み×機会)です。

次に、機会を利用しながら弱みを克服する戦略(弱み×機会)や強みを活かして脅威を弱める戦略(強み×脅威)を考えます。
脅威に対して弱みでしか対処できない場合(弱み×脅威)は、その土俵で勝負しないようにします。逃げるが勝ちです。

このように、不安や悩みごとを漠然ととらえるのではなく、現在・過去・未来の時制ややりたいこと・できること・やるべきことの行動の3つの視点を意識したり、SWOT分析することで、問題点の本質を見極められ解決策を見つけやすくなります。

現代の若者は、不安を感じながらもこのように考えた経験が乏しいと思いますので、対話の機会を積極的に利用しながら、これらのポイントを意識して不安を解消する手助けにしましょう。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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