ネットラジオ『多店舗化・フランチャイズ化を考える店舗ビジネス研究所』は、弊社代表の高木と社労士の田村陽太が、飲食店、整体院、美容院等の様々な店舗ビジネスの「多店舗展開」を加速させるために重要な事を対談形式でお話しするラジオ番組です。
第60回 『まつげエクステサロンを経営しています。のれん分け制度の導入を検討していますが、業務委託契約との違いがわかりません。違いを教えてください。』というテーマで店舗ビジネス専門コンサルタントの髙木悠が熱く語ります。
【ハイライト】
・業務委託契約とは?
・業務委託、のれん分けの各メリットデメリット
・店舗ビジネスでの業務委託契約トラブルとは?
・面貸しでの独立vsのれん分け
・美容業で独立した後の未来を予想出来てますか?
多店舗化・フランチャイズ化を考える店舗ビジネス研究所。この番組は株式会社常進パートナーズの提供でお送りいたします。
店舗ビジネス専門コンサルタントの高木悠が最速・最短で年商30億、店舗数30超を実現する実証されたノウハウをコンセプトにのれん分け制度構築、FC本部立ち上げ、立て直し、人事評価制度の整備など飲食店、整体院、美容院などの様々なビジネスの多店舗展開を加速させるために重要なことを対談形式で分かりやすくお話しする番組です。
田村:こんにちは。パーソナリティーの田村陽太です。配信第60回目となりました。本番組のメインパーソナリティーをご紹介します。店舗ビジネス専門コンサルタントの高木悠さんです。よろしくお願いします。
高木:よろしくお願いいたします。
田村:高木さん、今日も頑張っていきましょう。
高木:はい。お願いいたします。
田村:本日のテーマはこちらとなっております。「まつ毛エクステサロンを経営しています。のれん分け制度の導入を検討していますが、業務委託契約との違いがわかりません。違いを教えてくださいということなんですが、どのような違いがあるのでしょうか?
高木:これはおそらくのれん分け制度を導入するっていうことと業務委託契約っていうのが、両方ともスタッフが頑張ったら頑張った分だけ報酬が増えていくみたいな、いわゆる成功報酬っていう観点で同じなんじゃないですかっていうことが聞きたいことなのだと思うんですよね。
田村:なるほど。
高木:で、その違いが何なのかっていうことですね。確かに成功報酬、つまり両方とも自分自身がどれだけ頑張って結果を出すかによって報酬が大きく変わっていく成功報酬モデルっていう観点でいけば同じですよね。
田村:はい。
高木:ただその仕組みがだいぶ違っていると思うのですよ。
田村:なるほど。どんな感じで違うでしょうか?
高木:例えば業務委託って言ったら、基本的には特定の業務を、独立している人に委託をして任せていくわけじゃないですか。だから独立者っていうのは、フリーランスみたいな感じなんですね。
田村:はい。
高木:フリーランスだから自分がまつ毛エクステサロンとすると、担当した施術をしたお客さんの数が増えれば増えるほど収入が増えていくっていう通常だと契約になりますね。成功報酬という観点ではのれん分けと似ているのですけども、重大な違いは業務委託モデルの場合、収入がマイナスになるっていうリスクはないですよね。
田村:そうですね。
高木:自分が稼働ゼロだったら、売上ゼロになっちゃうと思うのですけど、でも別に経費は無いじゃないですか。だから収入はマイナスにならないはずなんですよね。そういう意味ではあんまり覚悟は必要ないですよね。
田村:はい。
高木:雇用されて、成功報酬みたいな業績連動型の報酬で雇用されている方っていうのもいると思うんですよ。そういう方と業務委託の方の違いっていうのはそこまでないですよね。あとは業務単位で報酬をもらう契約形態になりますから、自分が働ける時間っていうのが当然収入の限界値になってきますね。このあたりはのれん分けとだいぶ違うポイントになるかなと思いますけどね。
田村:確かにそうですね。のれん分けっていうのはもうお店を任せられるとか、決定権があるとかってあると思うのですけど、例えば業務委託っていう形で店舗を任せるっていうと、報酬のもらい方としては特定の業務を任せるみたいな形になるってことですね。
高木:そうそう。店長の業務を委託するっていうのは、雇用との違いが説明しにくくなってくるじゃないですか。現実的に難しいと思うんですよ。
田村:そうですね。
高木:だからまつ毛エクステサロンで業務委託をするっていうと、施術に絞って業務委託するしかないですよね。要は作業する人ですよね。のれん分けの場合っていうのは、店舗の経営を任せていくわけですから、施術だけを任せるわけじゃないですよね。
田村:はい。
高木:収入は頑張れば頑張った分だけ増えるんですけど、逆に言うと、成績が悪いと収入はマイナスになる恐れさえあるじゃないですか。やるからには結構覚悟が必要ということです。だからのれん分けすると、店舗の売り上げって上がるのですよね、覚悟が違うから。
田村:マイナスになる可能性もあるけどプラスになる可能性も秘めていますもんね。
高木:そうそう。自分が頑張らないとリスクを背負っているわけじゃないですか。だからやっぱり頑張るわけですよ。そこは全然違いますよね。あと経営者ですから、自分がスタッフを雇用して業務を任せることができるじゃないですか。これは業務委託の方には絶対できないですよね。業務委託は自分が動いてその分だけ報酬を得る仕組みです。だけどのれん分けの場合は自分が人を雇用して、働かずに収入を得るっていうことができるわけですよね。ここが全然違うポイントになりますよね。
田村:なるほど。ありがとうございます。ちょっと一個質問したいんですけど、今後そうやって店舗展開していく上で、のれん分けっていうことで誰かに任せるっていうことがあるじゃないですか。
高木:はい。
田村:そのときに任せ方っていうのが、のれん分けにするのか、業務委託契約にするのかっていうところがそもそもあると思うのですけど、それは本部が決めていいのですか?それとものれん分けされる方っていうか加盟者の方が決めるべきことなのですか?どんな風にして決めていくのですか。
高木:それは、やっぱり独立者がどんな働き方をしたいのかっていうのは人それぞれじゃないですか。そんなに経営者にならなくても、かといって雇用されて毎日同じ時間そこに行くのは嫌だし、自分のペースで自分の好きなときに働きたいみたいな人もいるじゃないですか。
田村:はい。
高木:何が一番いいのかっていうのは正直人それぞれだとは思うんですよね。ただ、それぞれのメリットデメリットっていうのをちゃんと説明して、自分が実現したい姿を得るために何がベストなのかっていうのを考える機会を提供するっていうのは本部の役割だと思いますね。
田村:そうですね。ちょっと1個整理したいんですけど、業務委託契約でのメリットというと、仕事したいときにできたりとか融通がきくってところが一つありますよね。デメリットとしては報酬が決まっているというか売り上げもやっぱりガンと一気に上がる事はないみたいな所がデメリットですかね。
高木:一番のデメリットは、自分が体を入れて働くじゃないですか。別に雇用されているときと違って別に守られてもないじゃないですか。業務ができなくなった瞬間に収入を失うリスクっていうのがあるんですよね。これがやっぱり圧倒的なリスクであり、デメリットになりますね。
田村:そうですね。ありがとうございます。のれん分けのメリットとデメリットってどういうことでしたっけ?
高木:のれん分けのメリットで言うと、経営者となるので、自分が働かなくても人を雇用して収入を得ることもできますし、経営者なので自分次第ですよね。自分が働きたければ働ければいいし、それがメリットですよ。デメリットは、自由を得るのでリスクも背負うじゃないですか。
田村:はい。
高木:リスクっていうのはお店の売り上げが下がっていって、一定ラインを超えると赤字になるリスクがあるわけですよね。これが独立者から見たデメリットですよね。
田村:なるほど。ありがとうございます。もう1個質問したいんですけど、よく高木さんもご相談があると思うんですけど、業務委託契約にすれば社会保険に入らなくていいとか、残業代払わなくていいとかっていう所もあるじゃないですか。
高木:はい。
田村:そういう気持ちで業務委託契約を結んだことで飲食店とか小売店とかでトラブルとかって生じますか?
高木:それはもう田村さんの方が詳しいんじゃないかなと思うんですけど、美容系は結構業務委託を入れやすいのですよね。というのは何故かというと、飲食店って、いつお客さんが来るかもわかんないから、ずっとそこにいなきゃいけないじゃないですか。
田村:そうですね。
高木:だから労働時間の拘束っていうのがかなり強いのですよ。そもそも雇用と業務委託の違いって説明しにくいと思うんですよね。だけど、まつ毛エクステとかっていうのは基本的に予約制とかを入れているわけですよ。
田村:はい。
高木:自分が好きなときに予約のコントロールをして、予約が入ってるときに行って、終わったら帰ればいいじゃないですか。だから業務委託入れやすいですよね。だから、社会保険をカットするためにとか残業代払いたくないから業務委託入れるとかっていうと、それはリスクがあるからやめた方がいいと思います。
田村:はい。
高木:美容業界では割とそういった業務委託契約が成り立つ労働の仕方っていうのがもう根付いているんで、そういうとこを活用されているっていう現実はありますよね。
田村:確かに完全予約制のサロンとかも増えてきていますもんね。
高木:そうそう。店舗側のデメリットっていうのも結構あってですね。その業務だけを委託されているわけだから、まつ毛エクステで言ったら、手術して終わったらもう業務終了なわけですよね。
田村:はい。
高木:例えばお店の片付けとかみたいな話っていうのは、どこまでその人がやるべきなのかという問題がありますよね。片付けだけならまだしも、例えばお客さんとは関係ないところに少しゴミが落ちていたのか、でもそれって業務対象外だから別に掃除しないみたいなことっていうのも言い分として成り立つじゃないですか。
田村:そうですね。
高木:でも従業員さんはそういうわけにはいかないですよね。要は雇用されている方ですね。
そこで雇用されている人と業務委託のスタッフが両方ともいるようなサロンっていうのはそこで何か問題が起きたりとかはありますよね。
田村;区別がつきにくいですもんね。ありがとうございます。もう1個質問したいのですけど、結構これも労務の相談でよくあるのですけど、美容院とかカットサロンとかで、今まで従業員として働いていたのだけれども、独立したいという事で同じ店舗のところで「面貸し」と言うか、そこの店舗の一個人事業主として働かせてくれみたいな感じで独立するみたいな方もいるじゃないですか。
高木:はい。
田村:独立したいっていう方を任せたいっていう気持ちも経営者としてあると思うのですけど、別に業務委託だったら結局払う報酬的も一緒なので、僕はどちらかというと、のれん分けという形で他の店舗に任せた方が、全体的にグループとしても会社の売り上げもやっぱり上がってくるじゃないですか。
高木:はい。
田村:そのような独立したいっていう気持ちを業務委託じゃなくて、のれん分けの方に持っていくときの経営者のマインドっていうか、どんな風にして持っていったらいいのかっていうポイントってありますか。
高木:これは業務委託ではなくて、のれん分けした方がいい理由っていうのをちゃんと伝えなきゃいけないですよね。それを伝えたとしても、独立する側っていうのもできるだけリスクを負わずに独立したいという方が多いと思うのですよ。
田村:はい、ありますよね。
高木:そうじゃないですか。だから、もしのれん分けしないで業務委託をした場合に、要はどんなリスクとか落とし穴が待っているのかというのを最初は伝えなきゃいけないですよね。そこをちゃんと教育して分かってもらった上で、のれん分けの話をした方がいいと思うんですよ。
田村:なるほど。事前に伝えた方がいいのですね、そこら辺のポイントを。
高木:これを「自然と伝える」っていうのが結構コツで、日々のコミュニケーションの中で現実をすり込んでいく必要があると思うんですよ。悪い言い方をしたら、やっぱり煽るみたいな言い方になっちゃうのですが、真実をちゃんと伝えなきゃいけないですよね。
田村:はい。
高木:例えば美容系で言ったらいろんな真実があって、例えばよく私美容系の経営者と付き合いが多いのでよく聞くのですけど、美容院とかは若いスタッフが独立するじゃないですか。
田村:はい。
高木:業務委託とか自分で1人サロンとかをやるじゃないですか。売り上げのピークは独立した瞬間なのですよ、ほとんどが。
田村:そうなんですか。
高木:それって大体前職からお客さんを持っていくからなんですけどね(笑)
田村:なるほど(笑)
高木:だけど自分で集客できないし、美容院とかって若いときはいいのですよ。年をとってくると、だんだんお客さんとの話が合わなくなってきたりして、お客さんって離反していくのですよ。
田村:はい。
高木:そこがピークで、体力も落ちてくじゃないですか。お客さんと会話も合わないわ、自分も体力的に低下していって労働時間も減らさなきゃいけないわって言ったら、もう結構大変じゃないですか。
田村:そうですね。
高木:だから、自分がずっと働くことを前提にする場合で、1人サロンをやるっていうのはそういう未来が高い確率で待っているわけですよ。多分本部の経営者の周りにそういう風になっちゃっている人って知っていると思うんですよね。そういうことを教えなきゃいけないんですよ。
田村:そうですよね。
高木:これ聞いたら、今のままでいいのだろうかと思うじゃないですか。
田村:今回のご質問ものれん分け制度を導入すべきなのか業務委託契約を導入するべきなのかっていうそもそものところで迷っていますから、そういうところをまず自分が知らなきゃ駄目ですよね。
高木:そういう教育をちゃんとしたら、もしかしたら業務委託っていうのは独立者もこのままいったら危険かもしれないと思いますよね。この時に「聞く姿勢」ができるわけですよ。会社はそういう問題を私達は知ってるから、のれん分けっていう仕組みを用意したんだよと伝えるんです。
田村:はい。
高木:のれん分けをすると例えば自分が働きたいときは働いていて、だけども自分が年取ってきて疲れたとか、お客さんと会話が合わなくなってきたとか加齢とともにあるわけじゃないですか。
田村:そうですね。
高木:そしたら、新しい人を雇用して自分は現場に入らず、収入を得るってこともできる、こんな幸せはないわけじゃないですか。「だから私達は、皆さんのことを考えたときに、やっぱりこういう道に進んでいった方が幸せになると思うから、のれん分け制度を導入したのですよ」のような話をすると、だいぶイメージが変わると思うんですよ。
田村:確かにそうですね。
高木:こういうのを日々のコミュニケーションの中で、自然に話していくっていうのが結構重要ですよね。
田村:なるほど。ありがとうございます。今日はのれん分け制度の導入か、業務委託契約の導入か、どちらにすればいいのか、その違いについて教えていただきました。ありがとうございました。
高木:ありがとうございました。
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