多店舗展開

多様化する求人方法の特徴

(1)求人方法別の求人に関する特徴比較

求人方法には、紙やWebによる媒体活用やハローワーク、人材紹介、合同説明会などさまざまな方法があるため、自社に適した求人方法を採用するには、まず求める人材を明確化することが必要です。その上で、求める人材を効果的に求人するために、求人方法別に採用人数、採用する人材の質、採用にかかるコスト、採用にかかる時間、採用にかかる手間などの求人に関する特徴を把握しましょう(表1)。

表1 求人方法の比較

求人方法採用人数人材の質採用コスト採用時間採用の手間
媒体活用(紙・Web)
ハローワーク
人材紹介
人材派遣
縁故・口コミ
学校
SNS
自社Webサイト
合同説明会

上記の表は、あくまでも相対的な一つの評価ですので、時期や条件などにより異なることをご承知おきください。

(2)求人方法別の求人に関する特徴

各求人方法の特徴をご説明します。

媒体活用(紙・Web)

媒体活用(紙・Web)は、求める人材の地域や能力などを絞った求人が効果的にできます。求職者がまずはWebで求人情報を検索することは一般的になっているようですが、媒体への掲載期間や時期などに応じて、コストが高価になる場合があります。

ハローワーク

ハローワークは、無料で求人票を出せますのでコストがかかりません。また、採用において窓口で助成金などを助言してもらえる場合があります。一方、応募してくる求人者の人数と質を選べませんので、求める人材が応募してくるとは限りませんし、想定以上に多くの人数から問い合わせがあると対応に手間がかかったりする場合があります。

人材紹介

人材紹介は、即戦力や専門性の高い人材を採用する場合に有効です。求める人材に応じて人材紹介会社が登録者の中から候補者を随時紹介してくれますので、採用業務の負担の軽減になりますが、採用した場合は手数料として年収に対する一定割合を負担するため、採用コストは高くなりがちです。求める人材に応じた非公開求人もあり、採用を公開しないで行うこともできます。

人材派遣

人材派遣は、派遣会社から登録者を一定期間派遣してもらう方法で、派遣先の会社が派遣社員に業務の指示はしますが、派遣社員と雇用関係は発生しません。欠員が生じた場合や繁忙期などに必要な人材を早く確保できますが、派遣会社に手数料を支払いますので、直接雇用するよりも時給が高くなります。有期の業務の対応として効果的ですが、業務の技術・ノウハウの蓄積ができません。

縁故・口コミ

縁故・口コミは、親類・友人や従業員などを通じて、知り合いを紹介してもらう方法です。知り合いのため人柄は問題ありませんが、求める業務と能力がミスマッチしてないか、しっかり確認が必要です。紹介者に対しては、通常お礼をします。

学校

学校は、高校・大学や専門学校などに求人票を出す方法です。学校職員と打合せの手間や時間がかかりますが、関係を強化することで、学校から学生に自社を紹介してもらえる場合があるなどメリットもあります。コストがかかりません。

SNS

SNSは、FacebookやTwitterなどのSNSを利用する方法です。企業から積極的に情報を発信し双方向でのコミュニケーションが可能で、圧倒的に拡散力がありますが、求める人材を確保できるかはわかりません。コストはかかりませんが、随時情報を発信し続けることが必要です。内定者を確保するために、使用する場合もあります。

自社Webサイト

自社Webサイトは、自社Webサイトの一部に求人情報を掲示する方法です。会社概要や自社の商品・サービスなどと連動した情報提供が可能です。会社の事業内容などに興味がある人材の採用につながりますが、会社を知らない方へのアプローチができません。通年採用などの場合に適しています。求職者は興味がある会社のWebサイトを閲覧する可能性が高いと言われていますので、自社Webサイトを定期的に整備しておくことをお勧めします。

合同説明会

合同説明会は、転職フェアや合同説明会に出展し、求職者と直接対話する方法です。1日から数日間などの短期集中型で、関心の高い求職者が多数集まりますので、採用活動や会社の周知に有効です。コストは会場や出展ブースの場所・広さなどによって異なりますが、高くなりがちです。

(3)従業員定着率向上と採用活動をつなげる

各求人方法の特徴をご紹介しました。経営資源の限られる中小企業の場合は、採用に多くの時間やコストをかけることができませんので、求める人材に応じて、紙やWebの媒体活用やハローワークなどを期間を考慮しながら組み合わせることも効果的です。
人手不足問題が深刻化しており、人材確保は人事の問題ではなく会社全体の経営課題となっています。日頃から会社の経営理念や方針を明確化して伝え、働きやすさや働きがいのある職場にする地道な取り組みを行いながら採用活動を行うことで、従業員の定着率向上と新規採用により人材の強化につながります。
求人方法は様々ですが、企業間で人材確保競争が激化している状況では、発信する情報が何より重要です。採用ターゲットを明確化したうえで、そのような人材が求めるであろう情報(定着率向上策)を明確に発信し、他社に比べて働く職場としての魅力があることをアピールすることが大切です。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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