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のれん分け制度で直営店を譲渡する時の譲渡金額の考え方

「社員に直営店を譲渡する際、譲渡金額はどのように考えたらよいでしょうか?」

これは、先日弊社にのれん分け制度構築のご相談で訪れた美容院チェーンを営む経営者からのご相談です。

のれん分け制度で既存直営店舗を譲渡する時の留意点」では、既存直営店舗を譲渡するにあたって適正な譲渡金額を設定することが本部、独立者双方にとって重要になることをご紹介しました。

のれん分け制度で直営店を譲渡する時の留意点。譲渡対価設計、譲渡契約書作成

では、実際に譲渡金額はどのように考えるべきなのでしょうか。
今回は、この点について、基本的な考え方をご紹介いたします。


 
なお、のれん分け制度について詳しく知りたい方は、弊社YouTubeチャンネルをご覧ください。

 

(1)譲渡金額算定の基本

譲渡価格をいくらにするかという問題は、本部と加盟者、双方にとって重要な問題である一方、適正な譲渡金額を算定することは極めて難しい問題でもあります。
その理由は、適正な譲渡価格を算定するルールが存在しないことにあります。

通常の事業譲渡では、売り手と買い手が交渉をして譲渡価額を決定します。
売り手はできるだけ高い金額で売りたいと考えますし、買い手はできるだけ低い金額で買いたいと考えます。
双方がそれぞれの考えをぶつけ合い、その交渉の結果として譲渡金額が決定するのです。

売り手と買い手、双方が合意した価額はすなわち市場価額となりますから、売り手と買い手双方が交渉の上に合意したものであれば、基本的にはどのような価額でもかまわない、というのが基本的な考え方となります。

ただし、上記の考えが当てはまるのは、あくまで“売り手と買い手に利害関係がない”場合に限られます。
仮に利害関係がある場合にも自由な価額設定が認められてしまうとすると、

親が子供に1千万の資産価値がある不動産を渡す際に、贈与するのではなく、交渉の結果1円で販売する立て付けとすることで贈与税を免れる、

などの行為が認められてしまうことになるためです。

のれん分け制度において譲渡金額が問題となるのは、売り手と買い手に利害関係がないとは言い切れない点にあります。
売り手視点からは、「できるだけ高い価額で販売したい」という原則が必ずしも当てはまるとはいえないのです。

例えば、のれん分け制度には、従業員がこれまで会社に貢献してくれたことへの恩返し的な側面があり、実際に、従業員の独立時にはお祝い金を支給している本部もあります。
仮に、のれん分け制度において自由な価額設定が認められてしまうとすると、税金の対象となるお祝い金を払う代わりに、譲渡金額を引き下げる、などの行為が認められてしまうことになります。

上記を考えれば、「売り手と買い手、双方が合意した価額が市場価額となる」という基本的な考え方は、のれん分け制度においては成立しないと考えるのが現実的でしょう。

なお、実際の価値よりも不当に低い金額で譲渡をすると、贈与税の支払を求められる危険性があります。
このような不要なリスクを避けるためにも、既存直営店舗を譲渡するにあたっては、適正な譲渡価格を算定することが不可欠といえます。

 

(2)譲渡金額算定時の留意点

のれん分け制度において、譲渡価額を算定する際の留意点は、大きく以下の2点があげられます。

①適正な資産価値に基づいて譲渡価額を設定する

前述の通り、不当に低い金額を設定することは、後から税金を支払わなければならなくなるリスクを抱えることとなります。
税務リスクを回避するためにも、適正な譲渡金額を設定するべきでしょう。

譲渡金額の考え方は後述しますが、重要なポイントは、第三者に対して譲渡価額算定の根拠を客観的に説明できるかどうかにあります。

例えば、実際の価値よりも低い譲渡金額を設定する場合には、それに対する明確な理由付けを行っておくべきです。

のれん分け制度を継続的に運用していくのであれば、譲渡金額算定のルールを事前に決めておき、譲渡対象店舗の諸事情に応じて金額を調整する、という考え方をするとよいでしょう。

②独立者が適正な期間で投資資金を回収できる水準とする

次に、独立者の投資回収期間がどれくらいになるか、という問題があります。

適正な譲渡金額を設定すれば問題ないと考えがちですが、ロイヤルティ等を徴収する場合には、その分直営店時代と比較して店舗の利益率は低くなり、投資資金の回収までにかかる期間は長期化することになります。
また、加盟金をとる場合には、投資金額自体が増加することとなります。

したがって、譲渡金額を算定した後は、ロイヤルティや加盟金額を踏まえ、独立者の投資回収期間がどれくらいになるかを確認し、必要に応じて譲渡価額の見直しを行うべきといえます。

一般的なフランチャイズの場合、投資資金が大きい飲食業でも、投資回収期間は長くても5年程度が目安です。
独立者への恩返し的な側面の強いのれん分け制度では、投資回収期間は3年前後が望ましいでしょう。

 

まとめ

以上、のれん分け制度で直営店を譲渡する時の譲渡金額の考え方をご紹介しました。

譲渡金額を算定する際に大切なことは、
・一般的な水準から大きく外れないこと
・算出した金額について、合理的な説明ができること
の2点です。

このポイントを押さえて、本部、独立者双方にとって妥当な金額を設定する必要があるでしょう。

なお、加盟金やロイヤリティの設定方法について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。

のれん分け制度における加盟金やロイヤリティの考え方

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