ネットラジオ『多店舗化・フランチャイズ化を考える店舗ビジネス研究所』は、弊社代表の高木と社労士の田村陽太が、飲食店、整体院、美容院等の様々な店舗ビジネスの「多店舗展開」を加速させるために重要な事を対談形式でお話しするラジオ番組です。
第42回『コンビニ本部が加盟店の元従業員から「加盟店内で起きた労働関連のトラブル」で訴えられたと聞きました。本部が加盟店の労務管理について責任を問われることがあるのでしょうか。』というテーマで店舗ビジネス専門コンサルタントの髙木悠が熱く語ります。
【ハイライト】
・FC本部と加盟者間の労務トラブル事例について
・FC本部が加盟者の労務指導に積極的に関わるべき理由
・本部がやるべき労務指導の具体的対策
・SVとFC本部のあるべき組織体制と関係性
・SVの定期加盟者訪問でやるべき業務
多店舗化・フランチャイズ化を考える店舗ビジネス研究所。この番組は株式会社常進パートナーズの提供でお送りいたします。
店舗ビジネス専門コンサルタントの高木悠が最速・最短で年商30億、店舗数30超を実現する実証されたノウハウをコンセプトにのれん分け制度構築、FC本部立ち上げ、立て直し、人事評価制度の整備など飲食店、整体院、美容院などの様々なビジネスの多店舗展開を加速させるために重要なことを対談形式で分かりやすくお話しする番組です。
田村:こんにちは。パーソナリティーの田村陽太です。配信第42回目となりました。本番組のメインパーソナリティーをご紹介します。店舗ビジネス専門コンサルタントの高木悠さんです。よろしくお願いします。
高木:よろしくお願いします。
田村:高木さん、今日もやっていきましょう。本日の質問はこちらとなっております。
「コンビニ本部が加盟店の元従業員から、加盟店内で起きた労働関係のトラブルで訴えられたと聞きました。本部が加盟店の労務管理について責任を問われることがあるのでしょうか。」ということなんですけども。これ加盟店の労務管理でも本部が責任を取られるんでしょうか?
高木:これは最近ホットな話題ですね。
田村:結構ニュースでも聞きますね、これね。
高木:そう。最近あった事例で言うと、これは某コンビニであった内容だと思うんですけれども、加盟店内で起きた労働関連のトラブルがあったと。これは長時間労働とか、日常的に暴力が振るわれてたとか、そんな問題が加盟店内で起きてたらしいんですね。
田村:はい。
高木:その加盟店の従業員さんは本部に対してこんなことが起こっているっていうような、「助けてください」みたいな相談をしていたみたいなんですよ。だけど某コンビニ本部がそれに対して対応することがなかったっていうところで、加盟店の元従業員さんから、本部に対して訴訟が起こされたと。それに対して、和解が成立したんですかね。某コンビニ本部と加盟店の元従業員さんの間で和解が成立して、金額は出てないんですけれども、某コンビニ本部から解決金を支払うというような内容で和解が成立したと。こんなことがニュースになってたと思うんですよね。
田村:なるほど。FCシステムだと、各加盟者が個人事業主とか経営者なので、本当は雇用してるのは各加盟者が雇用してるじゃないですか。けれども従業員さん側からすると、やっぱりブランドのイメージがあるから本部の方を訴えてしまうみたいのがあるんですかね。
高木:そうなんですよね。でもその原則論で言うと、もうフランチャイズ加盟店って本部とは分離された独立した事業体になるんで、そこの労働問題というのは、基本的に本部は関係ないわけですよ。
田村:そうですよね。
高木:ただ、やっぱりフランチャイズになると少し複雑で、今回お話した某コンビニのケースで言うと、まず某コンビニ本部とその加盟店の間でフランチャイズ契約を結ぶじゃないですか。
田村:はい。
高木:そのフランチャイズ契約の中には、本部が加盟店に対して、労働基準法とかを守りなさいみたいなことが情報として入ってるわけですね。しかも、それについて加盟店の労働者から本部のスーパーバイザー(経営指導員)に対して、そういった実態の相談があったわけですよ。だけどそれに対して本部が何ら処置をとることがなかったと。確かに経営体だけを考えると全く個別の話ですから、本部は「もう責任ありません」って言えたのかもしれないですけど。
田村:はい。
高木:今の話をふまえると、法律的にはもしかしたら本部が責任取る必要はないのかもしれないですけど、一般的な感覚でいったらどうかですよね。最近は情報化が進んでたりして、こういうお話っていうのも、例えば元従業員さんがSNSにあげたりしたら、炎上するような内容じゃないですか。
田村:そうですね。
高木:だから、やっぱり法律的には正しくても、それが世の中に受けられるかどうかっていうのはまた別問題になってきますね。
田村:確かにそうですね。一般的な視聴者さんとかそういう消費者の方はやっぱり某コンビのブランドイメージがありますから、各加盟者が本当は悪いって言ったとしても本部が何故見てくれなかったのみたいになりますもんね。
高木:そうそう。だから、やっぱりこういう内容って一般的な感覚で言ったら、それは本部指導しなきゃ駄目でしょってなると思うんですよ。私はこの某コンビニ本部が、それは本部に責任の一端があると認めて、解決金を支払うことになったんだと思うんですよね。だからそういう意味では企業としては、私は素晴らしい姿勢だなと思うんですよ。
田村:はい。
高木:それと同時に、やっぱりフランチャイズ本部としてはこういったことが起きないように、今後やっぱり自社の体制を見直して、問題があるんであれば改善しなきゃいけないですよね。
田村:そうですね。そこら辺すごく気になっていくんですけどもそれはどんな風にして、本部としては労務管理を徹底していくというか、していったら良いんでしょうか?
高木:今回の最大の問題というのは、加盟店の労働者が本部の経営指導員に相談してるという事です。だけど、何も起きなかったわけじゃないですか。でもここってすごく問題だなと思ってるんですよ。私もスーパーバイザーやってたんでよくわかるんですけど、加盟店でこういう問題が起きてるというのを聞くじゃないですか。
田村:はい。
高木:スーパーバイザーの人が、それをスルーしてたっていうのは、ちょっと考えにくいんですよね。
田村:なるほど。それはどういうことですか。
高木:だからこういう問題が起きてるっていうという事は、私が思うに本部の少なくとも経営指導員の上司ぐらいには、情報が行っていると思うんですよ。だけど、どこかでその情報が多分なくなってしまったんだと思います。上に上がらなかった。そこが結構フランチャイズ本部の体制としてはリスクだなと思ってるんですよね。
田村:ちょっと質問なんですけど、従業員さんからスーパーバイザーの経営指導員の方に悩みの相談があって、次にまたその上司の方に行くじゃないですか。これは一般論の話だと思うんですけど、多分僕の感覚だと従業員さんのトラブルがあったら、本部から指導してもらった方が早い話が解決じゃないですか。もみ消しちゃうのは何かそういう理由があるんですか?
高木:もみ消してんのかどうかわかんないですけど、今まではフランチャイズ加盟店の労務問題について起きたことっていうのは基本的に加盟店の責任だったわけですよ。だからもしかしたら考え方が古い本部の例えば上長がいたとしたら、「いや、それは自分の部下であるスーパーバイザーのお前がそこは何とか改善してこいよ」みたいな、もしかしたら指導がなされてたかもしれないですよね。
田村:なるほど。上に上がってくる前にまずSVがやってこいよと。
高木:だけど、そういうことをやる加盟店の経営者ですから、いや法的にそれは問題ですよとか言って話をしたって、これは通じないわけですよ。それを個人のスーパーバイザーの能力とか仕事で解決させるっていう姿勢だったとしたら、これは危険ですよね。
田村:そうですね、確かに。
高木:そう。だから本来私があるべき姿だなと思うのは、現場にこういうリスク要因って潜んでるじゃないですか。その解決を全てスーパーバイザーに委ねたら、逆に私がこのスーパーバイザーだったとしたら当然最初は経営者に言って直そうとするわけですよ、加盟店の経営者と話をして。
田村;はい。
高木:だけど何言っても直らないと。本部に戻ってきて自分の上長に相談したら、「いや、それはお前の仕事だろう?お前なんとかしてこい」みたいな話だったら、もうこれ板挟みじゃないですか。
田村:最悪ですね。
高木:そうなったら、これは隠蔽が生じる可能性ってあるじゃないですか。とか、なかったことにする可能性ってあると思うんですよ。
田村:もう相談しなくなっちゃいますね、上司にね。
高木:そうそう。そうなったらこういう問題に発展するリスクってあると思うんですよね。
だから、やっぱりフランチャイズ本部としては、現場に行く人って基本的にはスーパーバイザーだと思うんですけど、現場で気づいたこととか問題だと感じたことっていうのを、ちゃんと本部に戻して、それが本部の経営陣とかにまで上がっていくような、仕組みを作っておかないと、これからの時代って危ないですよね。
田村:そうですね。ちょっと脱線するんですけど、一時期流行ったんバイトテロってあったじゃないですか。牛丼屋チェーンとかで誰かがシフト中にすごいデカ盛りの豚丼を作るとか、大型冷蔵庫に従業員さんが入ってるとか今あったじゃないですか。そういうところとかを各加盟者さんで対処してくださいってなっちゃうと、一気にSNSとかで拡散して大変じゃないですか。
高木:はい。
田村:そこってどんな風にして本部として対策していくんですか。
高木:ですからそういうのって発覚してしまったら、もう炎上して、どうしようもできなくなるじゃないですか。だからその前段階が重要だと思うんですよ。だいたいそういった事故が起きる店舗っていうのは、もうその前から小さい問題って私は起きてんじゃないかなと思うんですよ。
田村:はい。
高木:というのは私もこれ経験があるんですけど、自分が飲食店の担当店舗で働いていた時に、飲食店の担当店舗とかって手袋を付けるじゃないですか。あれを何か頭につけて、写真撮って、SNSに上げてるスタッフがいたんですよ。
田村:やばいですね(笑)
高木:これは見方によっては炎上するリスクってあるじゃないですか。それは炎上しなかったんですけどね。だから当然すぐ写真を消すとともに、そういった内容をやっぱりその場で終わりにせず、これを本部にちゃんとフィードバックして、それをそのタイミングで全店に対して例えば危機管理の連絡をするとかね。そういう小さいところをいかに拾って全店に対して情報共有とか指導ができるかっていうのがフランチャイズ本部にとって重要なことだと思うんですよ。
田村:なるほど。つまりスーパーバイザーがその店舗で気づいたことを本部に上げて、他の店舗にも発信してくみたいなイメージですか。
高木:そうそう。スーパーバイザーが気づいたその小さなことを、たとえスーパーバイザー自身もそこまで問題だと思ってなかったとしても、それは企業にとってものすごいリスク要因であるっていうことはたくさんあると思うんですよ。だからスーパーバイザーが現場に行って感じたこととか、チェックした事とかあるわけじゃないですか。
田村:はい。
高木:それをただそこのお店の事だけで終わらせるのではなくて、それをちゃんと本部の資産としてストックしていって、かつ、その内容っていうのはやっぱり全部ある程度判断できる本部の経営陣が確認しなきゃいけないですね。その中でリスク要因というのをちゃんと洗い出して、それに対して会社として対応していくっていうことが必要なのかなと思いますけどね。
田村;なるほど。ありがとうございます。時間が近づいてきたんですけども、本部がやっぱり加盟者さんの従業員さんの労務管理まで見ていくっていうところもすごい大事だと思うんですけども、やっぱりいろんな加盟者さんがいると、FC本部だけで全部見ていこうってなかなか大変だったりとか無理ゲーのところもあるじゃないですか。
高木:はい。
田村:まず何をすべきかという、本部がまずこれだけはやっておいた方がいいじゃないかみたいなワンポイントアドバイスって何かありますか。
高木:例えば、加盟店のオーナーとか加盟店の従業員さんと、スーパーバイザーっていうのは少なくとも月に1回ぐらいは話をしてると思うんですよ。話をしなかったらもう絶対すぐ話をしにいくような仕組みにしていかなきゃいけないと思うんですけど、そこで上がった声とか、加盟店からのご要望とか不満とかいろいろあると思うんですよ。
田村:はい。
高木:それをちゃんとスーパーバイザーにもれなくちゃんと記録させて、それをまず本部としてまず全て確認する方法から始めるといいんじゃないかなと思いますけどね。
田村:確認するというと、各加盟店からこんな労務管理が上がってきてるので本部として何したらいいんだみたいな、そこら辺の共有ってことが重要ですかね。
高木:今回の話で言ったら、例えば加盟店から上がった声とかもしくはスーパーバイザーが今困ってることみたいなのを、本部に吸い上げるような報告書のフォーマットになっていれば、間違いなく上に上がりますよね。加盟店の従業員さんからこういった声が上がってましたって絶対あると思うんですよ。
田村:そうですね。
高木:これ、私が経営陣だったら今のご時世こんなブラック労働みたいなものとか、暴力振るうとかっていうのがあったら、絶対スルーしないと思うんですよね。だから、まずそういった判断ができるような体制は絶対作っていなきゃいけないですよね。
田村:そうですね。いかに本部に吸い上げていくシステムを作っていくかみたいな感じですよね。
高木:そうですね。
田村:ありがとうございます。本日はFC本部が加盟店の労務管理をする上でのポイントについてお話いただきました。本日はありがとうございました。
高木:ありがとうございました。
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